バッグを語源とするアメリカンカスタムの1ジャンル、バガースタイルのニューモデルがBMWからリリースされた。ベースは1649㏄の水冷並列6気筒を搭載するK1600シリーズだ。
シフトアシストが秀逸、派生モデルの域を超越
2016年10月にロスアンゼルスで発表されたBMW初のバガーモデル、K1600Bがいよいよ日本でも販売開始に。水冷並列6気筒を搭載するK1600シリーズをベースに、リヤセクションを専用設計とし、バガーらしい見事なドロップシェイプを得たこのニューモデル。BMWのエンブレムが付いているものの、醸し出される雰囲気は完全にアメリカンカスタムのそれで、まったく隙がない。
わずか1500rpmで最大トルクの70%を発揮するエンジンは、レイン/ロード/ダイナミックが任意に選べるライディングモードも含めてシリーズ共通だ。ベースとなったGTやGTLの従来モデルよりもレスポンスがより忠実かつ洗練された印象で、シルキーな直6のフィーリングが加減速時もクルージング中も堪能できる。特に感動したのは、クラッチ操作なしでシフトアップ/ダウン可能なシフトアシスタントプロで、変速ショック皆無と断言できるほど確実に熟成されているのだ。
ハンドリングもいい。見た目にずいぶんとローダウンされている印象だが、ホイールトラベル量のフロント115㎜、リヤ135㎜はGTやGTLと共通であり、しかもトップケースなど高くて遠いところに重量物がないので、非常に素直で扱いやすいのだ。電子調整式サスのダイナミックESAはロードとクルーズという2種類のモードがあり、後者はかなりソフトな乗り心地となる。
電動調整式のスクリーンはバガーらしくショートタイプだが、起こしていくとほぼ完全に走行風が遮られるほどのプロテクション効果を発揮する。加えて、フロントカウルの左右にはライダーに風を当てるウインドディフレクターも備えるなど、クルージング時の快適性に一切妥協しないところはさすがにBMWだ。バッグギヤは、336㎏もの巨体を取り回すのに非常に便利だ。モーターの力で後退するシステムで、多少の下り坂でもグイグイとバックしてくれる。実に頼もしい装備だ。完璧なバガースタイルを構築しながら、上質なフィーリングと優れた巡航性能はBMW流を貫く。新たな層を開拓するであろうマシンだ。
GTLよりも高額に、黒以外のカラーも希望
オーディオをはじめキーレスライドやABSプロ、トラコン、ヒルスタートコントロールなどを標準装備しているためか、GTLを上回る車両価格に。また、もう少し明るめのカラーがあってもよかったかも。
6気筒らしさを純粋に味わえる稀有なマシンだ
初めてK1600GT やGTLに試乗した際、もっとシンプルな車体でこのエンジンを味わいたいと思っただけに、この”B”の登場は個人的に感慨深い。派生車の枠を超えた作り込みであり、シリーズ中で最も街乗り向きだ。
ライディングポジションはコンパクト
ハンドルやシートは専用装備
K1600B 主要諸元 ■全長2470 全幅1000 全高1300 軸距1618 シート高750(各㎜) 車重336㎏(装備) ■水冷4スト並列6気筒DOHC4バルブ 1649㏄ 160ps/7750rpm 17.9㎏ -m/5250rpm 変速機6段リターン 燃料タンク容量26.5ℓ ■ブレーキF=Wディスク R=ディスク ■タイヤF=120/70ZR17 R=190/55ZR17
撮影:飛澤慎
ニュース提供:ヤングマシン2018年2月号 タッチ&トライ