●文/写真:モトツーリング編集部(カン吉)
天空を駆ける道、ここより上はもう空しか存在しない
急峻な四国山脈をその背骨とする四国地方は日本屈指の山国だ。その為、展望風景は果てしなく続く山岳様相が特徴的だ。しかし、唯一の例外がここ四国カルストである。
突き抜けんばかりの大展望の中、眼下には石灰岩の石塔原。ここが大山脈の頂上である事を忘れてしまう程の絶景草原が山稜一面に広がる。
標高は約1400m。真夏でも涼しさを感じる天空の楽園を縦断する1本道が、この四国カルスト公園縦断線だ。
まさに天空を駆ける道。ここより上はもう空しか存在しない。稜線上に伸びる縦断路は、一寸前の永遠に続くかと思われる狭い連続タイトコーナーとは対照的だ。
大空へ飛び出すかのようにアップダウンを繰り返しつつ、バイクにとって最も気持ちの良い緩やかな線形を描く。如何なる犠牲を払って訪れても、生涯忘れない光景になる事は間違いない。見る物全てが圧倒的。四国ツーリングでは絶対に走りたいツアラー垂涎の道なのだ。
現在、日本3大カルスト地形として知られている場所ではあるが、観光地感・秘境感・達成感・混雑度… どれを取ってみても他の地域とは明らかに別格だ。
「風になる為にここへ来た…」
明らかにクサすぎる台詞だが、ここではその表現ですらかなり控えめな表現になってしまうだろう。
ここへまだ訪れた経験がない旅人達に一言。それは「この景色を直に見た事がないのは大変な不幸である」という事だ。
姫鶴荘:四国カルストの山頂レストハウス
古来の道路線形を楽しめるのも四国ならでは
四国カルスト西側、国道440号線は、現在「地芳道路」と呼ばれる高規格道路が開通しているが、東部方面へは九十九折れの酷道が殆どだ。時間の割に距離は伸びず、事故のリスクも高めだが、古来よりの道路線形を楽しめる四国ならではの道とも言える。
梼原橋
四国カルストの麓に位置する高岡郡梼原町。最先端の木材加工技術と豊富な森林資源を生かし地元では“木橋の里”として知られている。これは全国でもレアな木製のアーチ橋。しかも観光名所ではなく幹線道路の重要な橋梁。何と、トラックをも余裕で支える強度を持った木橋なのだ。
御幸橋
梼原町内にある三島神社の参道に掛けられた人道橋。梼原町産材を多用した珍しい屋根付き橋で、この橋を目当てに訪れる観光客も多い。しかし、意外と知られていないのが、国内でも激レアな木製トラス橋である事。
【瓶ヶ森林道】四国最高所の絶景トラバースルート
え!? 林道っスか? そんな声も聞こえてきそうだが、ご安心あれ。 総延約27kmの山岳林道だが、全線完全舗装されておりビッグツアラーでも安心して通行可能だ。しかし、四国路をナメてはいけない。山頂付近までは狭路&連続コーナーの見本市状態。落石も多く、路面をしっかり確認しながらのライディングが必須だ。初心者ツアラーにとっては試練の道とも言えるだろう。
しかし、そこをあえてチャレンジして訪れる価値がここにはある。標高は実に1700m。
四国で最も高い実走可能な道なのだ。冷涼で神秘に満ちた空気。霊峰石鎚山を目前に山脈をトラバースするダイナミックな山岳路は、山岳信仰の修験者達も歩んだ四国で最もパワー溢れるルート。頂上から見下ろす山塊風景は異世界感抜群だ。少々酷道を走ってきた疲れなど一気に消え去ってしまうだろう。
一般的な“○○スカイライン”等と比べると確かに難易度は高いかもしれないが、ケタ違いの感動を体験できる一生に一度は絶対に訪れて頂きたいルート。
全線1.5車線、ほぼ太古より変わらぬ線形で、四国道を代表する典型的な酷道だ。 しかし、四国一の山脈をトラバースする絶景山岳道。バイクで来て良かったと心から思える瞬間があちこちにある。
険道ながら標高1500超の山塊を一望する絶景山岳ルートだが、激狭&連続タイトコーナー中心の旅になる上、文明の面影は道路と看板のみ。ガードレールすら省略された箇所も多く、ツーリング初心者には精神的にも体力的にもかなり厳しいに違いない。
林道で出会う湧き水は絶品だ!
膨大な降水量を誇る四国山地は美味い湧水も点在。林道への東側アクセス路である寒風山隧道付近には湧水スポットもある。天然の濾過のみで頂ける100%自然の天然水。必ずペットボトル持参で行こう。
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