
●記事提供: ライドハイ編集部
「丘の向こう側に待ってるんで、そこで止まってください」……と、一般ライダーにスクーターで走ってもらう、そのデータ解析があの効き味の原点!
30年以上前、既にレース界はもとよりスーパーバイクのほとんどがブレンボ製ブレーキを採用していた頃、R&Dの担当スタッフに取材することができた。
知りたかったのは、あのブレンボでしか味わえない入力したときの自然な立ち上がり方、そしてもちろん度肝を抜かれる強烈なストッピングパワー、そしてそしてリリースしたときにパッと放れずスウッと効きが引いていく、完璧な作動の感性はどうやって開発しているのか?ということだった。
「300km/h、いや400km/hだろうが1~2秒で回転しているホイールを止めることは、どこのブレーキ・メーカーでも可能です」
「でも最も重要なのは、安心してかけられる性能と信頼できる特性。そのため極くフツーのライダー、それこそ日常の生活道具で乗っているおじさんおばさんに”丘の向こうにスタッフが待ってるんで、そこで止まってください”とだけ伝えてスクーターで走ってもらいます。人によっては人影が見えたトコロから徐々に減速して待ってる箇所で停止する場合や、待ってる人の前でいつも止まっている減速でピタッと停車したり……何を感じてどう操作するかは千差万別、その入力のしかたや、リリースに至るまで、どう思ったかの感想と共にデータ化します。これがF1ドライバーやMotoGPライダーからのフィードバックより重要なんです。人間がどう感じてどう操作するのか、これをあらゆるシーンでベースにしています」
だから、あそこまでプロフェッショナルからビギナーまで、ブレンボのブレーキに絶大な信頼感を覚えるのか……このまさかのフィロソフィを聞いたときの納得感といったらなかった。
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