2018年4月5日に国内で公開されたヤマハ発動機の特許「傾斜車両」には、フロントにダブルウィッシュボーン式サスペンションを装備した3輪バイクの発明が掲載されていた。その中の図面の一部はどう見ても2017年に生産終了となったVMAX。まさか3輪になって復活する?!
ナイケンとは異なる機構を採用
4月13日に新情報を掲載したNIKEN=ナイケンに続いて、ヤマハが新たな3輪メカニズムを開発していることが判明した。4月5日に公開された「傾斜車両」という標題の特許には「車体の傾斜角及び操舵輪の操舵角を大きくできるダブルウィッシュボーン式サスペンションを備える傾斜車両を提供する」と記されており、ナイケンのパラレログラムリンクとは異なる技術を採用している。ナイケンは、フロントの2本フォークが宮本武蔵のような「二刀流」に見えることから「二剣」=NIKENと命名されたが、ダブルウィッシュボーン式のこちらは4輪に近い足まわりとなる。
3輪VMAXの元はBRUDELIのマシン
2017年12月19日、ノルウェーのBrudeli Tech Holding AS(ブルデリ)は、「Three wheeled vehicle」の特許をヤマハ発動機に売却したことを発表した。ブルデリの3輪モデルはヤマハの3輪VMAXと同じダブルウィッシュボーン式で、共通のメカニズムを採用していると思われる。また、すでにこの方式を採用した3輪モデルは2005年に発表されており、その走りを動画で見るとバイクに負けず劣らずスポーティ。ヤマハの狙いとするLMW(リーンニング マルチ ホイール)のコンセプトと合致するものと言えるだろう。さらにナイケンのパラレログラムリンク方式では実現しにくい4輪にも発展可能となることから、ダブルウィッシュボーン式を導入することになったのだろう。
製品化されるのは3輪か4輪か?!
製品化については今のところ情報は入っていない。3輪で発売されるのか、もしかしたら4輪になる可能性も否定できない。というのは、2017年10月の東京モーターショーでヤマハが出品したMWC-4の足まわりがこれに近いとみられるからだ。3輪はナイケンも採用したパラレログラムリンクで実用化し、ダブルウィッシュボーン式は4輪へという展開も考えられるだろう。ヤマハは2015年~2018年の中期経営計画で4つの成長戦略を掲げており、そのうちの1つ「ひろがるモビリティの世界」で4輪についても触れている。電動アシスト自転車のPASから2輪、3輪、4輪までをカバーする商品群を市場に投入し、収益を伸ばそうと計画しているのだ。ただし、ヤマハの4輪事業については、2013、2015年の東京モーターショーに出展したiストリームコンセプトから一転して2017年はMWC-4やクロスハブコンセプトを出品と、大きな振り幅の中からヒントを探っているようにも見える。また、本格的な4輪となると販売網も大きな課題となるだろう。まずは、ダブルウィッシュボーン式の3輪でトライしながら広げていく方が確実と思われるが、果たしてどうなるだろうか。
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