絶版車や旧車と付き合う上でもっとも厄介な鉄サビ。素材の表面を塗装で保護してもいつの間にか進行するサビを止めるために開発されたのが、水性のサビ転換塗料である「サビキラープロ」だ。常識を覆す画期的な塗料が誕生した経緯やメリットについてレポートする。
●文/写真:モトメカニック編集部(栗田晃) ●外部リンク:株式会社BAN-ZI
「水性だからサビと反応しやすい」という驚きの発想!
空気と水があるかぎり、物質の酸化は避けられない。金属の場合は酸化=サビとなる。塗装やメッキといった表面処理を施しても、年月が経過することで素材表面でサビが進行して塗膜やメッキを浮き上がらせるのはご存じの通り。
サビの処理は“落とす”か“止める”に大別される。サビを止めるのがサビ転換剤の仕事だが、この世界で常識を覆す製品開発を行ってきたのがBAN-ZI(バンジ)である。塗料業界ではなく建築業界からサビ対策の需要性に着目した同社は、既存の油性ではなく水性のサビ転換剤を独自に研究。油性塗料には塗膜が強く金属との密着性が良い利点がある一方で、有機溶剤特有の匂いや引火性があり、サビ以外の塗装面に密着しないという弱点もあった。
BAN-ZIの代表製品である「サビキラープロ」は、サビにとって不可欠な水分とともに反応するサビ転換剤によって、赤サビの原因である酸化第二鉄(Fe2O3)を黒サビの中でもより安定し不活性となる四酸化三鉄(Fe3O4)に変化させるメカニズムを実現。油性の転換剤が進行性の黒サビである酸化第一鉄(FeO)で反応が止まるのに対して、より確実にサビの進行を食い止める効果を発揮する。
ワイヤーブラシなどで浮きサビを事前に落とせば、古い塗装面に重ね塗りでき、さらに乾燥後に別の塗料で上塗りできるのもサビキラープロの特長である。一般的な水性塗料は油性塗料の溶剤に侵されるリスクがあり、上塗り塗料の種類に制限がある。だがサビキラープロは、通常塗料業界では使われない特殊な顔料を使用することでアクリルやウレタン塗料の溶剤に負けず強い密着性も発揮する。
こうした特長の上に、水性塗料が持つ基本的なメリット、すなわち引火の心配がなく溶剤臭がせず、塗装面が湿っていても塗装できることで、建築業界/港湾施設/鉄道/工場などサビの問題に直面する場面で10年以上に渡って高く評価されてきた。
建築系からスタートし、ホームセンターでDIY系ユーザー向けに展開してきた同社が自動車やバイクなどのオートモーティブ分野に進出したのはここ2年ほどのこと。それも自ら売り込みをかけるのではなく、ユーザーの口コミやSNS上の評判で拡散したという。サビに悩む旧車ユーザーが認めたというのだから本物だ。
亜鉛メッキの上から直接塗装できるので、錆びたスポークの補修に使えるだろうし、鉄フェンダーの裏側に発生したサビも、カップホイールなどで浮きサビを落とした後に塗布すればサビの抑止が期待できる。水性/油性を問わず別の塗料で上塗りできるのであれば、スイングアームやフレームに発生したサビも、車体を分解せず補修できるだろう。
旧車や絶版車のメンテナンスやレストアのこれまでの常識は、サビキラープロによって大きく変化するかも知れない。今後、雑誌モトメカニックとこのWEBサイトで具体的な活用方法を紹介していく予定だ。
サビにもサビ以外にも塗布可能
一般的なサビ転換剤には塗料の機能がなく、サビ止め塗料はサビが発生する前に塗布することを目的としているため、サビ転換成分は含まれない。
サビキラープロは、サビ転換剤でありながら塗料の働きもする画期的な製品である。サビ面に塗布すると、サビキラープロ中の水とサビ転換剤が反応して黒サビ(四酸化三鉄Fe2O4)に変化して進行を食い止め、特殊顔料が塗膜となる。施工はハケ/ローラー/スプレーガンのいずれでも可能。
サビキラープロはシルバーとガンメタの2種類
ホームセンターやバイク用品店で好評発売中
メンテナンスやレストアに役立つアイテムも豊富
独自の視点と実践テストで製品を開発
株式会社BAN-ZI 宮原万治代表取締役社長
※本記事は“モトメカニック”が提供したものであり、文責は提供元に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
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