
ハンドツールは整備や修理を行う際の重要な武器である。ボルトやナットを回す作業もメガネレンチで対応できる場合ばかりとは限らない。だから工具メーカーはさまざまな形状や機能を持った製品を開発するわけだし、我々ユーザーも工具への好奇心を持ち続けるのだ。「あの工具があれば…」と作業が足止めを食う前に、使い勝手の良さそうな製品に興味を持ち、手を伸ばしたいものだ。今回は、サンデーメカニックからプロまでが使用するストレートの工具を5種紹介する。
●文/写真:モトメカニック編集部 ●外部リンク:ストレート
スパナプライヤー:刻みのないジョーが平行にスライド。スパナのように使えるプライヤー
ストレートのスパナプライヤーは、細部の形状や仕上げは異なるものの、ヒンジの仕組みや特徴はクニペックスのプライヤーレンチと同様だ。
180mmの全長に対して最大開口幅は42mmと広く、その調整もプッシュボタンを押してハンドルをスライドさせるだけなので、モンキーレンチに比べてスピーディーにセットできる。車載工具に入れておいても重宝する。
最小6mm〜最大42mmまで、15段階でスライド&ロックし、ボルトやナットの二面幅に合わせてグリップを握るだけ。グリップを握ると開口幅が6mm狭まり遊びがゼロになる上に、握れば握るほど挟み込む力が強くが働くため、なめにくいのも魅力。
モンキーレンチ:薄いジョーが大きく開き、狭い隙間に滑り込む
ボルトやナットとの接点が少ないため、扱いに注意が必要なのがスパナやモンキーレンチ。とくにモンキーは調整ウォーム部分のクリアランスによって遊びが生じやすいが、その代わりに1本で幅広いサイズに対応できるメリットがある。
このストレートの新製品は掴み面の先端が4mmと薄くスリムなため、狭い場所やダブルナットを回す場面で実力を発揮する。
ワイドな開口部は目盛り付きで、樹脂グリップは握りやすく力を入れやすいが、先端が薄いのでオーバートルクに注意。上のスパナプライヤーと同様に、このモンキーも有名工具ブランドを彷彿させる。
LEDライト:広範囲を照らせてモバイルバッテリーに変身。常に持っておきたい
薄暗い中、手探りで工具を扱うと思いも寄らぬミスをしがちだが、手元が明るいだけで状況が正確に判断できる。LEDライトの普及による作業環境の改善は著しく、明るさや連続使用時間の長さなどライト自体の進化も止まらない。
スマホやデジカメと同様に、確実に性能向上しているのがLEDライトの世界なので、定期的なアップデートが必須だ。
【充電折り畳み式 LEDライト幅広調光機能付き COBタイプ レッド 38-8423】●ストレート会員価格:3260円
折り畳むと150×48×38mmとなるコンパクトな本体には3600mAhのリチウムイオンバッテリーを内蔵し、約400LmのメインLEDで連続5時間使用できる。照射範囲が広い調光機能付きメインLEDは前後方向に270度首振り可能で、その先端にはスポットライト的なサブLEDを装備。USB-Aの出力端子付きで、モバイルバッテリー代わりにもなる。
作業マット:小さな部品の紛失を防ぎ、はんだづけ作業もOK
作業台上で細かな作業をすると、パーツが転がってしまい慌てることがある。そんな時に役立つのが、保管時は小さく丸められるシリコン製の作業マット。
サイズはA4用紙と同じ210×297mmで、パーツの整理に便利な小分けスペースや配線作りで役立つ定規機能があり、さらに耐熱温度が500℃なのではんだ付け作業の下敷きとしても最適だ。
キャプレターやハンドルスイッチなどを分解した際に、細かな部品が行方不明になるのを防ぐと同時に、誤組み立て防止にも役立つ小分けエリア。
チェーンカッター:クリップチェーンの長さ調整だけでなく、シールチェーンのピンカシメにも対応
製品名称はチェーンカッターだが、この1セットで420〜530サイズのドライブチェーン切断/カシメチェーンのジョイントプレート圧入/コネクティングピンの丸かしめが可能なマルチツール。
工程ごとに使用するパーツを組み替えるのが煩雑で迷いやすい製品もあるが、この製品は独自構造によりその手間を軽減しているのが特長だ。
ボディと別体のねじ込み式ハンドルを採用することで、作業体勢やチェーンまわりの構造に応じた形状変更とコンパクトな収納を両立。基本的な機能はしっかりしておりコストパフォーマンスは高い。
シールチェーンのピンカシメは再度カット&リベットピンを使い、シャフトを抜いて14mmのレンチでプッシュボルトを締め込む。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
バイクいじりの専門誌『モトメカニック』のお買い求めはこちら↓
モトメカニックの最新記事
熱膨張率の均一化によって様々なアドバンテージがある 2ストローク/4ストロークエンジンを問わず、エンジン性能を向上するためには様々な課題や問題がある。特に大きな課題は、“熱膨張率”に関わる問題だ。 「[…]
クニペックス製と瓜二つ!? アストロプロダクツの新製品「プライヤーレンチ」 ボルトやナットの2面を隙間なく掴める、平行に移動するジョー、グリップを握る力が増力される独自のジョイント構造、全長に対して著[…]
ドロ汚れだけではなく油汚れにも効果てきめん。分解前には周囲の汚れ落としが基本 台風被害による河川越水時にエンジン腰下まで水没したカワサキW1‐SA。その後、放置期間がしばらく続いたが、嫁ぎ先が決まった[…]
ガソリンタンク内部は処方前に現状把握から 今回登場するカワサキエリミネーター250は、モトメカニック編集部の友人が所有する車両だ。ガソリンがオーバーフローするため、その相談で編集部ガレージに持ち込まれ[…]
ユニバーサルソケット:手が届かないボルトやナットもナットグリップ機構でホールド スチールボールによるフリクションでボルトやナットをホールドするコーケン独自のナットグリップソケットと、ユニバーサルジョイ[…]
最新の関連記事(メンテナンス&レストア)
熱膨張率の均一化によって様々なアドバンテージがある 2ストローク/4ストロークエンジンを問わず、エンジン性能を向上するためには様々な課題や問題がある。特に大きな課題は、“熱膨張率”に関わる問題だ。 「[…]
「消えないブレーキランプ」は他人ごとじゃない 街中をバイクで走っていたところ、前を行くスクーターのブレーキランプがなんか明るいな~と思ったら、どうやら点灯しっぱなしになってるぽかったのですよ。 毎度乗[…]
クニペックス製と瓜二つ!? アストロプロダクツの新製品「プライヤーレンチ」 ボルトやナットの2面を隙間なく掴める、平行に移動するジョー、グリップを握る力が増力される独自のジョイント構造、全長に対して著[…]
軽量で取り扱いやすく、初心者にもピッタリ 「UNIT スイングアームリフトスタンド」は、片手でも扱いやすい約767gという軽さが魅力です。使用後は折りたたんでコンパクトに収納できるため、ガレージのスペ[…]
ドロ汚れだけではなく油汚れにも効果てきめん。分解前には周囲の汚れ落としが基本 台風被害による河川越水時にエンジン腰下まで水没したカワサキW1‐SA。その後、放置期間がしばらく続いたが、嫁ぎ先が決まった[…]
最新の関連記事(工具)
クニペックス製と瓜二つ!? アストロプロダクツの新製品「プライヤーレンチ」 ボルトやナットの2面を隙間なく掴める、平行に移動するジョー、グリップを握る力が増力される独自のジョイント構造、全長に対して著[…]
ユニバーサルソケット:手が届かないボルトやナットもナットグリップ機構でホールド スチールボールによるフリクションでボルトやナットをホールドするコーケン独自のナットグリップソケットと、ユニバーサルジョイ[…]
ある日チョークが折れてた エンジン始動でチョークを引っ張ったらいきなり「スポッ」と抜けた。何事かと思ったら・・・折れてたんですよ、チョークケーブルのアウターが。 アクセルやクラッチ、スロットルやチョー[…]
レストアでのつまづきはそこかしこに 古いバイクをレストアしていると意外なところでつまずいたりするものですが、今回引っかかったのが8インチのチューブタイヤの「リムバンド」。 こちらのホイール、別にリムバ[…]
ヤフオクで入手したバイクのフレーム。ネジ穴に折れたボルトが詰まってた!? ヤフーオークションでとあるバイクのフレームを買ったところから話が始まります。 フレーム曲がりや大きな傷もなく、塗装面も小傷があ[…]
人気記事ランキング(全体)
発売当初のデザインをそのままに、素材などは現在のものを使用 1975年に大阪で創業したモンベル。最初の商品は、なんとスーパーマーケットのショッピングバックだった。翌年にスリーピングバッグを開発し、モン[…]
軽量で取り扱いやすく、初心者にもピッタリ 「UNIT スイングアームリフトスタンド」は、片手でも扱いやすい約767gという軽さが魅力です。使用後は折りたたんでコンパクトに収納できるため、ガレージのスペ[…]
まるで自衛隊用?! アースカラーのボディにブラックアウトしたエンジン&フレームまわり 北米などで先行発表されていたカワサキのブランニューモデル「KLX230 DF」が国内導入されると正式発表された。車[…]
LEDのメリット「長寿命、省電力、コンパクト化が可能」 バイクやクルマといったモビリティに限らず、家庭で利用する照明器具や信号機といった身近な電気製品まで、光を発する機能部分にはLEDを使うのが当たり[…]
コンパクトな車体に味わいのエンジンを搭載 カワサキのレトロモデル「W230」と「メグロS1」が2026年モデルに更新される。W230はカラー&グラフィックに変更を受け、さらに前後フェンダーをメッキ仕様[…]
最新の投稿記事(全体)
竹繊維を配合した柔らかく軽量なプロテクターシリーズ 「お気に入りのジャケットを、もっと涼しく、もっと快適にしたい」、そんなライダーの願いを叶えるアップグレードパーツ「バンブーエアスループロテクター」シ[…]
対策意識の希薄化に警鐘を鳴らしたい 24年前、当時、編集長をしていたBiG MACHINE誌で「盗難対策」の大特集をしました。 この特集号をきっかけに盗難対策が大きな課題に そして、この大盗難特集号は[…]
「自分には自分にやり方がある」だけじゃない 前回に続き、MotoGP前半戦の振り返りです。今年、MotoGPにステップアップした小椋藍くんは、「あれ? 前からいたんだっけ?」と感じるぐらい、MotoG[…]
夏ライダーの悩みを解決する水冷システム 酷暑の中、ヘルメットやライディングウェアを身につけて走るライダーにとって、夏のツーリングはまさに過酷のひとこと。発汗や走行風による自然な冷却だけでは追いつかない[…]
コスパも高い! 新型「CUV e:」が“シティコミューターの新常識”になる可能性 最初にぶっちゃけて言わせてもらうと、筆者(北岡)は“EV”全般に対して懐疑的なところがある者です。カーボンニュートラル[…]
- 1
- 2