
●文:ライドハイ編集部
これまでのキャリパーと何が違うのか?
最新スーパースポーツの上位機種が装備する“モノブロックブレーキキャリパー”。レース用やカスタムパーツとしても目にする機会が増えたが、従来のブレーキキャリパーと何が違ってドコが凄いのか?
このモノブロックという言葉、ひとつの塊を意味するのだが、従来のキャリパーが分割した左右のパーツを合わせてボルトで締めつけた、いわゆる2ピースだったのに対し、分割されない一体型が開発されたことで付いた呼び名だ。
そこでまず、従来の2ピースとモノブロックの関係を説明するため、ブレーキキャリパーについて少しおさらいしておこう。
バイクのブレーキは、現在はABS(アンチロックブレーキシステム)の装備が義務化されたので、仕組みから少し残っていた昔からのドラムブレーキは姿を消し、すべてディスクブレーキで油圧による操作となっている。この油圧式ディスクブレーキ、その名の通り油圧の力でキャリパーのピストンがブレーキパッドを押しつけて、ブレーキのディスクローターをギュ~ッと挟み込み、摩擦力でブレーキが効く構造だ。
このディスクローターを制動するブレーキキャリパーには、小排気量が中心のフローティングキャリパー(片押し式/スライド式と呼ぶこともある)もあるが、パフォーマンスが高くスピードも出るスポーツバイクは対向ピストン方式がほとんど。
その呼び名の違いのまま、対向ピストン方式のキャリパーは、ブレーキローターを挟んだ内側にブレーキパッドを押すピストンが向かい合って(対向)配置され、ブレーキをかけるとディスクを両側から挟み込む構造になっている。
そして本題のモノブロックキャリパーだが、じつはコレ、対向キャリパーのバリエーションのひとつで、ピストンやパッドが動く仕組み自体は変わらない。何が違うのかというと、キャリパー本体がひとつの部品(モノブロック)で作られているため、キャリパーがディスクを押し付けるとき、どんなに強くかけても、つまりどんなに高圧でもその反力にビクともしない高剛性、とてつもなく頑丈にできているのだ。
ハードブレーキングでも、キャリパーが広がらない/変形しない!
では、ブレーキキャリパーにどうしてそこまで高剛性が必要かというと……
※本記事は2022年5月22日公開記事を再編集したものです。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
ライドハイの最新記事
Vmaxと同時期にアメリカンカルチャーから発想したマッチョスポーツ! 1985年、ヤマハがアメリカはカリフォルニアの現地でデザインしたVmaxは、アメリカならではのクルーザーやチョッパーのバイクカルチ[…]
RVF400参戦でV4パフォーマンスに優れたハンドリングと闘えるトラクションが加味され最強に! ホンダのV型4気筒戦略がスタートしたのは1982年。 VF750系に続いてVF400系も加わり、当初は高[…]
50ccでも実用カブとは別系統のOHCスポーツ専用エンジンを開発! ホンダは1971年に、50ccではじめてCBの称号がつくベンリイCB50を発売した。 それまで50ccにもスポーツモデルは存在したが[…]
「ワインディングの覇者を目指すならCB-1」のキャッチコピーだったら評価は変わった!? カウルを装着したレーサーレプリカが出現する以前、1970年代までのスーパースポーツはカウルのないフォルムが一般的[…]
スーパーフォアをベースにシリンダー前傾角を変更、フレームも新設計した4本マフラーのトラディショナル感性! 1997年、ホンダは4本マフラーのCB400FOURをリリース。 すでに1992年からCB40[…]
最新の関連記事(メカニズム/テクノロジー)
LEDのメリット「長寿命、省電力、コンパクト化が可能」 バイクやクルマといったモビリティに限らず、家庭で利用する照明器具や信号機といった身近な電気製品まで、光を発する機能部分にはLEDを使うのが当たり[…]
ケーヒン/ショーワ/ニッシン/日立を統合した“日立Astemo(アステモ)”が4月より“Astemo”へ 自動車業界で「100年に一度」と言われる変革期を迎えるなか、キャブレターや電子制御スロットル、[…]
【冒頭解説】ECUをサスペンションに一体化、フロントフォークに自動車高調整を初採用 2021年1月に日立オートモティブシステムズ、ケーヒン、ショーワ、日信工業が経営統合して誕生した日立Astemo(ア[…]
ヤマハ発動機と三菱重工業は、200kgの貨物を搭載可能な中型マルチコプター型無人機(以下、中型無人機)の開発に向けた共同研究を行っていることを発表した。 パワーユニットには、ヤマハが2023年にコンセ[…]
スズキは、5月から7月にかけて横浜・名古屋・オンラインで開催される「人とくるまのテクノロジー展 2025」(主催:公益社団法人自動車技術会)に出展する概要を発表した。 今回のスズキブースでは、2025[…]
人気記事ランキング(全体)
ミニカーとは何かがわかると登録変更のハードルもわかる まず「ミニカー」とは、法律上どのような乗り物として扱われるのか、基本的な定義から押さえておく必要がある。実はこれ、道路交通法上では「普通自動車」扱[…]
昭和レトロの世界が広がる神奈川県『中古タイヤ市場 相模原店』 昭和の夏休みって、どんなでしたっけ? 朝はラジオ体操に行って、午前10時頃からは仮面ライダーやウルトラマンの再放送。昼は学校や地域のプール[…]
2025年6月16日に83歳になったアゴスティーニのスペシャル仕様 MVアグスタは欧州で、同ブランドが2025年で創立80周年を迎えるとともに、Agoことジャコモ・アゴスティーニ氏が83歳の誕生日を迎[…]
ガレージで眠っているマシンを引っ張りだそう! 今後の展開も期待されるポテンシャルの高さが魅力 コンストラクターの手によるオリジナルフレームを用いたシングル&ツインレースが流行した1990年代、オーヴァ[…]
初心者からベテランまで、老若男女だれもが一日中楽しめる オフロードバイクさえあれば、初心者だろうとベテランだろうと、老若男女だれもが一日中楽しめるフリーライドイベントとして企画されたのがエンジョイライ[…]
最新の投稿記事(全体)
冷たさが最大16時間続く、ピーコックの持ち運べる氷のう 炎天下の休憩で火照った体を一気にクールダウンさせたい。そんな時におすすめしたいのがピーコックの「アイスパックシリーズ」だ。 アイスパックは、創業[…]
初心者向けの溶接機は? 「初心者ですが、溶接機は何を買えばいいでしょうか?」そんな質問をいただくことが、最近増えています。折れたステーの修理から始まり、フレーム補強やスイングアーム自作、極めつけがフレ[…]
8月上旬発売:Kabuto「AEROBLADE-6 ADACT」 軽量コンパクトなフルフェイスヘルメットで、99%の紫外線と74%赤外線を軽減する「UV&IRカットシールド」を装備する。これによってヘ[…]
カワサキZ1系:1973~1978 1973 900super4 (Z1) 初期型となる’73年型。北米向けは橙×茶の「火の玉」のみだが、欧州仕様は黄×緑の通称 「イエローボール」も設定。長いリヤフェ[…]
FLHRロードキング[2002年式] ハーレーダビッドソンが1999年に満を持してリリースしたツインカムエンジン。従来(エボリューション)までのワンカム構造を改め、カムシャフトを2本配置。伝統のOHV[…]