●文:根本健(ライドハイ編集部)
スーパーバイクが2気筒なら1000ccまでOKとなり、ホンダVTR1000Fとともに新チャレンジが始まる
スズキは、知る人ぞ知るVツインスポーツにチャレンジしていたメーカー。いまもSV650系をはじめ優れたVツインをラインナップしているのも、このTL1000Sからのチャレンジに端を発したものだ。
きっかけは、市販車をベースとしたスーパーバイクレースの車両レギュレーションの変更。4気筒を前提としていた750ccの排気量制限を、3気筒なら900cc、2気筒であれば1000ccとなったことで、日本メーカーもホンダとスズキがこれに対応したのだ。
ホンダは、V型4気筒の経験から瞬く間にVTR1000Fを開発、しかし意外な伏兵として、スズキがVTRと同じ1997年に、TL1000Sをデビューさせ世界を驚かせた。
こうした意欲的な開発を短期間で集約するのは、スズキの得意とするところ。しかも難易度の高いV型エンジンだけに、その結果は大いに注目を浴びた。
まず人々の関心を集めたのがその車重。乾燥で187kgは1000ccクラスで群を抜いた軽さだ。98×66mmのボア×ストロークは995cc。93ps/8500rpm/8.8kgm/7000rpmの90度Vツインは、アルミ製ダイアモンドフレームにマウントされていた。
エンジン全長の長いVツインを、ショートホイールベースとする工夫の数々
Vツインをスーパースポーツへ搭載しようとすると、まず問題なのが……
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