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長らく怪我&リハビリでMotoGPから離れていたホンダのエースであるマルク・マルケスが、前戦のアラゴンで3カ月ぶりに復帰。3カ月ぶりといっても、マルクは2020年のスペインGPの大怪我以来、レースに復帰&離脱の繰り返しで、その間に手術を受けるなどまともにバイクに乗っていない状況が続いていた。それなのに、日本GP・2日目の予選でポールポジションを獲得。やっぱりマルクは別格だ。この男がいるとレースは面白い!
●文:ミリオーレ編集部(小川勤) ●写真:ミシュラン
MotoGPの主力は、欧州メーカーになっていく?
世界最高峰のロードレースであるMotoGP。日本メーカーが活躍していた時代から少しずつ状況は変化し、2022年はドゥカティが8台参戦するなど参戦メーカーの勢力図も大きく変わってきている。
今シーズンも終盤に入り、ランキングトップはヤマハYZR-M1を駆るファビオ・クアルタラロだが、日本勢で好調なのはこのタッグだけで、それも決して楽な展開ではない。
何よりも驚きなのは、数年前までヤマハYZR-M1は誰が乗ってもかなりのアベレージを発揮していたが、今はクアルタラロただ1人しかそのパフォーマンスを発揮できなくなっているところ。一体、何が起きているのだろう。
そしてホンダは、ここ数年マルク・マルケス以外は活躍できない状況が続いている。2023年のジョアン・ミルはどうだろう?
きっといま、若いライダーが憧れるのは、ドゥカティもしくはアプリリアなのではないかと思う……。
アンダーブリッジが2カ所あるモビリティリゾートもてぎは、こういった写真が上がってくるのも面白い。
ホンダ、日本GPで復活なるか?
そして、2022年はホンダの強みがかつてないほど見えなくなってしまったシーズンでもある。1982年以来の633戦連続ポイントも第10戦ドイツGPで途絶えた。
エンジン、車体、制御、そのどれかひとつでも強いところがあれば勝負になるはずだが、それがない。だからライバルたちと競り合うことができないシーズンが続いていたのだと思っていた……。
しかしである。日本GPの2日目は、朝に行われたウエットコンディションのFP2でマルク・マルケスがトップタイムをマーク。そして、復帰2戦目となる予選でポールポジションを獲得したのである。
抜群のバランス感覚で丁寧にライディングするマルクとホンダRC213Vは、とても美しくもてぎを駆け抜けていった。これはホームGPでの相性の良さなのだろうか? でも他のホンダ勢は低迷中であることを考えると、ホンダ復活とは言えなさそうだが、それは決勝後に判断しても良いかもしれない。
実は前戦アラゴンのリタイヤで、マルクはSNSでひどく叩かれていた。確かに見方によってはマルクが接触したように見えたかもしれないが、クアルタラロも中上も「あれはアクシデント」「マルクが謝る必要はない」と言っている。そして復帰2戦目の日本GPの予選で強さを発揮。自分の仕事を完璧にまっとうし、ホンダ、ライバル、そして世界中のファンを納得させた。
予選だけではなんとも言えないのはよくわかっているけれど、2013年にMotoGP昇格1年目にタイトルを獲得し、最高峰クラスで6回のタイトルを獲得しているマルクはやはり特別なのだ。「ドライでレースラップを刻むのは厳しい。本来の位置に戻ると思う」とマルケスは言うが、決勝はタイトル争いとは違う視点でマルクがどこまで走るかを楽しみたいと思う。
そして、やはりMotoGPにはマルク・マルケスが欠かせないと思った日本GPの予選だった。
フロントローはマルク、ヨハン・ザルコ、ブラッド・ビンダー。なんと、ホンダは今季初ポール。
後半戦好調のバニャイヤが予選で低迷。タイトル争いにも注目したい
大雨によりスケジュールを大きく変更して開催された日本GP・2日目。予選は、ランキングトップのファビオ・クアルタラロは10番手、アレイシ・エスパルガロは11番手、フランチェスコ・バニャイヤは15番手となる。
日本勢は、中上貴晶が17番手、長島哲太が22番手、津田拓也が25番手だった。
Moto2の小椋藍は13番手、Moto3は鈴木竜生がポールポジションを獲得、佐々木歩夢が4番手、山中琉星が17番手、鳥羽海渡が18番手からスタートする。
決勝は天気予報を見る限りドライで行われそう。3年ぶりの日本GPを堪能したい。
ウエット時はこんなアイテムにも注目したいところ。ブレーキディスクカバーもスイングアームのスプーンもその考え方はメーカーによって様々。
日本GP・2日目は、観戦するのも大変だったが、オフィシャルの皆さんも大変だったはず。転倒も多く、コース清掃に忙しそうな印象だった。決勝チェッカー後の彼らの動きには世界中が注目しているので、見逃さないようしたい。
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