『バイクで巡るニッポン絶景道』シリーズは、ヤングマシンの姉妹誌であるモトツーリング編集長カン吉(神田英俊)が案内人。第28回は、関東のライダーにはおなじみであり、安心して訪れられる定番でもある千葉県は房総フラワーライン。あらためてその魅力を紹介しよう。
TEXT:Hidetoshi KANDA
潮風と共に咲き乱れる菜花、早春の香りと共に走ろう!
房総半島は関東ライダーにとって、伊豆半島に次ぐ“聖地”とも呼べるツーリングスポットだ。中でも太平洋に面した南房総界隈は、冬でも温暖で気温も高めな為、冬でも多くのライダー達が訪れる地域でもある。
そんな南房総きっての名道がこの“房総フラワーライン”だろう。総延は約23km、館山市より東京湾出口付近の内房に沿いつつ、半島先端の洲崎灯台や南端の野島崎を経由し、房総半島の太平洋沿いをぐるりと周遊する潮風ロードだ。
潮の香が心地よい太平洋の展望と共に、海沿いを周遊するルートの為、イメージ的には“夏”を連想させるコースだが、一番の旬は2~3月。そう、その名の通り沿線には様々な花が咲き乱れているのだ。特に特筆すべきは2月初旬~下旬の菜の花の咲く季節。道路沿いは黄色の花でいっぱいになる。実は“フラワーロード”なる呼称は全国に存在するが、ここまで見事な景観は全国でも少なく、“看板に偽り無し”と断言できるルートだろう。また、時期を考慮して様々な花が定植されており、菜の花の時期を逃したとしても、四季を通じ沿道の景観に感激できるのも嬉しいポイントだ。
菜の花の見どころとしてのハイライトは平砂浦沿いの数kmの区間ながら、奇岩や砂浜の点在するルートの為、景観の変化に富んでおり飽きる事がない。また、房総きっての観光名所にも関わらず、交通量も比較的少な目なのだ。もちろん、休日はそれなりの交通量があるものの、渋滞が頻発するような事が無い為、ストレスを感じず爽快なライディングが楽しめるのも特徴だ。一部狭路はあるものの、全体的に道幅も広く信号も少な目。マスツーリングでのルートとしてもお勧めできるだろう。
全体的に海岸沿いルートでアップダウンが皆無の為、フラワーライン上から展望を望む事は厳しいが、丘陵上に上る分岐へ少々寄り道すれば、抜群の大展望も楽しめる。ルート上には未だ手付かずの戦跡遺構も多数点在しており、その手のファンにとっても大変興味深いポイントに違いない。
伊豆半島を遠望する海岸風景が素晴らしい南房総。旬は今!一足早い春を堪能するには絶好の地域に違いない。
くじら料理の店 ぴーまん
千葉県南房総市和田町仁我浦114 TEL:0470-47-4446
11:00~15:00 / 17:00~18:30 不定休
ロード情報
交通量:定番の観光ルートの為、観光バス等の姿も散見。交通量は全体的に多めだ。特に休日はマイカーの姿も目立つ。しかし全体的に流れは良い為、ストレスを感じる事はないだろう。
路面:旧線形路も多少あるが、全体的に荒れは殆ど無く大型クルーザーや初心者でも安心できる。しかし、飛砂が厚く堆積している場所も僅かながらあり、特に南部は注意して走ろう。
~房総フラワーライン~
秘境感★★
天空感★
潮風感★★★★
爽快感★★★★★
根性感★
開放感★★★★
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