
サビ退治に役立つ製品を製造するBAN-ZIが、新たに開発を進めているのが、強アルカリ性洗浄剤の「MUDMAX」。なぜ洗浄剤なのか? どんな効果があるのか? 2024年春に発売予定の試作品でテストを行ってみた。
●文/写真:モトメカニック編集部(栗田晃)●外部リンク:株式会社BAN-ZI
汚れ落ちの良さと使いやすさを両立。オイルやグリス泥汚れに効果抜群
鉄の赤サビの上から塗れば赤サビが黒サビに転換し、塗装もできるサビキラープロにより、サビ対策の概念は一変した。ワイヤーブラシやホイールカップによるケレン作業が不要になれば、手間が大幅に省けるからだ。だが汚れや油分が残ったままでは、密着性が悪くはじきの原因になるため、洗浄は不可欠。サビキラープロが水性なので、洗浄剤も水性ならなお良い。
そうした観点から開発されたのが、2024年春の発売に向けて開発テストが進行中の強アルカリ洗浄剤「MUDMAX」だ。
物質の酸性/アルカリ性を示すpHは、7(中性)/0〜6(酸性)/8〜14(アルカリ性)に分類される。アルカリ洗浄剤は油汚れや泥汚れ、タンパク質など酸性の汚れ落としに適しており、一般的にpHが11以上になると強アルカリ性に分類される。アルカリ性が強くなると、洗浄力が向上する一方で、金属に反応して水酸化物を生成し、アルミ/鉛/マグネシウムが変色したり粉が吹くなどの悪影響も出る。
MUDMAXは、pH13の洗浄剤を採用。BAN‐ZIでは繰り返し試作を行うことで、強アルカリ性の利点を生かしながら金属素材への攻撃性を抑えることに成功。オイルやグリスのしつこい汚れから日常的な洗車まで、状態に応じて希釈割合を調整することで、洗浄力と利便性の高さを両立している。
モトメカニック編集部でも実力の高さを実感できたMUDMAX。2024年春の正式発売が待ち遠しいケミカルだ。
泥汚れが浮かび上がり、未塗装樹脂パーツにツヤが出る。新感覚の強力アルカリ洗浄剤
プラスチックタンクに入った原液は、pH13の強アルカリ性で、汚れの種類や程度によって希釈する。希釈倍率の目安は、重度の汚れの場合2〜5倍、泥汚れの場合6〜20倍、軽度の汚れや外装部品洗浄の場合50〜100倍にする。酸性/アルカリ性水溶液は、10倍希釈するごとにpHが1段階変化するので、原液が強アルカリ性でも100倍希釈で弱〜中アルカリ性となる。
【MUD MAX 業務用 濃縮タイプ 1000ml】 ●価格未定
手袋やゴーグルを装着して、汚れの程度に応じて希釈する
人間の皮膚はタンパク質でできているため、強アルカリによって冒される。飛沫に触れるだけで影響することもあるので、希釈する際は手袋とゴーグル着用が必須。
ちなみに、手洗いに使う石けんもアルカリ性で、pHは8~10程度。それでも手肌が弱いとカサカサになってしまうので、強アルカリのMUDMAX原液の素手接触は厳禁だ。
外装の洗浄なのか、足まわりの泥汚れなのか、エンジンまわりの油汚れかによって、希釈比率を調整する。10倍希釈でもまだpH12の強アルカリなので、取り扱いに注意。
泥汚れの洗浄でハンドスプレーボトルに20倍希釈液を作る場合、原液50mlを水1000mlで薄めると20:1となる。原液の使用量はさほど多くないことが分かる。
外装パーツはバケツ内で50倍に希釈してからスポンジで洗浄
ここではあえて水で予洗せず、乾いた泥汚れに20倍希釈のMUDMAX洗浄液を直接スプレーした。先に水をかけると洗浄液が流れてしまうが、ドライ状態なので定着する。
しばらく待つと泥汚れが浮き上がってきた。洗浄剤の主成分である界面活性剤は、汚れに浸透し分散させる能力があるので、水をかけるより汚れ落ちが良くなるのだ。
原液を希釈するとpHは下がり、一般的なアルカリ洗浄剤として使えるようになる。ここでは洗車バケツ内に50倍希釈液を作り、車体全体をスポンジ洗車する。
もともと弱アルカリ性の洗車用洗剤を薄めると、中性に近づき洗浄力が低下する。MUDMAXは元が“濃い”ので、希釈しても高い洗浄力を維持する。泡立ちも豊かだ。
アルカリ水溶液がアルミニウムやマグネシウムやメッキに付着すると、変色や変質の原因になる。だが金属を冒さない成分を加えたことで、希釈度が適切であれば安心して使える。
オフロード車のフェンダー裏に跳ね上げた泥汚れは、ブラシで擦るだけでは落ち切らないことも多い。MUDMAXをスプレーすると、汚れがパーツから浮かび上がり、水をかけるだけで流れるように落ちてくる。
洗浄剤が乾燥する前に、十分な水や湯で洗い流す
パーツ表面に長時間MUDMAXが付着すると染みになる場合があるので、乾燥しないよう5分以内に水洗いを行う。高圧洗浄機があればベスト。
ブラシが届かないような形状が複雑なパーツに付着した汚れも、しっかり落ちている。未塗装の樹脂パーツが白ボケせず、しっとりと黒く仕上がったのが驚きだ。
洗濯用洗剤のCMではないが、塗装部分の白さもくっきり鮮やかになった。外装部品に使用する際は希釈割合が重要だが、アルカリ洗浄剤が有効なのは間違いない。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。
バイクいじりの専門誌『モトメカニック』のお買い求めはこちら↓
モトメカニックの最新記事
走行回数の多さと模擬レースのセットでコストパフォーマンスの高さは折り紙付き 絶版車やクラシックマシンでサーキットを走行してみたいが、レースに参戦するほどではない。あるいはクラシックレースにエントリーし[…]
エアインパクトレンチ:手のひらに収まるサイズで500Nmを発揮。狭い場所で活躍する力自慢 ガレージにエアコンプレッサーを導入したら、まず揃えておきたいのがエアブローガンとエアゲージ、そしてインパクトレ[…]
創業60年以上の老舗メーカーの強力アルカリクリーナーに注目 モータリゼーションの先進国・アメリカでは早くから洗車やディテーリング産業が確立しており、より短時間で効率よく愛車を輝かせるためのケミカル製品[…]
ソケットセット:ツールキャビネットの引き出しにそのまま収まるトレイ付きZ-EALセット ラチェットハンドルもソケットも、専門メーカーのノウハウを注入して開発されたZ-EAL。その代表的アイテムをセット[…]
バイクキャビン:小型エアコンを装備すれば抜群の環境に! 難しく考えることなく、手っ取り早く購入できるガレージとして高い人気を得ているのが、デイトナが取り扱う各種シリーズ製品だ。 全モデルに共通している[…]
最新の関連記事(オイル/ケミカル)
旧車の開発に使われた”鉱物油”にこだわる 1992年に創業した絶版車ディーラーのパイオニア・ウエマツ。販売だけでなく、整備にも徹底して力を注いできた同社がそのノウハウをフィードバックし、旧車に特化した[…]
創業60年以上の老舗メーカーの強力アルカリクリーナーに注目 モータリゼーションの先進国・アメリカでは早くから洗車やディテーリング産業が確立しており、より短時間で効率よく愛車を輝かせるためのケミカル製品[…]
シュアラスターの「バイク洗車図鑑」 バイクが違えば洗い方も変わる! 車種別の洗車情報をお届けするシュアラスターの「バイク洗車図鑑」 今回は2017年の発売以来国内での販売台数トップに君臨し続ける令和の[…]
論より証拠! 試して実感その効果!! カーシャンプーやワックスなど、多彩なカー用品を手がける老舗ブランド・シュアラスター。そのガソリン添加剤シリーズ・LOOPのフラッグシップモデルが「LOOPパワーシ[…]
論より証拠! 試して実感その効果!! ワックスをはじめとした質の良いボディケア用品を多数手がけてきたことでも知られている老舗カー用品ブランド・シュアラスター。 そのシュアラスターが展開するガソリン添加[…]
最新の関連記事(メンテナンス&レストア)
【ご注意】本記事は、エンジンオイルの過剰注入がエンジンに与える影響を確認するための実験であり、一般使用車両での実施や再現を推奨するものではありませんのでご了承ください。 オイルの規定量は守らなくちゃイ[…]
旧車の開発に使われた”鉱物油”にこだわる 1992年に創業した絶版車ディーラーのパイオニア・ウエマツ。販売だけでなく、整備にも徹底して力を注いできた同社がそのノウハウをフィードバックし、旧車に特化した[…]
シュアラスターの「バイク洗車図鑑」 バイクが違えば洗い方も変わる! 車種別の洗車情報をお届けするシュアラスターの「バイク洗車図鑑」、今回は大ヒット街道まっしぐら、女性人気も高いホンダ「レブル250(S[…]
エアインパクトレンチ:手のひらに収まるサイズで500Nmを発揮。狭い場所で活躍する力自慢 ガレージにエアコンプレッサーを導入したら、まず揃えておきたいのがエアブローガンとエアゲージ、そしてインパクトレ[…]
ソケットセット:ツールキャビネットの引き出しにそのまま収まるトレイ付きZ-EALセット ラチェットハンドルもソケットも、専門メーカーのノウハウを注入して開発されたZ-EAL。その代表的アイテムをセット[…]
人気記事ランキング(全体)
【ご注意】本記事は、エンジンオイルの過剰注入がエンジンに与える影響を確認するための実験であり、一般使用車両での実施や再現を推奨するものではありませんのでご了承ください。 オイルの規定量は守らなくちゃイ[…]
その姿、まるでGB400TT MkIIの正統後継者! 欧州ホンダは、2025年も例年通りカスタムコンテスを開催。これは正規ディーラーがホンダ車をベースにカスタムを手がけ、オンライン投票で最優秀マシンを[…]
実は”ホンダエンジン”時代からの愛車だった マンセルがF1のパドックで乗っていたのは、ホンダのダックス70(CT70)でした。1988年モデルとも、1987モデルとも言われていますが、いずれにしろ当時[…]
フェイスリフトと前後サスペンションの再設定 ホンダが「XL750トランザルプ」の国内2025年モデルを発売する。CB750ホーネットに似た2眼ヘッドライトを新たに採用し、センターダクトを設けたウインド[…]
2ストレプリカの原点にして、TZRへの橋渡し役だったRZシリーズ 最後の2ストロードスポーツを作るという情熱が込められ、1980年に登場したRZ250。同車が「最後」と言われたのは、環境問題も絡めて今[…]
最新の投稿記事(全体)
レジャーバイク人気の主役となった初代ダックスホンダ(1969年~) 国産レジャーバイクの元祖と言えば、ホンダが多摩テックで子供向け遊技用に用意したモンキーバイクZ100、それに続く市販車のモンキーZ5[…]
CBR650R&CB650Rをもっと楽しく、ジェントルに! マフラーカスタムは出力特性を向上させるもの。そんなイメージを抱いている方はとても多いと思います。しかし、近年のバイクはノーマルでも十分パワフ[…]
A:どちらも不具合。後ろはアフター、バックは戻ると覚えるべし 未燃焼ガスがシリンダー外で燃えるという意味では、どちらも同じ”不調”を表している。アフターファイアーはマフラー側に流れた未燃焼ガスが引火す[…]
インフレの今、価格破壊王のワークマンがまたやってくれた! 春から初夏にかけ、ツーリングのシーズンがやってきた。爽やかな空気を全身に浴びてのライディングは最高だ。しかし…この期間はジメジメ・シトシトの梅[…]
随所に漂うエフっぽさ。軽さにも驚く! 思い起こせばCB-Fコンセプトから5年。本当に待ってました(笑)。実車を見て、まず思ったのは、さまざまなところにエフっぽさがあるということ。カラーを見て思わず「お[…]
- 1
- 2