
●文/写真:モトメカニック編集部 ●外部リンク:ワイズギア
ワイヤーの動きが悪くなる前にグリスを注入
スロットルやクラッチを操作するワイヤーは、ライダーの意思を正確に伝達できることが重要。最近のバイクは、錆びにくいステンレスインナーとアウターワイヤー内側の樹脂製ライナーによって、スムーズな作動性とサビへの耐久性は向上しているが、屋外保管や雨天走行などでホコリや水分が入ることで、作動性が悪化したりサビが発生する。
テフロン製やポリプロピレン製のライナーも、強く擦れる曲がり部分でライナーの表面が削れると抵抗が増大することがある。
そんな事態を避けるには、動きが悪くなる前にワイヤーグリスを注入して、泥/ホコリ/水分を取り除きながら潤滑性を確保するのが最善策だ。
ヤマルーブのワイヤーグリースには、フッ素樹脂微粉末が配合されている。いわゆるテフロンの商標で知られるフッ素樹脂は、摩擦係数がきわめて低く、固体潤滑剤として使用した際の減摩効果は抜群なのだ。
さらに防錆剤を含むことで雨水の浸入にも強い。一般の防錆潤滑剤やエンジンオイルでも一定の効果はあるが、ワイヤー専用に開発された潤滑剤には優位性があるので、専門のグリスを選択しよう。
メンテナンスケミカルのラインナップが充実しているワイズギア。ワイヤーグリースを定期的に使用している場合、新しいグリースで古いグリースを押し出すだけで良いが、内部の汚れがひどい場合は、先にスーパーブレーキ&オイルクリーナー(左/1760円)で洗浄しておく。ワイヤーグリースは容量違いで2種類あり、180mlタイプが1320円、大容量の500mlタイプが2145円。ワイヤーはもちろん、レバーピボット部の潤滑などに、通常のスプレーグリースとしても使用できる。
ワイヤーグリースを使用する際のポイントは、古いグリースが注入する反対のレリーズ側から排出されるまで躊躇せず思い切り注入すること。インナーワイヤーと樹脂製ライナーの隙間にグリースが行き渡ることでフリクション低下と防錆力が得られるのだ。
愛車のワイヤーがスチール製インナーを採用している場合は、より頻繁にメンテナンスを行うようにしよう。
スプレータイプのグリースを注入する際の必須アイテム=ワイヤーインジェクターにはいくつかの種類があり、ワイヤー端部の太さや形状によって相性がある。幅広く対応できるよう、複数個持っておくと良い。
クラッチワイヤーを外すには、アジャスターを奥までねじ込みスリットを合わせ、アウターワイヤーを引きながらレバーをゆっくり握る。するとワイヤー端部のキャップがアジャスターから浮くので、スリットから抜き取る。
ワイヤーインジェクター内側のホルダー内径とワイヤー端部のキャップ外径、ノズルを差し込む穴の位置関係によって、スプレーグリースがスムーズに入らないこともある。その場合は異なるインジェクターに交換してみよう。
グリースがインジェクター側に逆流しなければ、レリーズ側から勢いよく飛び出すまでスプレーする。汚れが押し出されて、きれいなグリースに代わるまで作業を続ける。周囲を汚さないようウエスを敷いておこう。
余分に流れ出た分をパーツクリーナーで清掃する。ワイヤーグリースは一般的な防錆潤滑剤より粘度が高いので、レバーやレリーズのタイコ部分にも塗布しておくと良い。潤滑後はレバーの軽さを実感できるはずだ。
※本記事の文責は当該執筆者(もしくはメディア)に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
バイクいじりの専門誌『モトメカニック』のお買い求めはこちら↓
モトメカニックの最新記事
キラリと輝くクロームメッキは絶版車のアイコン。磨き、サビ取り、保護は専用ケミカルを活用したい メーカーから出荷された新車当時は同じ状態でも、その後の環境や手入れによって、10年後/20年後のコンディシ[…]
定期的なグリースアップで操作性を向上しよう! 最高出力が200馬力近い1000ccクラスのスーパースポーツモデルであっても、クラッチレバー操作力が拍子抜けするほど軽いのが最新のバイクの特長だ。アシスト[…]
車両メーカーの純正バッテリーとしてもシェアを拡大 リチウムバッテリーは、同程度の容量の鉛バッテリーと比較すると、性能の指標であるCCA(コールドクランキングアンペア)値は2倍程度、寿命は3倍程度と、そ[…]
整備部門に加えて塗装や磨き作業まで社内で行うエルオート。コンディションに応じた最善策で販売車両を製作できるのが最大の強み 数ある絶版車の中で頂点に君臨し続けているカワサキZシリーズ。人気車種ゆえ大物の[…]
メンテナンスで覚えて、カスタムで楽しむモンキー&ゴリラ 今回登場するのは、88ccにボアアップした初期型Z50J-IIIゴリラ(1978)。排気量アップに合わせてキャブセッティングを行う必要性があると[…]
最新の関連記事(オイル/ケミカル)
キラリと輝くクロームメッキは絶版車のアイコン。磨き、サビ取り、保護は専用ケミカルを活用したい メーカーから出荷された新車当時は同じ状態でも、その後の環境や手入れによって、10年後/20年後のコンディシ[…]
4サイクル/2サイクル/ブレーキ/サス用を設定 ホンダは、二輪車用の純正オイルのラインナップを「Pro Honda(プロホンダ)」ブランドに一新し、4月より順次発売すると発表した。 ボトルパッケージは[…]
バイクにオススメのシャンプー/コーティング剤 ツーリングや日々の走行で溜まった汚れ、雨やホコリによるダメージ…。大切なバイクをいつまでも美しく保つためには、こまめな洗車とコーティングが欠かせません。で[…]
シュアラスターのチェーンメンテナンスアイテム バイクの性能を維持し、安全に走行するために欠かせない チェーンメンテナンス。 今回は、チェーンメンテナンスにオススメな、シュアラスターの「チェーンクリーナ[…]
論より証拠! 試して実感その効果!! 老舗カー用品ブランド・シュアラスターが展開するガソリン添加剤「LOOP」シリーズ。そのフラッグシップアイテムである「パワーショット」をさまざまなバイクやクルマに実[…]
最新の関連記事(ワイズギア)
ワイズギアの春夏ジャケットは、高強度素材採用で安全性を強化 ワイズギアの2025年-2026年春夏ウェアの「2Wayジャケット(RY1001)」と「メッシュジャケット(RY1002)」は、ライダーがラ[…]
1959年から支持され続けている! 1)作業がとても手軽2)使用できる範囲が広い3)しっかりツヤが出る4)油汚れが場合によってはパーツクリーナーよりもよく落ちる 順に説明していこう。 1)作業が簡単 […]
バイクに適した洗車用ケミカルを揃えるワイズギア 入浴時に使うボディソープ/シャンプー/トリートメントにさまざまな種類があるのと同様に、洗車用のケミカルにも多種多様な製品がある中で、バイクに適したアイテ[…]
エンジンやマフラーなどの高温部品には“耐熱塗料”が基本。手軽な施工で美しく!! 完全にバラバラに分解した部品をひとつひとつ仕上げ、必要に応じてペイント補修してからバイクを組み立て直すと、それはもう「別[…]
定期的に使用して燃料系統と燃焼室のコンディションをキープ 空気とガソリンを混合気として燃焼させて動力を得ている内燃機関。混合気が燃焼室内で爆発的に燃える際に、副次的に発生してしまうのが「カーボン」「ス[…]
人気記事ランキング(全体)
まず車間が変わることを理解しておこう! ツーリングでキャリアのある、上手なライダーの後ろをついてゆくのが上達への近道。ビギナーはひとりだと、カーブでどのくらい減速をすれば良いかなど判断ができない。そう[…]
ヤンマシ勝手に断言。これでレースに出るハズだ!! 「CB1000Fコンセプト モリワキエンジニアリング(以下モリワキCB)」は、見ての通り、ホンダCB1000Fコンセプトをレーサーに仕立てたカスタムモ[…]
ナンバー登録して公道を走れる2スト! 日本では20年以上前に絶滅してしまった公道用2ストローク車。それが令和の今でも新車で買える…と聞けば、ゾワゾワするマニアの方も多いのではないか。その名は「ランゲン[…]
モバイルタイプでも水の勢いは十分。洗車での活躍は間違いなし 今回発売されるケルヒャー「OC 5 Handy CB」は、もっと手軽に、どこでも洗浄したいというユーザーの持ち運びニーズに対応した、ガンタイ[…]
タイホンダ創立60周年を記念したスペシャルエディション 特別仕様車の製作に旺盛なカブハウスは、タイホンダの創立60周年を記念した「New Monkey Chrome Legacy Limited Ed[…]
最新の投稿記事(全体)
2.5次元アイドルがアンバサダー!? モーターサイクルショー開催概要 東京モーターサイクルショーの共通するメインテーマは、「いいね、バイク」。大阪のサブテーマには「バイク&ピース」、東京には「バイクっ[…]
グローバル販売を見据えたフラッグシップモデル 新発売となるSRD 5 Proは、Amazonで販売ランキング1位(バイク用Gps 2024年12月4日調べ Amazonランキング)を記録したベストセラ[…]
Q.ツーリングへ出かけるとバイクのすぐ前の路面ばかり見てしまいます。そのため先のほうの様子に気づくのが遅れ、カーブの手前で慌てます。「遠くを見ろ」とよく言われますが、先を見ていると手前の路面が心配にな[…]
マルケスがファクトリーマシンを手に入れたら…… MotoGP開幕戦・タイGPで優勝したマルク・マルケスは、圧巻の強さでしたね。7周目に、タイヤの内圧が下がりすぎないよう弟のアレックス・マルケスを先に行[…]
その名も「V3R」と「V3R E-COMPRESSOR」だ! ホンダが全く新しい4ストロークV型3気筒エンジンのコンセプトモデルを公開したのは、2024年秋のEICMA(ミラノショー)でのこと。かつて[…]
- 1
- 2