2018年9月2日、MFJ全日本ロードレース選手権シリーズ第7戦が開催されている九州のオートポリスで新型ニンジャZX-10Rシリーズが世界初公開。速さに定評のあるマシンが、エンジンをさらにパワーアップしたことが明らかになった。
SBK3連覇マシンがさらにパワーアップ
ニンジャZX-10Rは、2011年に現行モデルの基礎となるパッケージが完成した。その後、スーパーバイク世界選手権(SBK)で開発した技術をフィードバックし、2016年型でSHOWAのバランスフリーフロントフォーク及びバランスフリーリヤクッションライトを採用。同時に姿勢角センサーを利用したトラクションコントロールなどの投入で電子制御面も大幅アップデートしている。2017年には、マルケジーニ製アルミ鍛造ホイールを装着し、レースを想定したエンジン仕様としたZX-10RRを発売。さらに2018年には、SHOWAと共同開発した電子制御サスを搭載したZX-10R SEもラインナップするなど、進化と拡大の道を突き進んでいる。
レースでは、量産バイクレースの最高峰であるSBKにおいて、カワサキレーシングチームのジョナサン・レイ選手がZX-10Rで2015、2016年のチャンピオンを獲得。2017年にはZX-10RRでチャンピオンを獲得し、SBK史上初となる3連覇を達成した。
そして、2019年モデルのZX-10Rシリーズは、エンジンを改良することによって、最高出力を200→203ps(10RRは200→204ps)にアップさせるとともに、幅広いパワーバンドを実現。さらに装備を充実させることで、サーキット走行性能を高めるモデルチェンジを実施した。
ZX-10RRはチタンコンロッドでモアパワーを獲得
ZX-10Rシリーズのエンジンのバルブ駆動方式は、カムシャフトからの直打式となっていたものを、2019年モデルではフィンガーフォロワーロッカーアームタイプとし、より高回転域のパワーアップと信頼性向上を狙った。また、各部の改良により、低回転域から高回転域まで幅広いパワーバンドを獲得。尚、レースキットのハイリフトカムシャフトは無加工で交換できるようになっている。
さらにZX-10RRのみ、レーシングカーや航空宇宙関連のエンジン部品、駆動系部品の開発製造を専門とするパンクル社製のチタンコンロッドを採用。軽量で耐久性の高いコンロッドによりエンジンの最高回転数を引き上げ、さらなる出力向上やスロットルレスポンスの向上を実現している。また、コンロッドの軽量化はハンドリング性能向上にも貢献。これにより、10RRは前後のサスペンションセッティングの変更も実施している。
従来はZX-10RRとZX-10R SEにしか装備されていなかったアップ&ダウン対応のクイックシフターは全モデルに標準装備される。また、2019年型のニンジャH2/カーボン、ニンジャH2Rに採用されることが発表されたハイリーデュラブルペイントがZX-10R SEにも使用される。この塗装は傷を自己修復して外観を維持するもので、日常使用での擦り傷防止に効果があるとされる。
ニュース提供:川崎重工業/カワサキモータースジャパン