『バイクで巡るニッポン絶景道』シリーズは、ヤングマシンの姉妹誌であるモトツーリング編集長カン吉(神田英俊)が案内人。第25回は、少し気が早いが秋から冬にかけてツーリング先に悩んだときに思い出してほしい、三河湾沿岸地域。短めのコースだが満足感は高い。
TEXT:Hidetoshi KANDA
小粒ながら地域屈指の展望、潮風感抜群! 三河湾一望の絶景に行こう!
寒い時期は、バイクでどこへ走りに行くかは常に悩みがち(※編注・この記事が執筆されたのは秋の深まった時期になります)。がっつり長距離ツーリングも良いが、たまには近距離でまとめるのも楽しみの一つだ。三河湾沿岸地域は中京界隈では定番のツーリングルート。熱帯植物の群生地域もある程、気候が穏やかで真冬でも比較的暖かいのが特徴だ。何より、ハイライトなルートが南向きな為、陽光に溢れ全体的に明るい雰囲気なのも嬉しい地域だ。
この三ヶ根山スカイラインは、そんな三河湾沿岸ツーリングで最もハイライトになる絶景ロード。総延は約5kmと少々短めだ。正直、走り応えのある道……とは言い難い規模のスカイラインだが、展望の素晴らしさでは地域屈指!観光道路である為、当然マイカー等も走っているが、地元ナンバーのバイクも大変多い。地元では定番のツーリングロードとして定着している道なのである。
必見のポイントは頂上から眺める三河湾の展望。眼前いっぱいに広がる三河湾のダイナミックな展望はもちろん、沿岸部に広がる蒲郡市街の様相まで一望。彼方には渥美半島・知多半島まで遠望できる一大パノラマが広がる。冬に寒さを忘れさせてくれる、温かい陽光いっぱいの景色は、タンデムで訪れるにも最適な場所だろう。
ただし、スカイラインへのアプローチルートはタイトコーナーが連続。展望も開けず、酷道的雰囲気すら漂う酷路の為、細心の注意を払ったライディングが必要だ。また、大変残念ながら原付(二種含む)は走行禁止。自二270円と比較的安価ながら料金が必要だ。とは言え、その為か休日でもマイカーの通行料は比較的少な目。ゆとりを持ったライディングを楽しめるのも特徴の一つだろう。
元来、三ヶ根山スカイラインは“三河パークライン計画”として、北側に位置する三河湾スカイラインや本宮山スカイライン・鳳来寺山パークウェイと接続する予定だったものの、接続計画は頓挫。現在、それぞれの観光道路が独立して存在する状態となっている。しかし、他の観光道路の展望・風景は正直イマイチ。冬季は凍結の恐れもある中、三ヶ根山スカイラインはその心配も極めて少ない。地元ライダー定番のスポットとなっているのもその為だろう。
軽く流すのも良し。旅の途中に寄るも良し。圧倒的な絶景や長大なルートがウリの大規模山岳スカイラインとは全く異なる様相ながら、小粒でスパイスの効いた小気味良さが楽しい道。気軽に何度も訪れたくなる日常的絶景ロードと言える存在だろう。
写真:食堂 松月
愛知県蒲郡市形原町三浦町12-10 TEL:0533-57-3322
11:00~14:00 16:30~20:00 水曜休
ロード情報
交通量:有料道路ながら地域屈指の展望道路の為、休日はマイカー等も走行する。地域定番の絶景ロードの為、ライダーも多い。頂上の駐車場付近の走行時は注意しよう。
路面:有料区間は舗装状態も良く道幅も広めながら、アプローチルートはタイトなワインディングだ。有料区間でも路肩はほぼ無い為、駐停車は大変危険。
~三ヶ根山スカイライン~
秘境感★
天空感★★★★
潮風感★★★
爽快感★★★★
根性感★★★
開放感★★★
関連する記事/リンク
『バイクで巡るニッポン絶景道』シリーズは、ヤングマシンの姉妹誌であるモトツーリング編集長カン吉(神田英俊)が案内人。第24回は、メディアではまず紹介されたことがないであろう穴場をカン吉が明かす! 酷道[…]
『バイクで巡るニッポン絶景道』シリーズは、ヤングマシンの姉妹誌であるモトツーリング編集長カン吉(神田英俊)が案内人。第23回は、長野市と小千谷市をつなぐ主要国道でありながら、北海道を彷彿とさせる爽快さ[…]
『バイクで巡るニッポン絶景道』シリーズは、ヤングマシンの姉妹誌であるモトツーリング編集長カン吉(神田英俊)が案内人。第22回は、昭和45年の展望有料道路として開通したルート(現在は無料)で、魚沼丘陵を[…]
モトツーリングとは ヤングマシンと同じ内外出版社が刊行する、バイクツーリング専門誌。オシャレでキレイな旅よりも、現地に赴いてのガチンコ取材による深堀り記事制作を得意とする。偶数月1日発売。