●記事提供: ライドハイ編集部
一瞬では理解しにくい高度な開発には、ホンダ伝統の反骨精神も必要!?
Part1から説明している通り、4ストロークで挑戦を決めたNR500の開発で、ライバルとなる2ストローク4気筒500ccの110~120psを上回ろう、130ps/10,000rpmを目標に充塡効率からバルブ面積を算出すると、必要な吸気バルブ口径が通常の丸いピストンだと入りきらない。バルブを半月状にできればもっと稼げるが、燃焼室でバルブが接して密閉するシート面に、排気で生じる微粒の硬いカーボンが挟まると圧縮漏れを起してしまうので、そうならないよう丸いバルブが常に回転しながら開閉する仕組みなので変形にはできない。
しかし吸気4本を横一列、排気も横一列が並ぶ長円の燃焼室とピストンだと必要なバルブ口径面積が稼げることがわかった。これがオーバルピストン32バルブV4を開発した理由なのだが、NR500のデビュー当時はV8を開発したくてもレギュレーションで4気筒までなため、ピストン2個を連結した変形V⒋とした苦肉の策……と誤解?されがちだった。
乗ってみれば排気量がひとクラス以上も大きなエンジン特性が得られるという、圧倒的な違いを理解できただろうが、数人のGPライダーとテストライダーしか乗っていなかったのだからムリもない。
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