●文:ライドハイ編集部(伊藤康司) ●写真:渕本智信 石村英治(フォトスペースRS)
英語的にも位置的にも“バックステップ”と呼ばないのが主流に
かつて(けっこう昔)の“走り系カスタム”といえば、セパレートハンドル/バックステップ/集合マフラーが定番。そもそも「ネイキッド」という呼称が登場する以前、市販のスポーツバイクをレーシングマシンに改造する定番の手法であり、またレーシングマシンを模して“カフェレーサー”を作る際もハズせないパーツだった。
なかでもバックステップについては、1970年代頃までの市販バイクが(スポーツモデルでも)上半身を完全に起こした“殿様乗り”の乗車ポジションが普通だったから、ライダーが伏せた前傾ポジションを取るためには、低いセパレートハンドルとともに重要視されたわけだ。
1980年代中頃に登場したレーサーレプリカのステップはかなり後ろにあったが、それでも本物のレーサーよりは前方に配置されていたから、やはりバックステップに交換するライダーは多かった。また、カウル非装備のネイキッドを戦闘的な前傾ポジションにカスタムするために、バックステップは依然人気の高いパーツだった。
ところで、「バックステップ」という呼び方は、じつはバイク用語に多い造語のひとつで、海外では「Rear set foot rest」が一般的。“Back step”を翻訳すると、“後ろ向きステップ”という面白い意味になってしまう。
近年はバックしていないステップもたくさんある
そして1990~2000年と時代が進むと、とくにスーパースポーツは本格レースのベースマシンとしても使われるようになり、ステップの位置も十分以上に後方に下がった。そしてライダーの体格や乗り方によっては、ともすれば“ちょっと後ろ過ぎ”な車種もあるほどに。
そこで、ノーマルと同じ位置や、ノーマルより前方を選択できるステップを製作するアフターパーツメーカーも出てきた。そうなると、もはや後方に下がっていないので、造語とか和製英語とかと関係なくバックステップという呼び方に違和感が…。それもあって、近年は「ライディングステップ」や、シンプルに「ステップキット」と呼ぶパーツメーカーが増えている……
※本記事は2021年11月4日公開記事を再編集したものです。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
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