【ハーレーカスタム】サンダンス スーパーリアルナックル:妥協なき姿勢で旧車が再現された究極の1台

【ハーレーカスタム】サンダンス スーパーリアルナックル

●文/写真:ウィズハーレー編集部(渡辺まこと) ●外部リンク:サンダンスエンタープライズ

新車のようなナックルが今の時代にあったら…

1936年に登場したナックルヘッドから現行のミルウォーキーエイトに至るまで、挟角45度のVツイン空冷OHVというエンジン形式をキープし続けているハーレーだが、そんな古典的な機構ゆえ、その特徴を活かした“旧車的”アプローチのカスタムが多く見られるのはご存じのとおり。その中で究極の存在が、ここに紹介するサンダンスの「スーパー“リアル”ナックル」である。

’82年にサンダンスを創業して以来、ナックルヘッドをはじめとする数多くの旧車に触れ、修理や改善に尽力してきた”ZAK”柴﨑。そうした日々の蓄積から「当時の技術者が今の時代に生きていたら、きっとここをこうしたかったに違いない」という想いが募り、このマシンを生み出すに至ったとのこと。その創作の根源は、己の技術の探求と「新車のようなナックルが今の時代にあったら…」という夢の具現化だ。

この記事で紹介するスーパー“リアル”ナックルは、’97年に構想をスタートし、2000年に世に解き放たれたのだが、その中でZAK柴﨑がまず必須条件として考えたのが、ヘッドのアルミ化だ。’36~’47年まで生産されたナックルと言えば、純正は鋳鉄製ヘッドが採用されているのだが、それを放熱性に優れた素材に変更した上で、各部構造も”現代の交通事情に適合する”ように変更されている点も見逃せないポイントだろう。

その細部を見てみると、ヘッドには大径化されたバルブが採用され、それを保持するガイドもブロンズ材に変更。この装備によって現代的なオイルシールが使用可能となり、現行のM8にも劣らない高い耐久性と信頼性が確保されている。さらに、油圧タペットの採用と、それを可能とするブロンズ製のリフターブロック、シャフト穴にブロンズブッシュ材を用いてリペア性が確保されたロッカーアームや、オイル漏れを完全に防ぐアルミ鋳物製のバルブカバーなど、ZAK柴﨑がナックルの根本的な構造を見直した箇所はそれこそ枚挙にいとまがない。

こうした設計変更でナックルのウィークポイントを完全に解消したエンジンは、現在の交通事情にのっとり、排気量が1435ccに設定されているのだが、その強大なトルクとパワーを受け止めるべく、車体も”リジッドのように見えてリヤサスペンションを備える”サンダンス製アクティブリジッドを採用。これらの装備による走りのレベルは、当然ながら旧車のソレではない。

ナックルを生んだ先人のウィリアム・ハーレーに対し、国境と時空を超え示したZAK柴﨑による回答…。このマシンもまた、歴史に名を刻む1台である。

純正のリジッドフレームと見まごう完成度の車体は、リアサスを備えたサンダンス製アクティブ・リジッド。幾度も試作を重ね、実用的なサスの可動域と強度を両立する逸品。

サンダンス スーパーリアルナックル ディテール解説

車体まわりに目をやっても、スプリンガーに装着されたバックホーンバーや、旧車感を損なわないデザインが与えられたフロントブレーキマスター、絶妙なフォルムのフューエルタンクなど、ほとんどのディテールがサンダンス・オリジナルパーツでまとめ上げられている。

鋳物の型から起こし製作された油圧フロントブレーキや、スイングアーム部と共に可動式となったリアフェンダー、ソロサドルシートなども当然、現代のニューパーツなのだが、こうしたディテールの数々を違和感なくサラリとまとめ上げる点にもカスタムビルダーとしての“ZAK”柴﨑の力量が垣間見える。

ちなみにこのマシンは始動がキックオンリーなのだが、後期型スーパー“リアル”ナックルはアルミ鋳物プライマリーのセル付きとなっており、より高い実用性を追求。この姿にしてハンドクラッチ&フットシフトという操作系も魅力である。

歴史に残る名機=アルミヘッド・ナックル

放熱性に問題がある純正の鋳鉄から素材をアルミに変更したヘッドは、製作者のZAK柴﨑が”ナックルを知り尽くした”からこそ生まれた名機。純正のプレス製に代わり採用されたアルミ鋳物バルブカバーやブロンズブッシュ式のロッカーアーム等、ここでは書き尽くせないほどのアイデアが随所に取り入れられている。


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