マン島T.T.レースに代表される、一般公道を閉鎖するのはいわばロードレースの原点。でも一瞬のミスやアクシデントで命を危険に晒すのは……。
●記事提供: ライドハイ編集部
A.最初は憧れましたが、あまりの死亡事故に世界GPからは消滅しました
ボクが初めて世界GPを走ったのは1975年。当時はマン島T.T.をはじめ、ベルギーGP、フィンランドGP、ユーゴスラビアGP、チェコスロバキアGP、と年間12戦中5開催が一般公道を閉鎖するレースでした。
元々ロードレースは、腕自慢が一般公道で競ったのが原点。それがレースを開催する週末3日間だけ、レーサーが周回するコースに一般公道をアレンジするようになったのがルーツ。
世界GPデビューレースとなってベルギーGPは、ボクにとって公道レースというのも初体験で、予選がはじまる4日前に現地入り、トランポで何周も走り、それから1周14キロのコースを覚えようと毎日歩きました。
でも平均時速が200km/hを越える超々高速コース、いざ走り出したらどのカーブも速度が高すぎて事前の仕込みはまったく役立たず。
しかも道路が片側1車線の狭さで、当然のように雨対策で両端が低くセンターが持ち上がってなったカマボコ型。右カーブだと入り口が逆バンク、クリッピングポイント付近のいちばんイン側はカントがついた走りやすさですが、立ち上がりでアウトへ膨らむと再び逆バンクでマシンのバンク角が勝手に増え、滑ったら石壁に激突するしかない状況に、ちょっとでもグリップ感が薄くなると反射的にスロットルを戻してました。
ただそうしたリスクを、たとえばバンク角を抑え転ばないようマージンをとって走るのがプロ……百戦錬磨のベテランたちの振る舞いに尊敬の念を抱いていたのですが、実際に公道をレーシングマシンで走るとあまりの危険度に戸惑うというか、唯々怯むしかないほどショックをうけました。
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