あの時これがあったなら……本気でそう思う(伊丹談)

【マン島TT 徹底攻略】本物のマン島ライダーがゲームに挑む!![そして敗れ去る]

  • 2019/7/7

TT Isle of Man - Ride on the Edge_20180411155808

世界最古にして最長の距離を誇る、バイクの公道レースがマン島TTだ。そのコースを完全再現したPS4用のゲームが登場。かつて実際にマン島TTに挑んだ伊丹孝裕がそのリアルさを体験してみた!(※ヤングマシン2018年6月号より)

テスターはマン島TTライダー・伊丹

TT伊丹:マン島TTに出たいがために脱サラし、地方選手権を経て3年掛かりで国際ライセンスへ昇格。2010年に初参戦が叶い、スーパースポーツクラスで2度完走を果たしている。

7538円であの島へ行けるという贅沢

思い起こせば8年前(掲載当時)のちょうど今頃。来る日も来る日もなにをしていたかと言えば、家でも外出先でも食事中でもトイレの中でもひたすら飽きることなくDVDを見ていた。もちろん中身はマン島TTのオンボード映像を収録したものだ。なぜならその年の5月にマン島TTに初参戦することが決まっていたからで、少しでもコースや周りの風景を覚える努力をしていたのである。

今だから言えるが、ぶっちゃけそれはたいして役に立たなかった。一般的に入手できる映像はいきなり全力全開で、しかも超トップライダーのものばかり。流れる景色が速過ぎる上に、自分で操作できるわけでもないから現実味がなかったのだ。だから実際に現地入りした時、「へ? なんかDVDと全然違うやん……」とぼう然したことを覚えている。

とはいえ、泣きながら帰るわけにもいかないので島に着いてからはこれまた来る日も来る日もクルマでコースを走り、右左だけでなく、上下のイメージ(ギャップでジャンプする箇所がたくさんあるのだ)を作ろうとしたものの、これもやっぱりたいして役に立たなかった。

なぜかと言えば、通常は一般公道なので車線をまたいで走ることはできず、制限速度にも超絶厳しいため、ますます「DVDと違うやん」と思うばかり。だからといって、マン島TTにはスポーツ走行や練習走行の時間が設けられているわけではない。島民の日常生活ありきなので、そんなもののためにいちいち生活道路を封鎖するわけにはいかないのだ。

決勝までには一応「プラクティス」と呼ばれる時間が何度かあるものの、れが事実上の予選になる。初参戦のルーキーにとって、これは相当恐ろしい。なにせそれまで時速40km程度で、しかも左側車線だけを走りながら、なんとなくコースを覚えていただけなのに、いきなりレーシングスピードで走ることを要求されるからだ。知らない峠を前にして平均時速200kmで走ってこい! っ言われたらイヤでしょ? でもマン島TTはそういうレースだ。

だから「もしもあの時このゲームがあったら」って心底思う。それほどリアルに再現された最高のレーシングシミュレーターと言える。

というわけで、OTA 堀口 と TT伊丹がガチ対決!!

「ゲームは一切買ったことがないがTTはよく知る伊丹」と「ゲームにしか生きる意味を見つけられないがTTは初見の堀口」がいざ対決!

[OTA 堀口:ゲームセンス以外全てゼロ]vs[TT伊丹:ゲームセンス以外MAX]

[結論]TTに出たことなくても勝てる。

【勝】21分34秒…………23分41秒【負】

もちろんマン島は初見。2分差でしたっけ? 終わって馬力差だの、何だのって仰ってましたが、単純に指が「動いちゃった」それだけですね。(OTA 堀口)

全身で喜びをあらわす勝者OTA堀口と、敗者TT伊丹。

俺は堀口に負けたわけじゃない。誇りを懸けてTTレースへ再び挑み、華々しく散っただけのこと。そのスピリッツを笑うヤツは許さねぇ!!(TT伊丹)

……数日後、怒りに震えながらアマゾンでなにかをポチる伊丹を見たとか見ないとか。

ゲームには実車&実名が収録される

’16〜’17のTTレースに実際に参戦した23名のトップライダーとそのマシンを収録。カラーリングも忠実に再現され、お気に入りのライダーを選べる。マシンのパワーや挙動もそれぞれ異なるなど、ファンにはたまらないはずだ

CBR1000RR×John McGuiness

’96年にデビュー。これまで現役最多の23勝を達成し、表彰台には46回も登壇しているレジェンド。近年は無限が開発している電動マシン「神電」のライダーも務めている。

S1000RR×Michael Dunlop

マン島の英雄ジョイ・ダンロップの甥にあたる。’07年にデビューし、優勝は15回。’16年には史上初の16分切り(平均時速は213km超)を達成するなど、今最も速いライダーのひとりだ。

MMX500×Ian Lougher

マン島TT初参戦は’84年という大ベテラン。軽量クラスを得意とし、これまで10勝をマークしている。’16年にはスッターの2ストローク580ccマシンMMX500で参戦し話題を呼んだ。

1190RS×Mark Miller

AMAスーパーバイク選手権で活躍した後、’06年からマン島TTに参戦を開始。電動クラスで1勝をマークしている。’16年はEBRで参戦したが、そのシーズンオフに引退を発表した。

ZX-10R×Ryan Kneen

下位カテゴリーのマンクスGPで結果を残し、マン島TTには5年前にデビュー。クラシッククラスではすでに優勝経験があるため、今後の活躍が期待される次世代のライダーだ。

キャリアモードで成り上れ!

自分でキャラクターを作成し、世界No.1のTTライダーを目指すのがキャリアモード。ゲーム内で設定されたコース&ミッションを勝ち抜き、報酬として得たポイントを貯めて、新たなマシンを購入するサクセス要素もあり。

初心者に優しいアシストモードあり

[セッティングを変えられる]トラコンやアンチウィリーといった各種電子デバイスの介入度が変更できる他、ミッションの形式も選べるためビギナーも安心して遊べる。

[理想のラインが見える]TTコースは1周60.73km、コーナー数は250を超えるため攻略は超難関。ただしラインや減速ポイントを指示してくれるモードがある。

マルチプレイで熱くなれ!

オフラインなら1〜8人、オンラインなら2〜8人でバトルができるため、熱くなること間違いなし。ライダーの聖地とも呼べる場所でレースの疑似体験を手軽に味わえるのだ!

300km/h超で視界ブレまくり!

このゲームの最も優れている部分が実際に走ったことのあるライダーしか知らない景色も再現しているリアルさだ。スロットル全開区間で流れる木々の見え方はまさにそのまま!

マン島TTレース ●税込価格:通常版7538円/DL版6800円/デラックスパッケージ1万454円 ●プレイステーション4用 ●プレイ人数:オフライン1-8 オンライン2-8

●文:伊丹孝裕 ●写真:飛澤慎

後編ではTT伊丹が実際の体験エピソードを交えてマン島TTコースを紹介!(つづく)

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ヨ

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帰ってきたネイティブ足立区民。ヤングマシン、姉妹誌ビッグマシンで17年を過ごしたのち旅に出ていた編集部員だ。見かけほど悪い子じゃあないんだぜ。
■1974年生まれ
■愛車:MOTOGUZZI V7 SPECIAL(2012)