
●記事提供: ライドハイ編集部
日本のハイオクは海外ではレギュラー!?
オートバイに限らずクルマでも輸入車はほぼすべてハイオク指定。世界に誇る高性能な日本車は、基本的にレギュラーガソリンの給油で事足りる。
そういうところが日本の技術に追いついてない証拠……と思いがちだが、それは大きな誤解だ。
実は日本のレギュラーガソリンは、他の先進国にはないオクタン価の低さになっている。それぞれの国ではレギュラーもしくは中間のPLUSなど、標準的に給油されているオクタン価が、日本ではハイオクに相当してしまうのだ。
オクタン価とは、わかりやすくいうと着火しにくさを表した数値のこと。高圧縮で高温となる高性能エンジンでも燃焼の点火タイミングだけで燃えるように、低回転域でノッキング現象を誘発する異常着火しない特性が与えられている。
日本ではレギュラーが89.0以上のオクタン価、ハイオクだと96.0以上と定められているのに対し、たとえばヨーロッパでは3種類の規格があって、オクタン価91、次いで95、そしてハイオクタン価が98となっている。
アメリカはヨーロッパのRON規格と異なるAKIという指標なので87~93オクタン価となるが、RONに計算すると91~98とほぼヨーロッパと変わらない。
つまり海外ではレギュラー指定のバイクでも、日本のオクタン価だとハイオクを給油しないと異常着火するリスクがあるわけだ。
事実ボアの大きな高性能エンジンに日本のレギュラーガソリンを給油すると、低回転域でスロットルを開けたとき、チリチリやカリカリとピストンの縁で自然発火して、ピストンの頭部が小刻みに首を振るノッキングと呼ばれる状態を生じ、傷がついて摩耗を早めたりする可能性のある現象が起きやすい。
E10やE5のラベルは何の意味?
ということで、スーパーバイクのような頂点マシンでなくても、それこそベスパのようなスクーターからロイヤルエンフィールドのように空冷でトラディショナルなバイクでも、日本ではハイオクを給油する必要がある。
また燃料タンクのラベルにE-10などの表記がある。
これはオクタン価ではなく、環境負荷を抑えるためエタノールなどの再生可能な成分を混ぜることが決まっていて、これまでE-5(5パーセント)だったのが最近はE-10対応が可能なエンジン仕様が義務づけられているため、そういったステッカーが貼られているというわけだ。
こうした対応で油種を3種類から2種類へと減らす傾向もあるが、発展途上国を含め日本のレギュラーガソリンに相当するオクタン価はほぼ見つからないというギャップには首をかしげてしまう。
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