
EICMAの楽しみは、ニューモデルだけではない。むしろ各社のレーサーを一堂に見られる機会はここしかなく、ドゥカティに関しては先日ご紹介した通り。今回はアプリリアと国産メーカーを見ていこう。
●文:ミリオーレ編集部(小川勤) ●写真:小川勤
アプリリアは、市販車とはかけ離れた特異なカタチ
先に紹介したドゥカティのデスモセディチGPと同様、市販車とはかけ離れていた形状をしていたのがアプリリアのRS-GPだった。もちろん2022年シーズンの活躍からなんとなく予想はしていたが、イタリアンの2台と比較すると国産MotoGPマシンはどうしてもコンサバに見えてしまう。
アプリリアとドゥカティのMotoGPマシンは、市販車からはかけ離れた突き抜け感があり、今のMotoGPがいかに特殊な世界かということを痛感させてくれる。
アレイシ・エスパルガロが駆るアプリリアのRS GP。2023年は4台体制で挑むから、開発はよりスピード感を増していくのかもしれない。想像以上に大きな空力デバイスは、いかにも効果がありそうな感じ。スイングアームはカーボン製だった。
ホンダは、様々な仕様を展示
RC213Vは、ホンダブースはもちろん、様々なブースに展示されていた。フレームやスイングアームはたくさんの仕様があった。印象的だったのは車体下側のカウリングがとてもスリムなこと。ドゥカティとアプリリアとは対照的なカタチをしている。
今シーズンはマルク・マルケスの怪我の影響で実力を発揮できなかったRC213V。スイングアームはカーボン製を装着するが、マルクは復帰後、ドライ走行時はアルミ製を好んで使っている印象。
RC213Vの車体下側はかなりスリム。地面とカウルのクリアランスが広そうな感じ。フェンダーもオーソドックスなカタチだ。最近のMotoGPに採用されているフィン付きのブレンボキャリパーは本当にカッコいい。オーリンズ製フロントフォークのアウターはカーボン製。もちろんディスクローターもカーボン製。
こちらもアレックスのRC213Vで、GIVI仕様。カストロール仕様と比較するとフレームも空力デバイスの形状もまったく異なる。ディスクカバーも様々な形状をコンディションによって使い分けている。
2022年でMotoGP撤退のスズキと後半戦に大苦戦したヤマハ
今シーズン、もっとも残念なニュースがスズキのMotoGP撤退だろう。休止でなく撤退という声明にとても寂しくなる。2022年のカタールでは2021年を上回るパワーを発揮。ライダーも手応えを得ていたが、この発表があってからはリズムを崩してしまった印象。
今回宿泊したホテルのレストランの方にも「日本人だよね。俺はスズキのMotoGP撤退がとても残念なんだ。GSXシリーズが大好きなんだ」と声をかけられた……。世界中にスズキファンがいることが嬉しかったけど、同時に寂しさが込み上げてくる。
しかし、最終戦で勝利し、感動のレースを観せてくれたチーム・スズキの皆には改めて感謝したい。
2022年シーズン、ヤマハYZR-M1×ファビオ・クアルタラロのタッグは後半戦に大苦戦した。ドゥカティのフランチェスコ・バニャイヤとは、第10戦ドイツGPの時点で91ポイントも差があったが逆転されてしまった。バレンシア後のテストでは新しいエンジンやカウルをテストしていたが、来季の活躍に期待!
DNAというエアフィルターのメーカーのブースにあったこのマシン。左側に回ると驚く。レースの世界はほとんどがテレスコピックフォークだけにこういったチャレンジはとても興味深い。
フロントまわりをリヤサスペンション同様のモノサス化。複雑にリンクを介する。
操舵系とサスペンションの動きを独立させることで、新しいハンドリングを披露するはず。ストロークは少ないが、走行中にキャスター&トレールがほとんど変化しないメリットがあるはず。
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