
●文:ライドハイ編集部(伊藤康司) ●写真:長谷川徹
満タンの方が水の混入(結露)やサビの発生を防げる
冬になると、どうしてもバイクに乗る頻度が落ちる。しばらく乗らない期間、ガソリンは満タンの方が良いか? それとも空に近い方が良いのか?
車種にもよるが、大型車なら満タンより空の方が10~15kgくらい軽いから、たとえばレースなら燃料はギリギリ走り切れるだけ入れて、できるだけバイクを軽くした方が有利…だが、それは特殊な例。
一般ライダーなら、空のメリットは取り回しで押し引きするのが少しラクになることくらいで、市街地でもツーリングでも満タンに近い方が精神的にも安心だ。
…と、ここまでは重量の話だが、じつはいつも満タンにしておいた方が、バイクのためにも良かったりする。それは、ガソリンへの水の混入とタンク内のサビを抑えられるからだ。
その理由は“結露”。冬に窓ガラスが白く曇ったり、冷たい飲み物を入れたコップに水滴がつく、あの“結露”が、じつは燃料タンク内でも起きている。
タンク中にはガソリンと空気があり、走行中はエンジンの熱などで空気は温まっている。しかし、走行を終えると周囲の気温によって冷やされ、タンク内の空気に含まれる水蒸気が結露して、タンクの内側に細かな水滴となって付着するわけだ。
冬、車でガソリンスタンドに行くと「水抜き剤どうですか?」とススメられるのは、ガソリンタンク内でこんな現象が起きているからなのである。
結露で溜まった水のせいで、エンジンがかからなかったり、タンクの内側がサビたり…
タンクの内側に付着した水滴は、ガソリンに混入。水の方がガソリンより比重が大きいので、タンクの底の方に溜まっていく。とはいえ、それなりの頻度でバイクに乗っていれば、次に走行する際にガソリンと一緒にエンジン内で燃焼(水なので燃えずに水蒸気になって)排出されるので、問題はない。
しかし、冬場などに長期間乗らず、駐車している場所が比較的気温の変化が大きなところ(日中は陽が良く当たるなど)だったりすると、日々結露を繰り返して溜まる水が少しずつ増え、春先に乗ろうとしたらエンジンがかからない…というコトもあり得る。もちろん、本来はガソリンのみが通る燃料経路に水が入ること自体、好ましい状態ではない。
そしてタンク内側に着いた水滴は、酸素と結合することでサビの原因になる。ちなみに給油キャップからタンク内を覗いてサビていないか確認する人もいるが、じつはキャップを覗いて見えるタンクの底は意外とサビにくく(ガソリン=油が入っているため)、じつは燃料キャップのあるタンクの“天井”の方が空気(=酸素)に触れるためサビやすいのだ……
※本記事は2022年1月5日公開記事を再編集したものです。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
ライドハイの最新記事
ジェネシス末弟の新世代を狙う2モデルに鋏まれた濃淡2パターンのレプリカ! 1985年4月、ヤマハは宿敵ホンダが1982年に放ったVT250Fの人気に待ったをかけるべく、4気筒のFZ250 PHAZER[…]
後方排気はYZR500の後ろバンク、ただ一般公道で前方吸気は容易くなかった! ヤマハは1980年、レーサーレプリカ時代の幕開けRZ250をリリース。排気ガス規制で2ストロークは終焉を迎える寸前だったの[…]
ホンダのスポーツバイク原点、CB72とマン島T.T.イメージを詰め込んだクラブマンだった! ご存じGB250クラブマンは1983年の12月にリリース。同じ年の4月にデビューしたベースモデルのCBX25[…]
吸収合併したメグロの500ccバーチカルツインを海外向けスポーツの650へ! ダブワンの愛称でいまも濃いファンに愛用されているカワサキのW1。 このWシリーズをリリースする前、カワサキは2スト小排気量[…]
2ストローク3気筒サウンドと他にない個性で1982年まで販売! 1969年にカワサキは世界進出への先駆けとして、250ccのA1や350ccのA7を発展させた2ストロークで、何と3気筒の500ccマシ[…]
最新の関連記事(Q&A)
A:どちらも不具合。後ろはアフター、バックは戻ると覚えるべし 未燃焼ガスがシリンダー外で燃えるという意味では、どちらも同じ”不調”を表している。アフターファイアーはマフラー側に流れた未燃焼ガスが引火す[…]
A.クラッチを切らずにギヤチェンジできるクイックシフターは便利なはずですが、確かに操作するときの状況によっては仰るようにギクシャクしたりショックがあって怖い思いをするかも知れません。加速(増速)側の場[…]
振動の低減って言われるけど、何の振動? ハンドルバーの端っこに付いていいて、黒く塗られていたりメッキ処理がされていたりする部品がある。主に鉄でできている錘(おもり)で、その名もハンドルバーウエイト。4[…]
A.慣れたコーナーには先が見えている安心感で、そこそこアベレージ高くコーナリングできる満足感を楽しめます。でも慣れているからこそ潜んでいるリスクも考えましょう。知らない道のほうが楽しいといえる走り方こ[…]
Q.ツーリングへ出かけるとバイクのすぐ前の路面ばかり見てしまいます。そのため先のほうの様子に気づくのが遅れ、カーブの手前で慌てます。「遠くを見ろ」とよく言われますが、先を見ていると手前の路面が心配にな[…]
最新の関連記事(バイク雑学)
白バイ警察官になるためのファーストステップ、必要なのは執拗なアピールや根回し!? 警察官になっても、すぐに白バイ警察官になれる訳ではありません。白バイ警察官になるには、まず「白バイ隊員になりたい」と希[…]
シート後部、リヤ両サイドにある白バイの計3つのボックス 白バイのボックスは3つあります。荷物を入れるためのサイドボックス、無線機を入れる無線機ボックスがあり、サイドボックスは車両後部の左右に1つずつ、[…]
規制の根拠は「道路法・第46条第3項」 高速道路などを走っていると、時折インターチェンジの手前などで「危険物積載車両ここで出よ」という表示を目にすることがある。この表示を見かけた場合、その先に危険物積[…]
日本語表記では「前部霧灯」。本来、濃霧の際に視界を確保するための装備 四輪車ではクロスオーバーSUVのブーム、二輪車においてもアドベンチャー系モデルが増えていることで、「フォグランプ」の装着率が高まっ[…]
白バイがガス欠することはあるの!? 今回は、「白バイが警ら中にもしもガス欠になったら!?」について、お話したいと思います。結論を先に言うと、ガス欠にならないように計画を立てて給油しています。 私も10[…]
人気記事ランキング(全体)
“次”が存在するのは確実! それが何かが問題だ 2018年に発売されたモンキー125以来、スーパーカブC125、CT125ハンターカブ、そしてダックス125と、立て続けにスマッシュヒットを飛ばしている[…]
カバーじゃない! 鉄製12Lタンクを搭載 おぉっ! モンキー125をベースにした「ゴリラ125」って多くのユーザーが欲しがってたヤツじゃん! タイの特派員より送られてきた画像には、まごうことなきゴリラ[…]
疲れない、頭痛知らずのフィッティング技術! SHOEIの「Personal Fitting System(以下P.F.S.)」は、十人十色で異なるライダーの頭部形状に合わせたフィッティングを行う同社の[…]
セニアカー技術をベースとしながら、誰もが楽しめる乗り物へ スズキがジャパンモビリティショー2023(JMS2023)で出品したのが、16歳の高校生からセニアカーに抵抗のある高齢者まで、誰でも簡単に楽に[…]
40年の歴史を誇るナナハン・スーパースポーツと、兄弟車のR600 1985年当時、ナナハンと呼ばれていた750ccクラスに油冷エンジン搭載のGSX-R750でレーサーレプリカの概念を持ち込んだのがスズ[…]
最新の投稿記事(全体)
レストアでのつまづきはそこかしこに 古いバイクをレストアしていると意外なところでつまずいたりするものですが、今回引っかかったのが8インチのチューブタイヤの「リムバンド」。 こちらのホイール、別にリムバ[…]
16歳から取得可能な普通二輪免許で乗れる最大排気量が400cc! バイクの免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大型二輪(排気量無制限)があり、原付以外[…]
ガソリン添加剤の役割 ガソリン添加剤といってもその用途はさまざまですが、大まかなカテゴリーとしては 洗浄効果 性能向上 の2つに分けられます。 洗浄効果について 現在主流になっているPEA(ポリエーテ[…]
ME125W[1977]:オリジナルフレームの原点 レースが2ストローク全盛の時代に、ホンダCB125JXの空冷4ストローク単気筒SOHCエンジンを大胆にチューン。自然循環式のオリジナル水冷シリンダー[…]
実質年利2.69%のスペシャルクレジットキャンペーン カワサキモータースジャパンでは、2025年7月1日(火)よりカワサキモーターサイクル新車(国内全モデル、年式排気量不問)/オフロードコンペティショ[…]