●記事提供: ライドハイ編集部
アンチスクワットって知ってますか?
コーナーで加速すると後輪が路面を蹴り、トラクションの応用で旋回安定を高めてより強く曲がっていく……スポーツバイクでコーナリングの醍醐味を楽しんでいるライダーにはお馴染みのシーンだ。
しかし、このときスロットルを開けると後輪に加速Gも加わって、グイッと沈んで踏ん張ってくれるのでグイグイ曲がる、そう思い描いているとそれは大きな錯覚をしていることになる。
この加速で、つまりエンジンの駆動力が後輪に伝わるとき、たとえばチェーンの引っ張りでリヤサスが縮む方向へ応力が加わっていたら、つまりリヤが沈むことになり、後輪は路面への面圧を失って滑ってしまう。
そうならないよう、チェーン駆動ではスイングアームピボットが高い位置に設定され、駆動力がかかったとき後輪側は距離の短いほう、つまりリヤサスは伸びる方向へ応力が働くようにしてあるのだ。スイングアーム上面にゴムや樹脂製のチェーン・スライダーが装着されているのはこのため。これはシャフト駆動も同様で、90°方向を変換する駆動系の回転方向は、路面へ後輪を押し付ける方向に設定する。
この設定はアンチスクワット(しゃがみ込まない)と呼ばれ、リヤサスが沈んでもこの位置関係が変わらないよう、スイングアームを長くするのが最新の設計となっていて、コーナリングにはショート・ホイールベースが優位なためエンジンの長さを前後で縮める軸配置など、設計の基本が大きく変わってきてもいる。
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