
新旧バイクへの処方で定評のあるエンジンオイル添加剤・スーパーゾイル。じつは、バイク以上に過酷な走りを強いられるトランポ=軽トラ&軽バンのケアにも有効なんです!
●文/写真:モトメカニック編集部 ●外部リンク:パパコーポレーション
高負荷気味の軽トラなら、早め早めのオイル交換を
ハイエースをトランポに使っているユーザーに対して、軽トラをトランポに使っているユーザーの方が、エンジンに対するねぎらいの念を抱くべきだろう。2000ccを大きく超える排気量に対して、軽トラのエンジンはわずか660cc。しかも積載バイク+αの荷物によっては、限りなく最大積載量350kgに接近。
そんな状態で運転すればわかるが、発進時からアクセルペダルを深く踏み込んでしまうもの。空荷で走る時と最大積載に近い時とでは、走り方にも大きな違いが出てしまうのだ。
気が付いたときにはエンジンオイルが減っていて、ドロッと黒く汚れているからオイル交換タイミング!? そんな目安でオイル交換しているユーザーもいるが、それは大間違い! 常に高負荷を強いられ気味の軽トラなら、早め早めのオイル交換が必要だろう。また、ゴー&ストップ+エンジン停止を繰り返す環境下でクルマを使っていると、オイルの消費や汚れ具合は明らかに早い。
その一方で、相当な距離を走っても、一度に走る走行距離が多く、一定速度で長距離を走り続ける機会が多いと、同じ走行距離でもオイルの汚れ方は遅い傾向のようだ。単純にオイル交換後「何キロ走った」だけではなく、オイルの汚れ具合や消費状況も、オイル交換タイミングを決める重要なポイントである。
本記事でオイル交換する軽トラのスバルサンバーは、実走行40万キロを超えた過走行車。以前のオーナーは軽貨物運送業者で、車体各部は明らかに整備の跡が残る、乘りっ放し車両ではなかった。それでも過走行車に変わりはないので、まずはオイル交換前にエンジン内を洗浄してみた。
筆者はトランポ=軽トラユーザーで、現在はEN07Y、4気筒エンジンを搭載したスーパーチャージャー仕様のスバルサンバーの2台使い。いずれも通称「赤帽」の払い下げモデルで、このクルマは実走40万キロ!! 過去のオーナーが大切に乗ってきた証だ。
今回は、一般洗浄剤によるフラッシングではなく、フラッシング専用オイルのフラッシングゾイルを利用。一般的な洗浄剤とは違った“効果的な洗浄”が可能なのも大きな特徴である。
レベルゲージ下限までフラッシングゾイルを注入し、エンジンをしっかり温め、のんびり運転で、距離にして30数キロほど走行。一般的なフラッシング剤とは大きく異なり、のんびり走行しながらエンジン内部をリフレッシュできるのがフラッシングゾイルの大きな特徴だ。その走りがまさに“効果的な洗浄”なのだ。
走行後、フラッシングゾイルを抜き取り、オイルフィルターも交換したが、クリアだったフラッシングゾイルは真っ黒になっていた。そんな廃油を見てしまうと“効果的な洗浄”の効果を理解できる。
新たに注入したエンジンオイルは、100%化学合成油のシンセティックゾイル10W-40。一般的に軽トラは10W-30指定が多いので、やや硬めと言えるが、高温になりがちな軽自動車エンジンの場合は、やや硬めのオイルの方が良い印象もある。
寒冷地域や冬場の北国では通常の指定粘度のオイルが良いと思うが、もし決まったエンジンオイルを利用しているのなら、添加剤の4サイクル用スーパーゾイルや同スーパーゾイルエコを規定量添加して利用するのも良いだろう。ちなみにスーパーチャージャー仕様のサンバーは、酷暑続きの夏場に限ってさらに硬めのエンジンオイルを利用し、4サイクル用スーパーゾイルを添加している。
【フラッシングゾイル(フラッシング専用オイル)】バイクやクルマのエンジン内部洗浄のために開発されたフラッシング専用オイル。従来のフラッシング剤は有機溶剤系や洗浄成分で構成され、スラッジや汚れを溶かしつつ内壁から剥がし落とす商品特性だった。そのため汚れがオイルフィルターやオイル通路に詰まってしまうトラブルもあった。フラッシングゾイルは、高度に精製されたナフテン系/パラフィン系ベースオイルとスーパーゾイルを組み合わせ、エンジン内をケアしながら洗浄し、汚れを排出する。●価格:2640円(2000ml)
【シンセティックゾイル 10W-40 油膜+金属表面再生(100%化学合成油) 】スーパーゾイル成分を高度な技術で配合し、優れた油膜特性と金属表面再生により高いエンジン保護性能を発揮する、2輪/4輪共用の100%シンセティックオイル。低温から高温まで幅広いレンジをカバーする潤滑性能で、連続高回転運転が続く軽トラにも効果的だ。●価格:4730円(1000ml)/1万8480円(4000ml)
すでに過走行域に十分達している4気筒エンジン。気持ち良く走るためには今後もさまざまなメンテナンスが必要不可欠になるが、まずはエンジン本体内部の汚れ落としをフラッシングゾイルで行った。
旧エンジンオイルを抜き取り後、レベルゲージ下限までフラッシングゾイルを注入。2L容器で販売されているが、軽自動車用としては最適。決してブン回すことなく、エンジンがしっかり温まるのを待ち、30キロ強走行。クリアだったはずのフラッシングゾイルはすでに…。
フラッシングゾイルをしっかり抜き取ったら、進行方向右側後方側面に締め付けられているオイルフィルターも交換した。フェンダーのインナーカバーを外し、アンダーカバーブラケットを宙吊りにして作業進行。カートリッジフィルターは2サイズある。
フラッシングゾイルを抜き取り、オイルフィルター交換後にシンセティックゾイルを注入する。フィルター交換で約2.3L入るEN07系の4気筒サンバー。寒冷地でなければ、オイル粘度が10W-40でも軽トラなら十分だろう。
ヘッドカバーのフィラーキャップを開けるとセパレーターのような壁があるため、エンジンオイルの注入が面倒なサンバー。先細のジョウゴや先細ノズルのオイルジョッキがあると、大切なエンジンオイルを無駄にこぼさないで済む。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
バイクいじりの専門誌『モトメカニック』のお買い求めはこちら↓
モトメカニックの最新記事
クロームメッキパーツのケアには専用ケミカルが有効 重厚な金属光沢が魅力的な装飾クロームメッキ。その被膜は0.02〜0.5㎛と極めて薄く、肉眼では見えない孔やクラックから浸入する水分によってクロム層の奥[…]
素材を痛めない万能クリーナーは、長期放置車&レストアの徹底洗車に最適 最近は、1970年代のカワサキZ系やホンダCB系に加えて、ホンダNSR250RやヤマハTZR250Rといったレーサーレプリカモデル[…]
まめなオイル管理が、良コンディションを維持できる秘訣 新型スーパーカブが発表されて以降、新型のシリーズモデルは、週末に限らず、毎日のように街中で見かけるようになった。軽く気ままに走ることができるモデル[…]
必要なのはキャブ本体とパーツリスト! 燃調キット開発プロセスとは 日本製自動車の性能は優秀で、日本国内で役目を終えた後も中古車として世界各地に輸出され、何十年という時を経ても現役で活躍していることが多[…]
“思い出の1台”に乗りたい バイクメーカーがニューモデルを開発する際は、ユーザーがそれを受容できるか、あるいは新たなマーケットを作り出せるかが重要。レーサーレプリカもネイキッドも、それがウケると分かっ[…]
最新の関連記事(メンテナンス&レストア)
クロームメッキパーツのケアには専用ケミカルが有効 重厚な金属光沢が魅力的な装飾クロームメッキ。その被膜は0.02〜0.5㎛と極めて薄く、肉眼では見えない孔やクラックから浸入する水分によってクロム層の奥[…]
論より証拠! 試して実感その効果!! クルマのボディケア用品の名門として語られることが多いシュアラスターですが、同社の本質は“洗車関係”にとどまりません。じつは、燃料がどう燃え、エンジンがどんな性格を[…]
スクリーンの透明感を取り戻す「ゼロリバイブ」 フルカウルのスポーツバイクやロングツーリング向きのアドベンチャーバイクなどに装着されているスクリーン。長く乗っていると、風雨にさらされて汚れたり、バイクカ[…]
自分だけのパーツ作成に役立つ彫刻機 愛車やガレージのカスタムにはワンポイントでも世界にひとつだけのパーツやあしらいがほしいもの。とはいえ、こだわればこだわるほどプロ級のツールが必要不可欠となる。 そこ[…]
Amazonランキング1位! カエディア USBチャージャー「KDR-M3C」を選択 携帯電話所有者のスマートフォン比率が2024年現在で97%というデータがあるなど、もはや日常生活に切っても切り離せ[…]
最新の関連記事(オイル/ケミカル)
クロームメッキパーツのケアには専用ケミカルが有効 重厚な金属光沢が魅力的な装飾クロームメッキ。その被膜は0.02〜0.5㎛と極めて薄く、肉眼では見えない孔やクラックから浸入する水分によってクロム層の奥[…]
論より証拠! 試して実感その効果!! クルマのボディケア用品の名門として語られることが多いシュアラスターですが、同社の本質は“洗車関係”にとどまりません。じつは、燃料がどう燃え、エンジンがどんな性格を[…]
論より証拠! 試して実感その効果!! カーシャンプーやワックスをはじめ、さまざまなカー用品を手がけてきた老舗ブランド「シュアラスター」。そのガソリン添加剤シリーズ「LOOP」のフラッグシップモデルが、[…]
Honda純正オイルは新ブランド「Pro Honda」へ Hondaのバイクのエンジン性能を100%発揮させる純正オイルが、2025年4月より新ブランド「Pro Honda(プロホンダ)」として生まれ[…]
古いゴムは硬化するのが自然の節理、だが・・・ ゴム部品は古くなると硬くなります。これは熱・酸素・紫外線などによる化学変化(酸化劣化)で、柔軟性の元である分子の網目構造が変化したり、柔らかくする成分(可[…]
人気記事ランキング(全体)
最強のコスパ防寒着か? 進化した「GIGA PUFF」 まず注目したいのが、「GIGA PUFF フュージョンダウンフーディ」だ。価格は驚異の4900円。このフーディの肝は、中わたの量にある。従来製品[…]
ウインカーと統合したDRLがイカス! X-ADVは2017年モデルとして初登場し、アドベンチャーモデルとスクーターのハイブリッドという新しいコンセプトで瞬く間に人気モデルになった、ホンダ独自の大型バイ[…]
上旬発売:アライ アストロGXオルロイ アライヘルメットからは、ツーリングユースに特化したフルフェイス「アストロGX」のニューグラフィック「ORLOJ(オルロイ)」が12月上旬に登場する。この独特なネ[…]
「天然のエアコン」が汗冷えを防ぐ 厚着をしてバイクで走り出し、休憩がてら道の駅やコンビニに入った瞬間、暖房の熱気で生じる汗の不快感。そして再び走り出した直後、その汗が冷えて体温を奪っていく不安。ライダ[…]
新型「ニンジャZX-10R」は国内導入は2026年夏か まずは欧州と北米で発表されたスーパースポーツの旗艦、新型「ニンジャZX-10R/RR」の話題だ。 最大の特徴は、フロントカウルに設けられた大型の[…]
最新の投稿記事(全体)
2025年の総括と2026年の挑戦 KWTは2025年シーズン、最終戦を”世界タイトル獲得の可能性を残した状態”で迎えるまでに成長しました。 惜しくもランキング4位で終えましたが、Kawasakiで世[…]
「着る換気扇」サーキュレーターメッシュ 今回紹介するのは、2025年9月の発売からわずか2ヶ月半で累計3万枚を突破したという「サーキュレーターシリーズ」だ。最大の特長は、裏地に採用された「サーキュレー[…]
低中回転域の力強さとよく動くサスペンションが楽しい! CRF250ラリーは、ダカールラリーのワークスマシンをデザインモチーフとした異色の軽二輪アドベンチャー。車体にボリュームがあり、車重も開発ベースと[…]
「箱付き」だけじゃない! 旅仕様の全部入りパッケージ まず目を引くのは、その名の通りツーリングに特化した装備群。なんと、車体色に合わせたパニアケースと、トップボックスが最初から標準装備されているのだ。[…]
後輪を軸に旋回する基本通りに乗れる車体のしなやかさと従順かつ繊細なエンジン特性! 2ストロークエンジン・メーカーではなかったホンダが、’60年代に世界GP完全制覇の後に再挑戦した4ストNR500が思わ[…]
- 1
- 2
























































