
●レポート:関谷守正 ●写真:ホンダ/八重洲出版 ●記事提供:モーサイ編集部(上野茂岐)
序
ホンダは時に途方もないような数々の挑戦によって、成長してきたブランドである。それは、いわゆる技術との戦いや画期的な商品開発における作り手の格闘や苦悩に対するユーザーのシンパシー、あるいはその商品による新たな歓びの享受によって裏付けられてきた(少なくとも我々ユーザー側の立場ではそういう事になる)。
それを生む発想の原点は何なのか?
(中略)
これから語るのは、間違いなくホンダの「そういう物語」であり、まったく新しいバイクを創出するための 「心の在り方」を考える少し大人の話である。
第1章:21世紀に出遅れたホンダ
現在、原付二種を核にしたレジャーバイクの市場はホンダの独占状態である。それは2021年にこのカテゴリーにおける競合モデルが存在しなくなった事もあって確固たるものとなったのだが、そもそもホンダには1961年のZ100 モンキーオート(1963年に市販されたCZ100 モンキーの原型)以来のレジャーバイクの歴史があり、それに裏付けられたブランド力と信頼性が人気の根本にある。
その60年の歴史を振り返ると、多くの場合はスーパーカブの前傾エンジン+8or10インチホイールがセオリーであり、時にはその枠にはまらないモデルも登場したが、基本はモンキーやダックスという定番モデルの潮流である。翻ればそれはスーパーカブのエンジンが持つ強烈なほどのオリジナリティと信頼性のなせる技だったはずだ。
ところが、それらとはまったく異なった出自を持つ独創的なモデル──つまり、まったく新しいコンセプトを与えられたモデル群が登場した時期があった。それも2001年から約4年の間に、それぞれ違うカタチの原付一種が4モデル、さらに250ccスクーターと試作モデルの計6モデルが開発されている。
この一連のモデル開発は『Nプロジェクト』と呼ばれ、その開発部隊はいわゆるバイクファンやベテランよりも普通の「若者」を幅広く対象とし、そこへ新しい価値を持った商品を継続的に送り出すという目的を持っていた。そして、技術面においての革新的チャレンジは御家芸であるものの、商品パッケージとしてはコンサバティブ(保守的)とも言えるホンダの商品群の中で、それらは異形であり異端であり、あるいは掟破りの内容だった。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(名車/旧車/絶版車)
Zを知り尽くしたエンジニアならではの勘ドコロを押えた絶品設計! 1989年のゼファー(400)が巻き起こしたネイキッド・ブーム。 カワサキはこの勢いをビッグバイクでもと、1990年にゼファー750と1[…]
ザッパーシリーズの多種多様な展開 トータルでの歴史は30年以上に及ぶザッパーシリーズだが、その存在意義は’80年代以前と’90年代以降で大きく異なっている。まず’80年代以前の主力機種は、クラストップ[…]
ヤマハ・ハンドリングの真骨頂、パイプ構成では得られないデルタ形状アルミ鋼板フレーム! 1980年に2スト復活を世界にアピールしたヤマハRZ250の衝撃的なデビューに続き、1983年にはRZ250Rで可[…]
RZ250を上回る新テクノロジー満載! 1979年にホンダがリリースした、まさかの2ストローク50ccスポーツのMB50(広告なでの名称はMB-5)。 250ccやビッグバイクのスケールダウン・デザイ[…]
現在に続くミドルクラスの基盤は日本メーカーが作った ’70年代の2輪業界における最大のトピックと言ったら、日欧のメーカーが歩調を合わせるかのように、ナナハン以上のビッグバイクを発売したことだろう。もっ[…]
最新の関連記事(モーサイ)
仕事を通じてわかった、足を保護すること、足で確実に操作すること 今回は、乗車ブーツの話をします。バイクに乗る上で、重要な装備の一つとなるのが乗車ブーツです。バイクの装備といえばヘルメットやジャケット、[…]
【燃料タンク容量考察】大きければ良いってもんではないが、頻繁な給油は面倒だ 当たり前の話ではあるけれど、燃費性能とともに、バイクの航続距離(無給油で連続して走れる距離)に関係してくるのが、燃料タンクの[…]
バイクいじりで手が真っ黒、そんな時どうしてる? バイクいじりにつきものの、手の汚れ。 特に、チェーンのメンテナンスやオイル交換など、油を使った作業となるとタチが悪い。 ニトリル手袋やメカニックグローブ[…]
松戸市〜成田市を結ぶ国道464号の発展 かつて、千葉県の北総地区は高速道路のアクセスが今ひとつ芳しくなかった。 常磐自動車道・柏インターや京葉道路・原木インターからもちょっとばかり離れているため、例[…]
創業100年を迎えた青島文化教材社「草創期から異端派だった?」 中西英登さん●服飾の専門学校を卒業するも、全く畑違い(!?)の青島文化教材社に2000年に入社。現在に至るまで企画一筋。最初に手がけたの[…]
人気記事ランキング(全体)
マニア好みのボルドールカラーが映える! アクティブが手掛けるCB1000Fカスタムだが、まずはカラーリングがインパクト大! CB-Fといえば、純正カラーでも用意されるシルバーにブルーのグラフィックの、[…]
シグナスシリーズ、20年の歴史を背負うニューフェイス 以前は空冷エンジン搭載のコンパクトな原付二種スポーツスクーターとして人気を博した「シグナスX」だが、水冷の新世代「シグナス グリファス」に交代した[…]
気鋭のクルーザー専業ブランドによるカスタムクルーザー 以前に試乗記事などをお届けしたBENDA(ベンダ)がいよいよ本格上陸する。日本での輸入販売を手掛けるウイングフットより取り扱い開始が発表されたのだ[…]
軽量で扱いやすい定番ジェット TE-1はスポーティな印象を残しつつ、重量は抑えめで日常使いに適したジェット型ヘルメットです。対応は全排気量対応で、あごひもは操作しやすいラチェット式バックルを採用。Am[…]
原付免許で乗れる『新しい区分の原付バイク』にHondaが4モデルを投入! 新たな排ガス規制の適用に伴い2025年10月末をもってHondaの50cc車両は生産を終了しますが、2025年4月1日に行われ[…]
最新の投稿記事(全体)
CB1000Fをレジェンド、フレディ・スペンサーが試乗 Hondaホームカミング熊本にて、レジェンドライダーのフレディ・スペンサーがCB1000Fをサーキットでガチ走行。彼は「ビッグバイクでありながら[…]
憧れはあるけれど… 先日、周りのバイク好きの仲間から「旧車って今凄い高くなってるよね~」という話を聞きました。少し調べてみると、絶版車が増えてきている流れで、旧車の需要が高まっている様子。 …と偉そう[…]
1.生徒にアンケート調査!<免許取得と車両の購入> 坂本先生は、本年7月に北杜高校の生徒を対象に安全意識に関するアンケート調査を行った。対象は原付免許を持つ2.3年生の生徒100名と、小学校時に自転車[…]
背中が出にくい設計とストレッチ素材で快適性を確保 このインナーのポイントは、ハーフジップ/長めの着丈/背面ストレッチ素材」という3点だ。防風性能に特化した前面と、可動性を損なわない背面ストレッチにより[…]
防寒性能と動きやすさを両立させたライディングジャケットを探しているなら、コミネ(KOMINE)の「ソフトシェルウインターパーカ MJ-005」を選択肢に入れておきたい。1947年創業の国内メーカーらし[…]




































