「遺産」「伝統」を意味するヘリテイジな外観に、スポーティな走りを融合したジャンル。欧州を中心に人気を博し、国産でも各メーカーの新作が相次いでいる。自らの過去の製品に手本を持つトライアンフやドゥカティは、当時のバイクの再解釈でも一味違っている。
WEBヤングマシンで全33回にわたってお送りした新車アルバムをまとめたのがこのページ。カテゴリー別に分け、さらには排気量区分によりライバル車を直接比較しやすいように各ページにまとめてある。記事があるも[…]
- 1 ヘリテイジスポーツは外国車の存在が欠かせない
- 2 ドゥカティ スクランブラー1100シリーズ:ストリートを越えてロングでも活躍できる
- 3 ドゥカティ スクランブラー800シリーズ:スクランブラーの主力、800シリーズ
- 4 トライアンフ ボンネビルシリーズ:正統派スタイルのネオクラシック
- 5 トライアンフ スピードツイン:走りを意識したロードスター
- 6 トライアンフ ストリートツイン:最高出力が18%もアップ
- 7 トライアンフ スクランブラー/1200XC/XE:ネオクラだが本格オフにも対応
- 8 トライアンフ ストリートスクランブラー:馬力向上はじめ中身を熟成
- 9 トライアンフ スラクストン1200/R/TFC:ロケットカウルのTFCも登場
- 10 トライアンフ ストリートカップ:バイザー付きのニューカマー
- 11 写真をまとめて見る
ヘリテイジスポーツは外国車の存在が欠かせない
かつての国産スーパースポーツが、こぞって手本としたのがトライアンフ ボンネビルをはじめとした英国製の空冷ツイン搭載車だった。1960年代に始まったその日本車の潮流は、やがて英国メーカーを飲み込み、次々と倒産に追いやっていった。このことが、旧き良きバイクといえば英国車、といったイメージを醸成させていったのだから皮肉なもの、といっていいのかもしれない。日本では空冷4気筒がもてはやされるなか1999年にカワサキ W650が登場し、旧き良きバイク像が再び見直された。それに呼応したのか、1991年に復活を遂げていたトライアンフは、2001年に自らの手でかつてのボンネビルをオマージュし、現代的なメカニズムでクラシカルなバイクを生み出していく。
現在のモダンクラシックとか、ヘリテイジスポーツと呼ばれるバイクの隆盛にとって、この新生ボンネビルの存在は欠かすことのできないものと言えるだろう。
一方、ドゥカティはいくつかのクラシカルなロードバイクを販売したのち、2015年にスクランブラーを登場させる。これがスマッシュヒットとなったことは記憶に新しいが、これによりヘリテイジスポーツは一大勢力となり、各メーカーが無視できないカテゴリーに育っていくことになった。
これら外国産ヘリテイジスポーツの特徴は、核となるエンジンをベースに多数のバリエーションモデルをシリーズ展開していることだろう。トライアンフ、ドゥカティともに排気量は2バージョンあり、扱いやすく身近なミドルクラスと、高級志向の大排気量に棲み分けを行っている。オンロード出身のボンネビルはオフロード志向のスクランブラーを展開し、スクランブラーを登場させたドゥカティはそれをベースにオンロードバイクも作っているのが面白いところだ。
ドゥカティ スクランブラー1100シリーズ:ストリートを越えてロングでも活躍できる
1079ccの空冷SOHC2バルブのL型ツインを搭載するスクランブラーシリーズのオーバーリッターモデル。800に対してアップタイプの2本出しマフラーやフロントダブルディスク、ユニークな形状のフル電子メーターを採用するなどクラスに見合った装備を与えられている。STD、スペシャル、スポーツの3機種が用意されており、いずれもパワーは86ps。いずれもIMUが導入され、ボッシュ製コーナリングABSやトラコン、ライディングモードが標準装備となっている。
ドゥカティ・スクランブラー最大排気量の長兄・1100シリーズは、専用車体に1100ccエンジンを搭載し、IMUを用いたトラコンやコーナリングABSも装備。強豪揃いのリッター級ネオクラに立ち向かう。今回[…]
ドゥカティ スクランブラー800シリーズ:スクランブラーの主力、800シリーズ
スクランブラーシリーズの中核となるモデルでバリエーションはとにかく豊富。扱いやすい軽量車体と元気なエンジンでキビキビした走りでストリートを駆け抜けるのに似合う。ブレンボのラジアルマウントキャリパーなども自慢だ。’19ではユーロ4に対応するとともに各部を熟成。新デザインとなったLEDヘッドライトやタンクサイドアルミカバー、キャストホイール。それにコーナリング対応ABSやコネクテッド機能の充実などで進化した。
日本で継続販売される3台
日本では’18モデルとして発売されていた中から上の3機種を’19も継続販売。特にストリートクラシックやローランド・サンズとコラボデザインとなるマッハ2.0は’18に登場したばかりのモデルなので、欲しかった人には朗報。
流行するネオクラシックの中でも「軽量&扱いやすいモデル」として人気を集める、日本とイタリアの代表選手「ヤマハXSR700」と「ドゥカティ スクランブラー・マッハ2.0」を試乗してみた。 ヤマハXSR7[…]
トライアンフ ボンネビルシリーズ:正統派スタイルのネオクラシック
’59年に登場した初代ボンネビルの魂を受け継ぐ正統派クラシックスタイルのモデルで、水冷並列2気筒エンジンを搭載。T120には1200cc、T100には900ccの排気量を設定している。外観とは裏腹にライドバイワイヤー制御のFIやABS、切替式のトラコンといった現代的な装備が与えられ、T120には「ロード」「レイン」のライディングモードも備わっている。また上級仕様のエースやダイヤモンドエディション、派生モデルとしてボバーもラインナップ。
多様化しつつある近年のネオクラシックモデル。様々なモデルが生まれる中、変わらぬ存在感で中核に居続けるのがトライアンフのボンネビルシリーズだ。その“本流”T120と、派生車のスピート[…]
レイドバックスタイルのクルーザーとして定番のボンネビルスピードマスターは、並列ツインシリーズの中でも最もゆったりとしたライディングポジションのモデル。2016年にボンネビルシリーズが水冷化されてから2[…]
トライアンフ スピードツイン:走りを意識したロードスター
ストリートツインにワンランク上の仕上げとディティールをプラスしたモダンカスタムな車体に、1200ccであるスラクストンRゆずりのパワーとトルクをドッキング。パフォーマンス志向のロードスターとして’19で新登場した。フロントにはブレンボ製ブレーキキャリパーをダブルで装着。ピレリ製ディアブロロッソ3タイヤを履き、ハンドリングもダイナミックな設定だ。
ボンネビルT120の穏やかさと、スラクストンRの高いスポーツ性。そのいいとこ取りを目指したのが、伝説の名を蘇らせたスピードツインだ。その爽快な走りを、鈴木大五郎がスペインのマヨルカ島で確かめた。 TE[…]
トライアンフ ストリートツイン:最高出力が18%もアップ
トライアンフのネオクラモデルで最もベーシックなマシンとなる位置づけで排気量は900cc。ライドバイワイヤーなど中身は最新電脳技術が注ぎ込まれ、’19では新たにライディングモードとして「ロード」と「レイン」が追加された。空気圧管理機能システムといった機能もオプションで装着可能だ。また最高出力は10psアップで従来比18%もの向上を果たしている。
トライアンフのモダンクラシックシリーズの中で、ベーシックモデルと位置付けられる2台が、初のモデルチェンジを敢行。基本的な素性は従来型を引き継いでいるものの、堅実な熟成が行われた'19年型ストリートツイ[…]
トライアンフ スクランブラー/1200XC/XE:ネオクラだが本格オフにも対応
クラシックなスクランブラースタイルに、現代の性能を融合させた’19新登場の意欲作。心臓部は1200ccツインで、専用チューニングが施されている。オーリンズリヤサスなど充実装備でオン・オフ問わずパフォーマンスを発揮するXCと、IMUを活用したコーナリングABS&トラコンや本格オフロード走行に応える走破性を身に着けた最上位モデルのXEの2車種がある。
2018年10月24日、トライアンフが新型スクランブラーXE/XCを発表した。水冷化に際して登場したストリートスクランブラーの900ccに対して1200㏄へと排気量を拡大するとともにオフロード性能を大[…]
トライアンフ ストリートスクランブラー:馬力向上はじめ中身を熟成
右2本出しのアップマフラーが特徴的なこちらは900ccバージョンのスクランブラー。’19ではユーロ4に対応しつつ最高出力10psアップの65psに進化した。ライディングモードは「ロード」、「レイン」に加え「オフロード」の3段階を装備。ブレンボ製の新設計ブレーキキャリパー、新デザインのメーター、アドベンチャー志向のシートなどより上質に生まれ変わっている。
トライアンフのモダンクラシックシリーズの中で、ベーシックモデルと位置付けられる2台が、初のモデルチェンジを敢行。堅実な熟成が行われた'19年型ストリートツインとストリートスクランブラーは、ベースは共通[…]
トライアンフ スラクストン1200/R/TFC:ロケットカウルのTFCも登場
カフェレーサースタイルのホットなモデルがスラクストンシリーズ。オン/オフ切替式のABSとトラコン、アジャスタブルサスなど走りを追求した装備を誇り、上級版のRにはショーワ製BPFフォークとオーリンズリヤショック、モノブロックキャリパーが奢られる。さらに’19ではロケットカウルを装備したほか最強の107psスペックを与えられた世界750台限定のTFCも登場した。
2018年12月に撮影されたこのテスト車は、Thruxton R TFC(スラクストンR TFC)とされるモデル。現行のトライアンフ・スラクストンRをベースに様々なカスタマイズが施されている。 新作は[…]
トライアンフ ストリートカップ:バイザー付きのニューカマー
’19でシリーズに加わった900cc版のストリートレーサースタイルモデル。ドロップタイプのAceバーハンドルや、アルカンターラ素材のブリットシート、そしてメーターバイザーで、スポーティな雰囲気にまとめている。ライドバイワイヤーにABS、オン/オフ切替式トラコンやアシストクラッチといった装備も充実だ。盗難防止のイモビライザーも標準装備となっている。
2018年10月のインターモトショーから11月のミラノショーにかけて、世界のニューモデルが一気に登場したことは記憶に新しいだろう。WEBヤングマシンでは新車情報を逐一お届けしてきたが、本特集「2019[…]
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