エンジンパワーだけでは推し量れないハンドリングやシャーシの限界性能を確かめるためにサーキットでのラップタイム計測も実施。クラス王座の奪還を遂げることができるか新ニンジャの真価が試される! ※ヤングマシン2018年4月号(2月24日発売)より
新ニンジャ400がブッチギリの速さ!
0→1000m加速テストの次は、走りの総合性能を確かめるサーキットでのタイムアタックテストだ。使用したタイヤはすべて標準装着のもの。サーキット走行には空気圧が高すぎるため、CBR400Rと旧ニンジャ400の前後、YZF-R3はリヤのみ若干落としたが、それ以外は標準設定のままとした。結論から言おう。ここでも新ニンジャ400の性能は素晴らしいの一言だった。全8台の中で唯一39秒台を叩き出し、平均速度でも2番手以降に約10km/hもの差をつける大差。250&400ひっくるめた2気筒ミドルの中においては1台だけブッチギリということを証明するには十分で、400の存在意義というものをあらためて認識させる結果となった。
詳しい結果は次の続きを見ていただくとして、サーキットテストでは250勢がほぼ新ニンジャ400以外の400勢を上回るタイムを記録している。これは車重も軽く、よりSSらしいバランスが与えられた250勢の運動性能が光ったおかげと言えるが、新ニンジャ400はその250と同様の車体にパワーを上乗せしたのだから、これはもう速くて当然と言えるだろう。250と比べて400のライバルたちはツーリング色が濃いモデルが多いなかで、久々に本気でスポーツできる嬉しいモデルが登場したという感じだ。丸山は「とにかく新ニンジャ400は走っていて楽しかった。タイヤが暖まるまでは250の方がいいかなと思っていたが、暖まった後はトラクションもクッとかけられるし、400でも車重のネガを感じない。こちらの方が250クラスよりスーパースポーツらしい走りを楽しめる。ノーマルで筑波1000を39秒台で走れるというのはなかなかじゃないかな」。そして神永も「新ニンジャ250もサーキットを十分に楽しめるんですけど、新400と一緒に走っていると、やっぱりコーナー立ち上がりなどでアクセルを開けたときにクっと引き離される場面が多かったですからね」。一方、その新ニンジャ250は、サーキットタイムでCBR250RRにリベンジできたのか? こちらの対決結果にも注目だ。
【TOP4】新ニンジャ250もCBR250RRに肉薄
【1位 Ninja400】400とはいえ軽さが何よりの武器。寝かしこみも軽いし、そこからの切り返しも速い。さらにパワーがある。ミッションタッチが柔らかいので、高回転域でシフトミスに注意するのが好タイムへの道だ。
【2位 CBR250RR】高回転のパンチが強力。寝かしこみ、切り返しも躊躇なくスパッといける。これはフロントまわりにしっかり感を持たせたSSのノリに忠実な作りのおかげ。サーキットを走るために生まれた「別格」という感触だった。
【3位:新型Ninja250】車重は400とほとんど同じなんだけど、こちらが軽く感じられた。エンジンもより高回転まで回せて、上のパワーを使い続けて走ることができる。総じて250でコースを攻めるときの良さが出てR25には勝利。
【4位:YZF-R25】コンパクトさ、軽さ、上の回り具合。全体的にバランスがよく走りやすかった。新ニンジャより上の回りでちょっと負けるかもしれないが特性も滑らかで扱いやすい。R3で感じたリヤのバタツキもなかった。
【5~8位】新旧ニンジャ400は180度異なるキャラが明確に
【5位:YZF-R3】320㏄ということで新ニンジャ400よりパワーで負けるが、250はもちろんそれ以外の400にもトップスピードの面で勝っていた。タイムにつながらなかったのはリヤがバタつき、R25ほど攻めきれなかったため。
【6位:旧Ninja250】ラジアルタイヤがギャップ通過時もガツンと来ず、軽くいなすなど接地感の高さが光る。だから安心して深くまで寝かせられる。また、回すよりどこでも太さのあるトルクで走るのが得意。旧型でもなかなか楽しい。
【7位:CBR400R】重量級ということでのっけから攻め込むわけにもいかず、タイヤをちょっと暖めきれなかったのがタイムに影響した。それより重い旧ニンジャ400よりは車重差からくるハンドリングの面で勝ったという感じか。
【8位:旧Ninja400】戦闘的なスタイルではないんだけど、意外とショートコースのここではサーキットでも走りやすかった。タイヤの感触もいいし、トルクもあった。まあ、それでも車重はそれなりで、タイムもご覧の通り。
CBR無双も高回転が光るニンジャ
神永――結果を見てどうでした?
丸山――新ニンジャ400が一番になるのは、これはもう走っていて分かった。そしてなんと! 2番手に入ったのはCBR250RRだよ。やっぱり速いね。エンジンレスポンスも鋭いし、パワー感もあった。そしてコーナリングの安定感もある。いかにもサーキットに向けて作られたという感じ。フロントにガンと荷重をかけられるもんね。
神永――僕もレーサーに乗っている気分でした。小回りも利きましたし。
丸山――そのCBRの次に来るのが新ニンジャ250だよ。まあ、これはここに来るまで感じたそのままの結果かな。街中を走っていても高速道路を走っていても、明らかにCBRの方がニンジャより力強いと感じた。でも、パワーではCBRに負けてるけど、サーキットだと実はハンドリングで勝てるんじゃないかとか期待したんだけど、やっぱりCBRは別格だな。それでも、本当のライバルであるR25や旧ニンジャ250よりはしっかり速いよ。上の1万1000~1万3000rpmくらいが速いからそこをうまく使えれば速く走れるね。新ニンジャ400ほどパワーはないからトラクションのかかっていく感触などは薄くなるけど、基本は同じだからちゃんとスポーツしている。こうして見ると新400って速さがそのまま表れているんだから、あらためてスゴイよ。
神永――次も驚きの結果です。
丸山――R 25がR3に勝っちゃった! まあ、これは分かるなあ。
神永――R25の方が安心してコーナーを攻められました。タイヤですかね。
丸山――そう。R25はIRCのRX-01を、R3はミシュランのパイロットストリートを履いているんだけど、R3はリヤがギャップを拾ってバタバタ跳ねるのに対し、R25の方は跳ねずにしっとりと接地感が出ている。このタイヤはいい仕事をしているよ。で、次に旧ニンジャ250か。順当な結果かな。本来はこの後にスズキのGSX250Rなんだろうけど、サーキットは辛かろうと今回は用意しなかった。
神永――そして、最後にCBR400Rと旧ニンジャ400ですか。
丸山――これも納得という感じだね。旧400は車体の重さが650譲りだし、ポジションもアップハンで超リラックス。アクセルのツキもゆっくりだ。CBRもフルカウルながら、やはりサーキット向けではない。どちらかというと400版のVFR800Fというか、ツーリングスポーツに近い。そちらの面では、両方とも非常に優秀なバイクなんだけどね。
撮影:真弓悟史
テスター:丸山浩/神永暁(WITH ME)
まとめ:宮田健一
取材協力:デジスパイス
「2018新型Ninja400/250 vs ライバル 0-1000m全開加速テスト」記事はこちらへ