単純明快なメカニズムを誇るポイント制御式のバッテリー点火も決して悪くないが、それ以上に魅力的なのが“強力着火”として知られるトランジスタ点火システム。現代では当たり前のフルトランジスタ点火システムが台頭する以前には、通称「セミトラ」と呼ばれたセミトランジスタ点火方式もあった。旧式ポイントモデル車の場合、セミトラのチョイスも一考だろう。
●文/写真:モトメカニック編集部(たぐちかつみ) ●外部リンク:ASウオタニ
点火系は強力な着火と安定性が何よりも信条。ASウオタニ製パワーアップで“セミトラ”にチャレンジ
30年以上もガレージに保管され、お不動様状態となっていた筆者のモトグッチ ルマンIII。その保管状況が良かったのは超ラッキー。外装パーツを取り外して電装部品に触れると、各種リード線はじつに柔らかく弾力性があった。
カチカチに硬くリード線に弾力性がないと、被覆がパキッと割れて電気トラブルの原因になるが、そんなことはなさそうだ。それでも電気系、とくに点火系には強力な着火力と安定性が欲しいので、ここは迷わずASウオタニ製パーツを組み込むことにした。
1980年代以前の2気筒エンジンモデルで、ポイント制御のバッテリー点火車の場合は、以前からASウオタニ製パワーコイルキットが高評判。いわゆる“セミトラ”キットだ。
高性能SPIIパワーコイルと電子アンプを組み合わせており、カワサキW1シリーズやヤマハXS1/XS650Eシリーズでは、数多くのユーザーが取り付けて好結果を得ている。1970年代には、自動車用点火パーツで一世風靡したセミトラ化だが、そんなイメージをアップデートした現代版高性能パーツが、このパワーコイルキットである。
取り付けセンスが問われるキットパーツでもあるが、そのあたりは経験豊富(自画絶賛!?)なので問題なし。例によって、型紙でブラケットをイメージしてから鉄板を切り出し、再度寸法確認してから恒久ブラケットが完成。サビ防止で黄クロメート処理を施し、仕上がりもバッチリ!!
点火進角は純正ガバナーのまま。本来のバッテリー点火だとコンデンサが必要だが、セミトラなら不要なので、今回はポイント部分でコンデンサのリード線を抜き取り、断線させて対処した。
説明書に従い、簡単な結線を済ませてエンジン始動。セルモーター数回転で難なくエンジン始動し、アイドリング時のチカラ強さはこれまで以上!! スロットルのツキも明らかに増している!!
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