ホンダが小型車向けエアバッグを開発中!

「瀕死」を「ケガ無し」に

’07年にゴールドウイングで量産二輪車へのエアバッグ世界初搭載を果たしたホンダが、現在新たな二輪車用エアバッグシステムを開発中。今度は小型スクーター向けだ!

まるでベイマックス! 日常の足にこそエアバッグを

6月、栃木県の本田技術研究所でプレス向けに実施された「ホンダミーティング2017」において、多彩な研究成果が発表された。そのなかでホンダは今後、バイクの事故防止と死傷者減少に向け、「教育/モラル」の00次安全から「傷害軽減」の2次安全まで、4段階の取り組みを行うことを表明。そのなかで最終的にライダーを保護する2次安全技術として開発中の小型車向けエアバッグシステムが公開された。

エアバッグ形状はご覧の通り独特だが、これは実際の事故状況の分析から生まれたもの。データによると2輪事故は、出会い頭が全体の37%、損傷主部位の42%を頭部が占める。そこでクルマの側面に衝突した際に、相手車両のボディでエアバッグを支える新しいコンセプトを採用。主にライダーの頭を防護し、身体がズレた場合も対応できるようサイドに張り出させたのがこの形状だ。また、ハイルーフ車等にも対応すべく全高が高めになっている。

小型スクーターが対象なのは、アジアをはじめとした最量販タイプに対応するため。展示されたデモ車はPCXで、将来的に搭載の可能性が高そうだ。ホンダによると「’20年頃までの実用化を目指し、既存バイクへの後付けにも対応したい」と言う。価格に関しては全く未定だが、世界的な市場がターゲットなので、低コスト化実現に期待したい。

小型車に搭載するため徹底的に軽量コンパクト化が図られている。小物入れ程度のボックスからご覧のとおり結構な大きさのバッグが飛び出す仕組み。モーターサイクルでもタンク部前半に収まりそうだ。作動はGセンサーのセンシングに基いている。
クルマの側面に50km/hで衝突した際の状況を想定した試験の様子。相手車がエアバッグを支えているのがよく分かる。試験の結果、今まではライダーが瀕死になるレベルだったが、エアバッグがあれば、ほぼケガなしで済むことが実証された。

 

エアバッグのおおまかな内部構造を示した図。A:ライダー頭部保護部、B:車体連結部、C:エアバッグ支持部。ライダー頭部保護部が確実に機能するよう工夫されている。

 

エアバッグの他に、国際基準に調和するかたちで今年2月から国内でも解禁された2輪車の「ESS=エマージェンシートップシグナル(緊急制動表示灯)」を組み込んだアフリカツインが参考展示された。このシステムは急減速時にハザードランプが自動で高速点滅し、後続車に注意を促すもの。50km/h以上での走行中に秒間6mの急減速またはABS作動を感知するとハザードが高速点滅する。既に4輪では幅広い車種に導入済みだ。