
●記事提供:モーサイ
「カワサキ ZX-4」レーサーレプリカブーム渦中に現れた独自路線?
400ccクラスでもレーサーレプリカが盛り上がっていった1980年代。そうした状況下で、カワサキは1985年に同社初となる水冷400cc4気筒搭載車 GPZ400Rを発売する。しかし、GPZ400Rは「スーパースポーツフォルム」をうたいつつ、ツアラー的な性格も有したモデルだった。
その後継モデル GPX400R(1987年発売)もGPZ路線を継承したが、他メーカーからは続々と400ccレーサーレプリカが発売されていく──。
GPZ400Rは1985〜1986年の400ccクラスでトップセールスとなったものの、1988年にカワサキはサーキット志向のスポーツモデル・ZX-4を発売する。GPZ400Rのエンジンが600ccと共用の設計であったのに対し、ZX-4用には400cc専用設計の水冷4気筒エンジンを開発。
ただし、当時の雑誌の試乗レポートを見ると「他社のレプリカに比肩する性能は持っているが、ストリートやツーリングも楽しめるオールマイティな性格」という論調が少なくないのだ。実際、デザインもレーサーレプリカとは少々方向性が異なるように見える。
そんなカワサキ ZX-4とはどんなモデルだったのか? 同時代のカワサキの考え方とは?『別冊モーターサイクリスト1988年1月号』から、デビュー直前1987年12月に富士スピードウェイで開催された試乗会のレポートを以下に紹介する。
高い機能と風格「400cc専用4気筒を搭載、F3レーサーベースとしても考えられている」
エンジンから車体、足まわりにいたるまで、すべてを一新したZX-4。400ccクラスの次代を担うべくリリースされたZX-4は、カワサキの意気込みがダイレクトに伝わってくるほどの意欲作といえる。
ZX-4の乾燥重量はわずか152kgにすぎない。これは現在の400ccクラス中、最も軽い数値であるとともに、従来のGPX400Rより22kg、GPZ400Rより24kgも軽い。
また、ZX-4はカワサキ400ccクラスにとって第3世代となるモデルである。カワサキの400cc4気筒モデルの中で、1979(昭和54)年に発売されたZ400FXからGPz400Fまでを第1世代、1985年のGPZ400Rから今春(註:1987年)発表されたGPX400Rまでを第2世代、それに続く世代、という意味と考えていいだろう。
したがって、大きく分けるとカワサキ400cc4気筒シリーズにとって、2回めの大きなモデルチェンジといえる。
さらに、これまでのような輸出用の500や600との共用をやめ、第3世代のZX-4は400cc専用設計となっている。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(名車/旧車/絶版車)
50ccでも実用カブとは別系統のOHCスポーツ専用エンジンを開発! ホンダは1971年に、50ccではじめてCBの称号がつくベンリイCB50を発売した。 それまで50ccにもスポーツモデルは存在したが[…]
カワサキZ1、伝説のディテール デザインは後にGPZ900Rなども手がけた多田憲正氏によるもの。完璧なバランスのスタイリングだけでなく、ディテール面でも後世の車両に大きな影響を与えた。反り上がったテー[…]
歴史遺産・油冷GSX-Rを完調状態で後世に バイクブーム全盛期だった1980年代から、はや40年以上。とっくに純正パーツの供給も途絶え、そのまま埋もれ去っていく当時の車両は数知れず。その一方で「愛車と[…]
「ワインディングの覇者を目指すならCB-1」のキャッチコピーだったら評価は変わった!? カウルを装着したレーサーレプリカが出現する以前、1970年代までのスーパースポーツはカウルのないフォルムが一般的[…]
あの頃の中型 青春名車録「4気筒再び」(昭和54年) それまで全盛を誇った2気筒のブームを収束させたのが、カワサキのZ400FX。CB400フォア以来途絶えていた待望の4気筒は、DOHCヘッドを採用し[…]
最新の関連記事(モーサイ)
LEDのメリット「長寿命、省電力、コンパクト化が可能」 バイクやクルマといったモビリティに限らず、家庭で利用する照明器具や信号機といった身近な電気製品まで、光を発する機能部分にはLEDを使うのが当たり[…]
レーダーでの速度取締の現場 赤切符と青切符の違いとは? 冬から春にかけては卒業や就職をひかえて新たに運転免許を取得する人が増えてくる時期です。自動車学校・教習所で習ったとおりの運転を心がけているつもり[…]
白バイ警察官になるためのファーストステップ、必要なのは執拗なアピールや根回し!? 警察官になっても、すぐに白バイ警察官になれる訳ではありません。白バイ警察官になるには、まず「白バイ隊員になりたい」と希[…]
ホンダ・スズキと同じく、浜松で創業した丸正自動車製造 中京地区と同様に、戦後間もなくからオートバイメーカーが乱立した浜松とその周辺。世界的メーカーに飛躍して今に続くホンダ、スズキ、ヤマハの3社が生まれ[…]
国内のカウル認可後に生まれた、1980年代半ばのネイキッドたち オンロードモデルの中で、定着して久しいネイキッド(英語のNAKED=裸という意味)というカテゴリー名。今では「カウルの付かないスタンダー[…]
人気記事ランキング(全体)
発売当初のデザインをそのままに、素材などは現在のものを使用 1975年に大阪で創業したモンベル。最初の商品は、なんとスーパーマーケットのショッピングバックだった。翌年にスリーピングバッグを開発し、モン[…]
軽量で取り扱いやすく、初心者にもピッタリ 「UNIT スイングアームリフトスタンド」は、片手でも扱いやすい約767gという軽さが魅力です。使用後は折りたたんでコンパクトに収納できるため、ガレージのスペ[…]
まるで自衛隊用?! アースカラーのボディにブラックアウトしたエンジン&フレームまわり 北米などで先行発表されていたカワサキのブランニューモデル「KLX230 DF」が国内導入されると正式発表された。車[…]
LEDのメリット「長寿命、省電力、コンパクト化が可能」 バイクやクルマといったモビリティに限らず、家庭で利用する照明器具や信号機といった身近な電気製品まで、光を発する機能部分にはLEDを使うのが当たり[…]
コンパクトな車体に味わいのエンジンを搭載 カワサキのレトロモデル「W230」と「メグロS1」が2026年モデルに更新される。W230はカラー&グラフィックに変更を受け、さらに前後フェンダーをメッキ仕様[…]
最新の投稿記事(全体)
竹繊維を配合した柔らかく軽量なプロテクターシリーズ 「お気に入りのジャケットを、もっと涼しく、もっと快適にしたい」、そんなライダーの願いを叶えるアップグレードパーツ「バンブーエアスループロテクター」シ[…]
対策意識の希薄化に警鐘を鳴らしたい 24年前、当時、編集長をしていたBiG MACHINE誌で「盗難対策」の大特集をしました。 この特集号をきっかけに盗難対策が大きな課題に そして、この大盗難特集号は[…]
「自分には自分にやり方がある」だけじゃない 前回に続き、MotoGP前半戦の振り返りです。今年、MotoGPにステップアップした小椋藍くんは、「あれ? 前からいたんだっけ?」と感じるぐらい、MotoG[…]
夏ライダーの悩みを解決する水冷システム 酷暑の中、ヘルメットやライディングウェアを身につけて走るライダーにとって、夏のツーリングはまさに過酷のひとこと。発汗や走行風による自然な冷却だけでは追いつかない[…]
コスパも高い! 新型「CUV e:」が“シティコミューターの新常識”になる可能性 最初にぶっちゃけて言わせてもらうと、筆者(北岡)は“EV”全般に対して懐疑的なところがある者です。カーボンニュートラル[…]
- 1
- 2