Uber Eats配達員が三輪バイクに乗り換えるか本気で考えてみた

  • [CREATOR POST]山崎陸

●文:[クリエイターチャンネル] 山崎陸

私はヤマハPCXでUber Eats配達員をやっています。3000回ぐらい配達してきましたが、いつしか「ピザ屋やハンバーガー屋などのデリバリーいいなぁ」と思うようになっていました。なにせ彼らの相棒は、三輪バイクですから。

Uber Eats配達員が稼ぐには悪天候の日に長時間稼働することが基本。雨や風に耐えなくてはいけません。安全性、積載性、どちらをとっても二輪より三輪のほうが優れているのでしょう。メリットが大きければ乗り換えようかなと思い、いろいろ調べてみました。この記事では、二輪バイクで配達しているUber Eats配達員が、よりたくさん稼ぐために三輪バイクの導入を検討してみた結果を紹介します。

Uber Eats配達員が乗っている三輪バイク

私のまわりのUber Eats配達員がよく乗っている三輪バイクは、“ホンダ ジャイロキャノピー”“ヤマハ トリシティ125”です。

2024年11月時点で、ホンダの3輪バイクであるジャイロシリーズには、ジャイロXとジャイロキャノピーがラインナップされています。両者の違いはいろいろありますが、分かりやすいところでは、屋根の有無。ジャイロXは屋根なし、ジャイロキャノピーは屋根ありです。両者とも50ccの原付一種というところは共通しています。

トリシティは125cc、150cc、300ccから選べます。Uber Eats配達でもよく見かけるのは、125ccです。これは126cc以上だと、ナンバーを業務用のいわゆる緑ナンバーにする手間があるためです。

Uber Eatsの配達で三輪バイクを採用するメリット

車体が安定しているので、長時間稼働でも安心感がある

ジャイロキャノピーは自立しますし、トリシティ125は「めざせ、ころばないバイク。」をコンセプトに開発されただけあって、そうそう転ばない安心感があります。雨の日長く稼働していると、集中力が切れてきますから、これはうれしい。

元気なときは、マンホールや白線を踏まないように走れますが、疲れるとどうしても油断して踏んでしまうこともあります。神経をとがらせて、私が走行しているときでも、三輪で気楽に走っていく様子はちょっとうらやましい。

大型のボックスを載せられて、大量案件も平気

ジャイロキャノピーもトリシティ125も、大きいものだと100Lのボックスを後付け可能。とくにジャイロキャノピーは荷台があるので、縦長のボックスを付けられたり、他のバイクにはない荷物を運ぶことに特化した特長を持っています。

極稀ですが、「遅くまで残業している社員用の夜食、牛丼15人前!」など大量に運ぶ案件に当たります。大量案件は他の配達員と分けて運ぶこともできますが、工夫すればボックスに入れられそうだと、詰め込んでしまうんですよね。無理に食事を詰めると崩れることもありますし、それらが余裕で積めるのはありがたいです。

屋根がある、後付けできるので風雨に強く長時間稼働できる

三輪バイク特有のメリットではありませんが、ジャイロキャノピーは屋根があり、トリシティ125は社外品ですが屋根を後付けできます。

Uber Eats配達員は悪天候こそ喜んで稼働するのは前述のとおり。とくにおいしいのはゲリラ豪雨のときです。激しい風雨で自転車や二輪バイク配達員が脱落していくなか、屋根付き三輪バイクの配達員は高単価案件を獲得し、元気よく走っている印象があります。

Uber Eatsの配達で三輪バイクを採用するデメリット

初期費用、メンテナンス費用が高い

パーツが多いということは、それだけ高価かつメンテナンスの手間がかかるということ。2024年11月時点で、新車だとジャイロキャノピーは、メーカー希望小売価格57万900円、トリシティ125は49万5000円です。後者は、プラスしてリアボックスや屋根を付けると60万円を超えてきます。

どちらも二輪と比べれば、タイヤが多い分、タイヤ自体やブレーキパッドなど周辺の消耗品の代金も多くかかります。それなりの投資が求められるので、それを覆すだけの稼働が必要です。

屋根を付けるとツーリング映えしない

屋根付きバイクはとても頼もしい存在ですが、ツーリング時はイマイチかと思います。配達時はあんなに嫌だった雨や風も、ツーリングではそれほど嫌ではありません。むしろ、多少の雨風があって苦労したほうが、ゴールした時の達成感があって気持ちいいかもしれません。

そしてなにより、正直なところ、屋根付きバイクだとツーリング映えも気になります。友人達のバイクに並んで、宅配ピザ屋のようなバイクを置くのは、ちょっと場違い感があり少し気後れします。あとは、パーツが多いだけあって重さも気になりますね。屋根なし125ccでも、上り坂は非力さを感じるときがあります。

快適性や積載性は二輪より優れるが軽貨物に劣る

快適性や積載性が自慢の三輪バイクですが、もっと突き詰めると軽自動車での配達のほうが、優れています。二輪バイクよりは優れているけれど、軽自動車には劣るという中間のポジション。燃費やフットワークの軽さなども考慮して、軽自動車より三輪バイクという判断をした配達員もいるかもしれないですけれどね。

三輪バイクは魅力的だけど、今のPCXを手放すほどではなかった

私が配達用バイクに求める条件は、古いバイクではないこと、二段階右折が煩わしいため原付二種であること、自宅の狭い駐輪場に置けること、ツーリングにも行けることの4つ。それぞれを考慮した結果、3輪バイクの購入は見送りました。

まずは金銭面です。原付二種だとトリシティ125の一択になり、新車だと屋根を後付けして60万円ぐらいです。今からバイクを買ってUber Eats配達員を頑張るぞという方にはいいかもしれませんが、私はPCXをすでに所有しています。

PCXを売って屋根付きトリシティ125を買うとなると、差額は30万円ぐらいでしょう。私のような副業配達員がUber Eatsで30万円を稼ごうと思うと、本気を出して2か月、少し緩くやって3~4か月かかります。それだけの対価を払って、乗り換えるかと考えると、手が出ませんでした。

自宅の狭い駐輪場に置けるかは、問題なし。ジャイロキャノピーの幅は660mm、トリシティ125は750mm、PCXは740mm。幅が広そうなイメージですが、意外にもトリシティ125はPCXと、ほとんど幅が変わりません。

ツーリングにも行けるという点は、屋根が不格好な問題は残りますが、パワー的には問題なし。下記はジャイロキャノピー、トリシティ125と、現在私が持っているPCXのパワーウェイトレシオの一覧表です。

車種重量馬力パワーウェイトレシオ
ジャイロキャノピー139 kg4.6 ps30.2 kg/ps
トリシティ125168 kg12 ps 14 kg/ps
PCX133 kg12.5 ps 10.6 kg/ps

パワーウェイトレシオは重量を馬力で割った値で、1馬力で何kgのものを動かすかを示しています。値が小さいほど加速力に優れているということです。

3車種を比べてみると、どうしても3輪バイクは車体が重いのでパワーウェイトレシオが悪くなります。とはいえ、トリシティ125なら飛ばさないし高速道路も乗りませんし、ツーリングにいけるという点はクリアかなと感じました。屋根を付けた場合は、手間ですが、ツーリング時だけ外すこともできそう。

まとめると、スペック的には魅力的だが、もう原付二種を持っていること、副業Uber Eats配達員であることから、三輪バイクはいまいちフィットしなかったという結論です。

本業勢にとってはアリな選択肢

長時間稼働時、悪天候時に三輪バイクは心強い味方になるでしょう。しかし、大きな初期投資と配達に特化した性質は、副業勢にはなかなか決断しにくい面があります。

本業で配達をするなら、屋根付き3輪バイクという選択肢はかなり有効かと思います。初期投資を覆す投資価値もありそうです。いろいろ考えましたが、三輪バイクが羨ましい気持ちは変わっていないので、次のバイクを乗り換えるとなったら、「思い切ってみるのもアリかな」なんて考えたりもしてます。

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