’16年に惜しまれつつも生産終了となったW800がほぼフルモデルチェンジという内容で復活した! 昭和のルックスとフィーリングを今に伝える稀有なモカワサキデルは改元を前に果たしてどのように進化したのだろうか。後編では、カフェとストリートのディテールを徹底比較する。
W800カフェ:専用フロントカウルとスポーティなシートでカフェスタイルを構築
先代のW800には純正アクセサリーとしてカフェスタイルと名付けられたカウルとシートが用意されていたが、このカフェが採用するのはそれとは別物だ。グリップ位置の低いクラブマンスタイルのハンドルと相まって、往年のカフェレーサーの雰囲気をうまく構築している。ちなみにW800のフロントフォークが限定の車体色以外で黒を採用するのは、実はこの新型が初となる。
グリップヒーター標準装備、インジケーターは7→9へ
指針式のスピード&タコメーターを採用。速度計内に液晶パネルをレイアウトするのは従来型から不変だが、回転計内のインジケーターの数が7から9へと増えている。スイッチボックスは従来型から継続採用されるクラシカルかつコンパクトなタイプで、カフェのみグリップヒーターを装備するため、左側にそのスイッチが見える。
タンデム可能なカフェシートやブラックリムで精悍な印象に
ツートンカラーのカフェシートを採用。シート高790mmは先代と同じだ。燃料タンクは容量を14→15Lへと拡大しており、より存在感が強まっている。カフェは両サイドにタンクパッドを貼付。なお、サイドカバーはスチール製で、これも高品質なルックスに貢献。
アルミリムはブラック仕上げとされ、ハブもそれに準じる。スポークとニップルは特殊な処理が施されており、簡単に汚れが拭き取れる。エンジンはシリンダーヘッドのフィンとベベルギヤカバーに切削加工が施され、効果的なアクセントとして映える。
W800ストリート:大きなアップハンドルと足着き性のいいシートでクラシカルな印象を強調
W650時代、ハンドルはハイとローの2種類から高さを選択できた。W800ストリートは、グリップの位置を当時のハイハンドルと同じ高さに設定しており、カフェはもちろん、先代のW800よりもアップライトでリラックスしやすいライポジを構築している。マット系のカラーリングをはじめ各部のパーツは落ち着いたトーンで統一されており、カスタムベースとしても魅力的だ。
文字盤デザインはタイプごとに異なる。中央にはETCのアンテナ
7000rpmからレッドゾーンが始まるタコメーターなど、基本的な機能はカフェと共通だが、文字盤はそれぞれの特徴を反映したデザインとされる。中央にあるボタンは液晶パネルの切り替え用で、その上にはETC2.0車載器のアンテナが見える。グリップヒーターは純正アクセサリーとして用意されているので、追加することは可能だ。
足着き性のいいタックロールシート、リムはシルバーとなる
’06年に発売されたW400を彷彿させるタックロール&パイピングが特徴的なダブルシート。シート高は770mmで、これは前後のサスストロークを短くして足着き性を高めたW400の765mmに迫る数値だ。燃料タンクはカフェと同一形状だが、タンクパッドは省略される。
フロントリムは19→18インチ化しつつ幅を2.15→2.75インチへ。リヤは18インチのまま幅を2.75→3.00インチへ。ストリートはこのリムをシルバーアルマイト仕上げとしてクラシカルな雰囲気を強調。エンジンはブラックで統一し、カフェとの差別化を図っている。
[新旧で比べてみると?]新型Wはこんなに進化した
ロングストローク&360度クランク採用のの773cc空冷並列2気筒エンジンは、最高出力を48psから52psへとアップ。フレームはデザインこそほぼ変わらないが、一部のパイプの肉厚を調整して剛性をアップしている。足回りではフロントホイールの19→18インチ化やフォークの大径化、リヤブレーキのディスク化などが主であり、さらに前後のショックユニットはバネレートを上げるなどセッティングが変更されている。国内仕様は従来と同じ大径丸型ウインカーを継続採用。さらにETC2.0車載器も標準装備する。
旧W800→新W800ストリートの主な変更点
旧W800の直接的な後継車はW800ストリートになるだろう。そこで、主な変更点を書き出してみたい。
ヘッドライトのLED化
ABSを装備
フレーム:剛性アップ、キャスター&トレール変更
アシスト&スリッパークラッチ装備
ETC2.0標準装備
リヤをディスクブレーキ化
新旧W比較のまとめ
厳しくなる一方の排ガス&騒音規制。パワーダウンや重量増などにより魅力度が薄まってしまうモデルが少なくない中、W800はそれを最小限に抑えるどころか、むしろ先代を超えるパフォーマンスを手に入れてしまった。このことから、令和に入ってからもこのネオクラシックモデルを作り続けようというカワサキの意気込みが伝わってくる。先代の旧車らしい乗り味も捨てがたいが、これから買う人には迷わず新型を推す。
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