![ヤマハXJR1200/1300[名車レビュー] 空冷ビッグネイキッドの根強い人気【ネモケンのこのバイクに注目】](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2023/12/attachmentfile-file-22659.webp)
●文:ライドハイ編集部(根本健)
FJ1200の空冷4気筒をベースに開発をスタート。しかしビッグネイキッド最後発になるまで時間をかけた
1989年のカワサキ ゼファーから始まったネイキッド人気は、ビッグバイクへ波及。1992年にゼファー1100、続いてホンダCB1000スーパーフォアがデビューした。
ヤマハには、1984年からスーパーツーリングモデルとしてヨーロッパへ投入していたFJ1100の空冷4気筒エンジンが存在していて、翌1985年からはFJ1200へと拡大されていた。
このエンジンをベースにネイキッドを開発するのはたやすく思えたのだが、それがなかなか実現せず、XJR1200が登場したのは最後発の1994年となった。
なぜ時間がかかったのか? それは開発コンセプトを絞り込むのに手間取ったからだ。そこがいかにもヤマハらしいのだが、ライバルたちはビッグネイキッドを大柄で威風堂々としていればイイとわかりやすかったのだが、大柄でも乗りやすいハンドリングにするにはどうすれば良いのか、そこの議論で紆余曲折していたという。
さらに、スポーツバイクのフレームは、レプリカブームによりアルミの角パイプやデルタボックスフレームなどが続き、久しぶりのスチールパイプによるトラディショナルなダブルクレードルを溶接で組み上げていくキャリアのあるベテランから、新たに現場への再教育を依頼するなど、バイク歴を積んだユーザーから評価が得られるよう準備にも余念がなかった。
そうしたトラディショナルなベーシックスポーツといえど、頂点モデルとしてのクオリティにこだわった結果、リヤサスペンションにオーリンズ製を奢るなど、ファンの心を掴む要素が揃っていた。
しかも中庸を行くデザインながら、細部の美しい曲面などはヤマハファンのみならず大人向けを意識させたことも、人気に火をつけた。
デビュー当時、最大排気量だった1188cc/97PS/8,000rpm/9.3kg-m/6,000rpmは、232kgと他と較べると軽量だったこともあり、貫録たっぷりのボリューミーなフォルムながら、軽やかかつ前輪が安定感を優先したヤマハハンドリングに仕上がっていたことも、しばらく人気を独り占めしていた要因だった。
その好調な滑り出しをさらに確実にしたのが、翌1995年モデルからの、フロントブレーキへブレンボ製キャリパーを投入したことだろう。こうした攻勢で、デビュー以来の他をリードする人気は安泰に見えた。
そして1996年には、カウルも装着したXJR1200Rがバリエーションモデルとして加わったのだ。ちなみにこのXJR1200最終型では、シリンダーの冷却フィンを伸ばすといった小ワザもあって、ファンからの支持を高めていたのがいかにもヤマハらしい。
ライバルと同じ1300へ排気量アップ。空冷の心配をよそにロングランモデルへ
しかし、真っ向勝負を挑んでいたホンダは、BIG-1とネーミングしていたCB1000スーパーフォアを越えるヤマハの1200ccが許せないとばかり、CB1300と排気量をアップして対抗してきたのだ……
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
ライドハイの最新記事
ゼファーとは真逆のコンセプトで独り勝ちを掴む! 1989年のカワサキZEPHYR(ゼファー)をきっかけに、カウルのないフォルムをネイキッドと呼ぶカテゴリーが瞬く間に人気となった。 続いて1991年に、[…]
ネイキッドブームの立役者もライバル続出で遂に対抗刷新! 1989年、カワサキがリリースしたZEPHYR(ゼファー)は、レーサーレプリカ熱が冷めたタイミングもあって、瞬く間に400ccクラスの販売トップ[…]
カラーオーダープランにはじまり車体をツートンに塗り分けるまでに! ホンダは1991年、250ccの4気筒カムギヤトレイン、CBR250FOURやCBR250RをベースとしたJADEを投入した。 JAD[…]
新作CB750K内覧でヨーロッパのトレンドを強く要求され追加した「F」デザインが世界中で大ヒット! 1969年にリリースされた、量産車では世界初の4気筒、CB750FOURから10年が経とうとしていた[…]
小排気量にフレームからリヤフェンダーが別体化してスーパースポーツだけの前後18インチ! 1964年、ホンダは最もポピュラーだった90ccクラスに画期的なバイクをリリースした。 その名もCS90。当時は[…]
最新の関連記事(ネモケンのこのバイクに注目)
新型4気筒を待ち焦がれていたホンダファン CBにXが加わった車名のCBX400Fは、1981年10月にデビュー。バイクブーム真っ只中で爆発的な人気を誇ったホンダの切り札となったマシンだ。 実はカワサキ[…]
ボクサーエンジンの誕生、最強バイクとして世界中でコピー BMWといえば、2輪メーカーとしてスーパーバイクS1000系からボクサーのRシリーズなど、スポーツバイクで世界トップに位置づけられるメーカーだ。[…]
特別な存在をアピールする“衝撃”=IMPULSEと名付けたバイク スズキには、1982年から400ccネイキッドのシリーズに「IMPULSE(インパルス)」と銘打ったバイクが存在した。 IMPULSE[…]
250ccの4気筒はパフォーマンスで不利。それでも届けたかった4気筒の贅沢な快適さ 250ccで4気筒…。1982年当時、それは国産ライバルメーカーが手をつけていないカテゴリーだった。 1976年にD[…]
一般公道は乗りやすさ最優先、そのコンセプトを後方排気でピュアレーシーへ ヤマハは、1980年にレーサーレプリカ時代の幕開けともいうべきRZ250を発売。一躍250ccをビッグバイクを凌ぐパフォーマンス[…]
人気記事ランキング(全体)
世界初公開のプロトタイプ&コンセプトモデルも登場予定! ホンダが公式素材として配布した写真はモーターサイクルショー展示車および鈴鹿8耐時点のもの、つまりミラー未装着の車両だが、JMS展示車はミラー付き[…]
YZF-R1/R6のレースベース車が受注開始! ヤマハがロードレースやサーキット走行専用モデル「YZF-R1 レースベース車」と「YZF-R6 レースベース車」の発売を発表。いずれも期間限定の受注生産[…]
夏のツーリングで役立つ日除け&雨除け機能 KDR-V2は、直射日光によるスマホの温度上昇や画面の明るさ最大時の発熱を軽減するために日陰を作る設計です。雨粒の付着で操作がしにくくなる場面でも、バイザーが[…]
通勤エクスプレスには低価格も重要項目! 日常ユースに最適で、通勤/通学やちょっとした買い物、なんならツーリングも使えるのが原付二種(51~125cc)スクーター。AT小型限定普通二輪免許で運転できる気[…]
ウィズハーレー掲載記事のウラ側がわかる 俳優/タレント/サックスプレイヤーとしても活躍する武田真治さんが、故郷・北海道を同級生たちと結成するハーレーチーム「BLACK NOTE」とともに駆け抜けた!ハ[…]
最新の投稿記事(全体)
スマホ連携機能で魅力を増した、ボッシュ製ARASを備える最高峰ツアラー カワサキは「ニンジャH2 SX SE」の2026年モデルを11月1日に発売する。カラー&グラフィックの変更およびスマートフィンア[…]
地面を感じる直進安定性で日常の移動を安心快適に 決勝レース1で自己最高となる2位を獲得した第3戦を終え、全日本ロードレース選手権は8月下旬まで約2ヵ月間の夏休み。その間もいろいろと忙しいのですが、やっ[…]
ゼファーとは真逆のコンセプトで独り勝ちを掴む! 1989年のカワサキZEPHYR(ゼファー)をきっかけに、カウルのないフォルムをネイキッドと呼ぶカテゴリーが瞬く間に人気となった。 続いて1991年に、[…]
フレディ・スペンサー、CB1000Fを語る ──CB1000Fのインプレッションを聞かせてください。 とにかくすごく良くて、気持ちよかったよ。僕は何年もの間、新しいバイクのテストをしてきた。HRCのテ[…]
まさかのコラボ! クロミちゃんがホンダバイクと出会う ホンダがサンリオの人気キャラクター「クロミ」と、まさかのコラボレーションを発表した。クロミがバイクに乗りたくなるというストーリーのオリジナルアニメ[…]
- 1
- 2