EICMA2022のカワサキブースのセンターに鎮座していたのは、バイクの未来を感じさせる2台のEVと1台のハイブリッド、そして水素エンジンだった。EVの2台は、2023年発売予定の市販車に限りなく近い形。ハイブリッドのHEVモーターサイクルも2024年に市販予定。カワサキが描くカーボンニュートラル&サスティナブルの未来はとても明るい気がしてきた!
●文:ミリオーレ編集部(小川勤) ●写真:小川勤、カワサキ
限りなく市販に近いカタチで、EV ニンジャとZがEICMAに登場!
「EVをやるにしても最初からニンジャかZと決めていました。カワサキのイメージはスクーターではありませんから」と、カワサキの先進技術&カーボンニュートラルの総括部長である松田義基さん。
松田さんはカワサキのMotoGPなどを担当し、その後はニンジャZX-10Rを筆頭に様々なモデルを手がけてきた。現在も量産車すべてとジェットスキーなどを担当。先進技術とカーボンニュートラルを手掛ける一方で、同時にガソリンエンジンのバイクの電気、電子、電装、フューエルインジェクションを見ている。
松田さんはMotoGP参戦が終了した2010年あたりからEVの開発をスタート。やるならバイクのカタチと決め、バッテリーのレイアウトやモーターの使い方などEVバイクに必要な特許も取得していった。
「2010年頃はEVといってもスクーターの形をしたものが大半でした。でもカワサキがやるなら本気でバイクの形の物を作ろうと思いました。で、市場ができてきたらいつでもGOできるように、開発を進めていたんです。今回展示している2台は、耐久試験も済ませ、普通のプロトタイプよりも完成度が高いです。ほぼ市販の形になります。
EVもハイブリッドも、なぜ開発中なのにこうして見せているのかというと、こういった先進的なものをぎりぎりまで内緒にしていて出すものではないと思ったんです。ガソリンだったらそんなに大きく違わないところでメーカー同士が接戦をしているからぎりぎりまで隠しますが、EVやハイブリッドに限ってはどこもやっていないので、我々がやっていることを早めに言った方がメリットがあるんです」と松田さん。
街でもスクーターでなくバイクのカタチが良い!
前回のEICMAでも、EVバイクのストリップを公開するなど、カワサキのカーボンニュートラルバイクのストーリーは着実に進み、2023年、まずはニンジャとZのスタイリングで登場する予定だ。
「EVに関してはまずは市街地から出ないことが前提になると思います。充電のことを考えると遠くには行けない。大型のEVをやろうと思うと、バッテリーも大きくなるし、コストもかかる。重たくもなる。でも市街地でスクーターではないカタチのバイクに乗りたい人もたくさんいると思うんです。それがZとニンジャのEVになります。カテゴリーとしては125ccクラスです。
バイクの未来、カーボンニュートラル化というと電気? 水素? 合成燃料(eフューエル、カーボンニュートラル燃料とも言われる非化石燃料由来のモノ)? みたいな話になりますよね。で、将来の話しているとなんだか暗くなってしまいす(笑)。EVしかなくなるの? って。
でもこのどれかでなく、そのすべてがくると思うんです。で、カワサキとしては125ccまではEV。それ以上のカテゴリーは、『燃費』をよくすることにたどり着いたんです。
こうしてEVをやってきてわかったことがたくさんあります。そこでニンジャZX-10Rなどを開発しながら、頭の中でハイブリッドやりたいなぁ〜とずっと燻っていたんです。125ccクラス以上のカテゴリーはハイブリッドもありじゃないか、って……」
国産4メーカーでカワサキほどカーボンニュートラルバイクを全面に出したブースを展開しているところはなかった。EICMAでは聞いたこともないたくさんのメーカーがEVに進出。EVバイクやEV自転車の占有面積は驚くほど多く、その注目度はとても高い。カワサキのメインステージ周辺で動画や撮影しているインフルエンサーが多かったのも印象的だ。
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