
軽くて錆びず複雑なデザイン対応できる樹脂素材に比べると、重くて錆びる金属素材は使い勝手が良くないのは確かだが、重厚感や独特の光沢といった質感では一歩も譲らず、中でもクロームメッキ仕上げには樹脂素材には出せない雰囲気や価値がある。その価値を長く維持するために欠かせないのが、サビを予防するためのケアと、サビを見つけた時の適切な対応だ。今回は旧型スーパーカブのメンテナンスのため、メッキのプロ/磨きのプロであるNAKARAI製のケミカル「KINGシリーズ」を使ってみた。
●文/写真:栗田晃(モトメカニック編集部) ●外部リンク:NAKARAI
メッキング/ミガキング/サビトリキングの三段活用で絶版車のクロームメッキをサビから守る
街乗りはもちろん、ツーリングでも小気味よい走りを見せる、スーパーカブ/クロスカブ/ハンターカブなどのホンダ横型エンジンモデル。
そんな現行モデルと同様に、いまだ多くのユーザーから親しまれているのが、キャブレター時代のスーパーカブ。随所にクロームメッキ部品があしらわれたデザインは、見た目も可愛いと好評だ。
だからこそ、メッキ部分のメンテナンスが重要。クロームメッキは、塗装やアルマイトと並ぶ代表的な表面処理であるが、経年劣化などで表面くすんだり、点サビが発生する場合もある。
今回使ってみたNAKARAIのKINGシリーズは、「メッキング」「ミガキング」「サビトリキング」の3種類。どれもメッキのプロの知見を生かしての立場から開発されたケミカルだ。
「メッキング」はメッキ表面の孔を埋めつつ、長期にわたって持続するコーティング被膜が特長で、サビが発生する前に使用するのが最適だ。
日頃の洗車時に使い勝手が良いのが、超微粒子コンパウンドを主成分とした「ミガキング」。一方で、すでにサビが発生しているパーツの手入れに効果的なのが「サビトリキング」である。強く擦ると小傷が残るクロームメッキに対して、コンパウンド成分にサビに反応する薬品を加えることで、優しく撫でることでサビを除去できるのが特長。
クロームメッキは日頃のメンテナンスが数年後に大きく影響する。大切なカブとのバイクライフを楽しみたいなら、このKINGシリーズなどを活用した適切なケアが不可欠だろう。
点サビ拡大前の対処が重要。サビトリキングで優しく除去しよう
熱が伝わり、水分も付着しやすいマフラープロテクターは、サビが発生しがちな部品。クロームメッキには目に見えない極小の孔が無数にあり、そこから浸入する水分がサビの原因となる。
点サビを落とすには、サビトリキング(ここでは大容量のデカキング)が最適。
付属の汚れ拭きクロスにたっぷりつけて「優しく擦る」(これが重要!!)と、徐々にクロスに引っかかる点サビの感触がなくなり、滑らかに滑るようになる。
クロームメッキ被膜が剥がれた部分は致し方ないが、赤い点サビはなくなりメッキの光沢が現れる。
この状態からメッキングを使うことで、サビの進行を抑えることができる。
薄く塗布することで点サビの奥に浸透して、水分の通り道を塞ぎ、表面は特殊シリコーンによる強力な保護被膜ができる。
洗車で落ちないくすみや汚れはミガキングと史上最鏡クロスで一発除去
通常このシャンプー洗車だけでは取れないメッキのくすみ。ウエスで擦ると小傷がつくので要注意。
超微粒子コンパウンドを主成分としたミガキングは、クロームメッキや鏡面ステンレスの汚れやくすみの除去に最適。粘度が低くサラサラだ。
付属の史上最鏡クロスにつけて擦ると見る間に汚れが付着する。だがメッキ表面は傷つかない。
ほんの数分でこの輝き。サビが発生する前のケアなら、ミガキングだけで十分だ。
メッキングの光沢剤成分で輝きもアップする。
サビを取り汚れを落としたらメッキングでコーティング
サビの兆候が出始めているメッキ面に硬い金属磨きを使うと、スクラッチだらけになる。
フェルト素材の汚れ拭きクロスはサビをからめ取るため、同じ部分を使い続けると新たな傷の原因となる。
そのため常にきれいな面を使うことが重要。最初は点サビが引っかかるが、やがて滑らかになる。
サビが落ちたらミガキングで磨き込む。塗装面を磨く際にコンパウンドの粒度を徐々に細かくするイメージだ。
やはり最後を締めるのはメッキング。厚塗りすると虹色のムラが出るので、硬化する前に薄く塗り広げる。
特殊シリコーンには防錆効果とともに小傷を埋める効果もある。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。
バイクいじりの専門誌『モトメカニック』のお買い求めはこちら↓
モトメカニックの最新記事
“機械遺産”のコンディションをどう維持するか 電気自動車や電動バイクの普及が進めば進むほど、旧車や絶版車ムーブメントは一段と熱くなりそうだ。内燃機関に対する注目度が高まるのと同時に、ユーザー自身は“機[…]
擦らず拭くだけでOK。デリケートな素材も傷つけることなく赤サビを除去できる バイクや自動車の部品はもちろん、橋梁/建築物/工具/アウトドア用品の材料として当たり前のように使われている鉄素材。豊富な埋蔵[…]
車種別専用パーツのラインナップも豊富なキジマ バイクメーカーが開発するニューモデルは、ビギナーからベテランに至る幅広いニーズに応えるべく仕様を決定しているが、それでもすべてのライダーの希望を叶えられる[…]
メンテナンスで覚えて、カスタムで楽しむホンダのモンキー&ゴリラ シフトアップ製88ccキットを組み込み、ノーマルキャブのままでセッティング変更せずに普通に走ることができた、6ボルト仕様の初期型黄色ゴリ[…]
ネットで注文できる1サイズ&1プライスガレージ。完成状態で運搬されてクレーンで据え置きされる サンデーメカニックなら誰もが知る工具ショップ・アストロプロダクツのホームページ上に「BIKE小屋」という商[…]
最新の関連記事(メンテナンス&レストア)
エンジンがかかりにくい→完全停止へ 今回直したのはスズキのZZです。2000年代初頭に登場した50ccスクーターで、「通勤快速」として人気を博し、油圧ディスクブレーキやアルミホイールなど、当時としては[…]
“機械遺産”のコンディションをどう維持するか 電気自動車や電動バイクの普及が進めば進むほど、旧車や絶版車ムーブメントは一段と熱くなりそうだ。内燃機関に対する注目度が高まるのと同時に、ユーザー自身は“機[…]
大和ハウスグループが手がけたD-Wash 愛車を長持ちさせるためにも、大切にしたい「洗車」という作業。 汚れの放置はサビや各部品の劣化が進むことにもつながるし、洗車をしながら、緩んでいるボルトやパーツ[…]
擦らず拭くだけでOK。デリケートな素材も傷つけることなく赤サビを除去できる バイクや自動車の部品はもちろん、橋梁/建築物/工具/アウトドア用品の材料として当たり前のように使われている鉄素材。豊富な埋蔵[…]
スパナやレンチの長さが違うのはナゼ? 工具箱に並ぶスパナやレンチ。 10mm、12mm、14mm…サイズごとに全長が違うのは、当たり前の光景ですよね。これもそうだし。 コッチもそう。狭所作業用の短いス[…]
最新の関連記事(オイル/ケミカル)
“機械遺産”のコンディションをどう維持するか 電気自動車や電動バイクの普及が進めば進むほど、旧車や絶版車ムーブメントは一段と熱くなりそうだ。内燃機関に対する注目度が高まるのと同時に、ユーザー自身は“機[…]
擦らず拭くだけでOK。デリケートな素材も傷つけることなく赤サビを除去できる バイクや自動車の部品はもちろん、橋梁/建築物/工具/アウトドア用品の材料として当たり前のように使われている鉄素材。豊富な埋蔵[…]
オイルひとつでエンジン特性が激変!! ヤマハ純正オイル「ヤマルーブ」。4ストロークエンジン用のオイルだけでもさまざまなグレードが用意されているが、いったいナニがどう違うのだろうか? はたして一般ライダ[…]
チェーンメンテナンスって難しそう 日常的なバイクメンテナンスの代表格といえば洗車ですが、その次に作業頻度が高いと思われるのは「チェーンメンテナンス」 チェーンメンテナンスの工程は大きく分けて以下の3つ[…]
論より証拠! 試して実感、その効果!! カーシャンプーやワックスをはじめ、さまざまなカー用品を手がける老舗ブランド・シュアラスター。そのガソリン添加剤シリーズ「LOOP」のフラッグシップモデルが、この[…]
人気記事ランキング(全体)
日本を代表するツーリングロードのティア表だっ! 「次のツーリングは、どこへ行こう?」 そんな嬉しい悩みを抱える全てのライダーに捧げる、究極のツーリングスポット・ティア表が完成した。 ……いや、そもそも[…]
Z1、GPz900R、Ninja ZX-9Rから連なる“マジックナイン”の最新進化系 カワサキは、948cc並列4気筒エンジンを搭載したスーパーネイキッド「Z900」および上級モデル「Z900 SE」[…]
幻のヤマハロータリー〈RZ201〉 1972年東京モーターショウの最大の話題は彗星のように登場したこのローターリー車だ。水冷・横置きツインローターを搭載、また前輪とともに後輪にもディスクブレーキを採用[…]
涼しさの心臓部。それは「素材」と「構造」の魔法的組み合わせ うだるような暑さと、じっとりと肌にまとわりつく湿気。毎年繰り返されるこの季節に、多くの人が少しでも快適に過ごせる服を探し求めている。そんな中[…]
機能性を損なうことなく利便性を高めた、期待の新製品 おたふく手袋は、長年、多くのプロフェッショナルから信頼され続けている老舗軍手メーカー。同社が展開する「BODY TOUGHNESS(ボディタフネス)[…]
最新の投稿記事(全体)
バイク駐車場の拡充に取り組む千葉市 千葉市内には6区で50の鉄道駅がある。中でも千葉駅は千葉県の中心駅として、JR東日本の在来線6線と京成電鉄、さらに千葉都市モノレールが乗り入れている。 都心や成田空[…]
州知事や政府関係者のほか、従業員も参加し祝う 四輪車はもちろん、ビジネスジェット機でも知られ、最近では再使用型ロケットでも話題のホンダ。その始まり、つまり「祖業」は二輪車にある。 スタートは自転車用補[…]
2024年モデル概要:XSRらしさを受け継いだ末弟 海外で先行して展開されていたXSR125の国内導入が明かされたのは、2023年春のモーターサイクルショーでのこと。発売は同年の12月8日だった。 X[…]
似ているようでカブとはまったく違うのだ アウトドアテイストの強いCT125ハンターカブが人気だからといって、ここまでキャラクターを寄せてくることないんじゃない? なんて穿った見方で今回の主役であるPG[…]
実績豊富なディーラーによる絶妙なバランス感覚 全国のハーレーダビッドソンジャパン販売網がカスタムの腕とセンスを競うコンテスト『バトルオブザキングス』にて2年連続で日本一になった実績を持つワタナベモータ[…]
- 1
- 2