手入れが重要な絶版車のクロームメッキ。適材適所で活用したい「メッキング/ミガキング/サビトリキング」

中古新規車両として登録して早くも3年が過ぎようとしている、モトメカニック編集部のZ900LTD号。塗装やメッキのコンディションの良さが幸いして未再生車風をキープしているが、製造から45年を経過してくたびれ気味のクロームメッキが気になる。そこでケミカルを活用したクロムメッキのメンテナンスとケアを実践してみた。


●文/写真:モトメカニック編集部(栗田晃) ●外部リンク:NAKARAI

サビ取りのプロ=NAKARAIのケミカルシリーズを使ってケア

樹脂製のカウルやカバーに覆い尽くされた現行車と違って、金属パーツならではの重厚さを感じられるのが絶版車の魅力。’76年に製造されたカワサキZ900LTDは今年で46歳だが、日本に輸入される’13年まで、前オーナーの保管状態が良かったおかげで、磨き上げを中心に未再生風に維持してきた。

絶版車との付き合いの中で、経年劣化を我慢できるか否かの境界線をどこに引くかは難しい。前後フェンダー/マフラー/ウインカー/グラブバーなどの要所にクロームメッキパーツを装着しているLTDは、メッキのコンディション次第で全体の印象が大きく左右される。キャンディレッドの塗装が褪色していても、メッキが輝いていれば救われる。

新車から35年以上を乾燥した北米で過ごし、自分が購入してからも長い時間を海上コンテナ内で保管してきたこともあり、幸いなことに各部のメッキの状態は悪くない。そこで現状をさらに長く維持するために、クロームメッキのメンテナンスを実践することにした。

使用するのは、クロームメッキ/磨き作業/サビ取りのプロであるNAKARAIのケミカルシリーズ。金属クロムを被膜とするクロームメッキの表面硬度は塗装より高いが、それだけに一度傷がつくとコンパウンドやポリッシャーでも消すことができない。またメッキの表面には目では見えない極小の穴が無数にあり、湿気や水分がそこから浸入することで下地からサビが進行する。

NAKARAIが開発した「メッキング/ミガキング/サビトリキング」のKINGシリーズは、クロームメッキのサビ落とし/クリーニング/表面保護に特化した製品群で、これらを組み合わせることでデリケートなメッキに適したメンテナンスを実践できる。

LTDのクロームメッキは、全体的には40年以上を経たとは思えないほどサビは少なく、ツヤもあるように見えたものの、ミガキングでくすみを落としてメッキングを塗布することで、クロームならではの光沢にいっそうの深みが出た。その上でメッキ表面の穴をコーティングすることで新たなサビの発生を防止できるのだから、絶版車ユーザーにとって価値あるケミカルになるはずだ。

NAKARAIだからできたKINGシリーズ

【NAKARAI デカキング/ミガキングメッキングクロームメッキを傷つけずサビだけに反応するサビトリキング(その大容量版がデカキング[中央])、汚れやくすみを取り除くミガキング[左]、クロームメッキを強力に保護するメッキング[右]は、それぞれ役割と使い分けが明確。作業時に傷を付けないよう、サビトリキングには紫色の汚れ拭きクロス、ミガキングとメッキングには白色の「史上最鏡クロス」が付属する。●価格:デカキング2980円/ミガキング2780円/メッキング5980円

専用クロスは単体でも購入可能

メッキングとミガキング用の「史上最鏡クロス」は、キメが細かく、クロームメッキ上の汚れやホコリを剥がし取る能力が高い。メッキングを塗布するとクロス自体が硬化するので、汚れや硬化が進行したら新品に交換する。サビトリキング用の汚れ拭きクロスはクロームメッキのサビや汚れを取り込み、磨き傷を付けにくい。汚れたら洗って再使用できる。

【NAKARAI 史上最鏡クロス/汚れ拭きクロス】●価格1000円/500円

ミガキング:超微粒子コンパウンドの働きで、メッキに傷を付けず汚れを落とす

900LTDは新車時の純正仕様=ジャーディン製マフラーを装着している。3年前に重曹ブラストでクリーニングした際にはかなりコンディションが良かったが、洗車用シャンプーだけでは落ちない汚れやメッキの曇りが目立つようになってきた。

ミガキングのボトルをよく振って均一に攪拌したら、付属の史上最鏡クロスで磨く。磨き傷を防止するため、クロームメッキや樹脂メッキの汚れを落とすコンパウンドを超微粒子化しているのが特長。触感はサラサラで、ほぼ液体のようだ。

超微粒子コンパウンドと史上最鏡クロスの相乗効果で、メッキ表面の汚れがごっそり落ちてくる。一般的なウエスでは擦り傷がついてしまうことがあるが、史上最鏡クロスは繊維が細かく、ホコリや汚れを絡め取りながら除去できる。

汚れはもちろん、洗車時の水滴や輪ジミも落ちて光沢が大幅にアップ。広範囲に点々と見えるのはメッキの下地から出てきたサビで、46年経過していることを考えれば致し方ない。これ以上の劣化の進行を抑えるためにも、メッキングの塗布が必要。

メッキング:無色透明の特殊シリコーンでクロームメッキ保護被膜を形成する

厚塗りすると虹色のムラになるので、施工時は薄く塗り広げる。史上最鏡クロスに1~2滴垂らしたメッキングで、10×10cm範囲に塗布する。硬化後は200℃まで耐えられるのでマフラーにも使えるが、シリンダーヘッド付近は避ける。

メッキ汚れを落とすミガキングに表面処理作用はないので、メッキングによってクロームメッキ表面の無数の穴をコーティングする。耐候性/耐酸性に優れた特殊シリコーン被膜は3~5日で完全硬化し、硬化後は3H~4H程度の表面硬度となる。

サビトリキング:クロームメッキを傷つけず、サビだけに反応して取り除く

エキゾーストパイプは、エンジンの熱が加わることで錆びやすくなる。このパイプはクロームメッキの下地であるニッケルメッキ層が露出しはじめており、完璧に修復するには再メッキが必要だ。だが点サビを取るだけならサビトリキングが使える。

汚れ拭きクロスで強く擦ると傷が付くので、クロスにたっぷりつけたサビトリキングで優しく撫でるように作業するのがポイント。サビトリキングがサビに反応すると、クロスで擦らなくても徐々に落ちてくる。

メッキ上に発生したサビは、コンパウンドや防錆潤滑油を染み込ませたスチールウールなどでも落とせるが、物理的に擦ることでメッキ表面に傷が付いてしまう。一方、サビトリキングはサビだけに反応するため、メッキを傷つけないのが特長だ。


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