絶版部品/カスタムパーツも作れる3Dプリンターで、バイクのステップゴムをDIYしてみた

いつの間にか新しい時代が到来していたらしい。3Dプリンターがあれば、バイクの部品を“印刷”できちゃうって? まさかそんなの使い物になるわけないじゃん? なぁんてタカをくくってたら本当に部品ができちゃいました! ・・・というレポートです。3Dプリンター、マジで凄いですよ~!
●文:[クリエイターチャンネル] DIY道楽テツ
バイクのステップゴムがボロボロになっていたので、新品に交換しました。
・・・と言ってもこれは買ったものではなくて、たったいま印刷したもの。出来立てほやほやなのです~!
3Dプリンターを買ってみたのですよ
じつは最近、3Dプリンターを買いました。最初はプラスチック部品を作りながら、3DCADの勉強していたのですが、最近になって「TPUフィラメント」というものを知ったのです。
TPUフィラメントとは?
TPUフィラメントは、ゴムのように柔軟で弾力性がある素材です。 熱可塑性ポリウレタンという素材でできており、スマホケースや靴底など、しなやかで耐久性のある製品の造形に最適です。衝撃吸収性や耐摩耗性に優れていて、複雑な形状も出力可能です。
柔軟性のある樹脂でゴム部品にかなり近いものを作ることができるとのことなので、これならステップゴムも作れるんじゃないかい? ってことで、挑戦してみることにしました!
ステップゴムを設計してみた
そこで、先ほどのステップです。ボロボロになってしまった純正のゴムを採寸して、それをもとに3DCADで3Dデータを作成。
先にパイプを作って、それにあれこれ盛り上げたり、凹ましたりしたものを「根っこ」「本体」「先端」の三個作って、それらを結合すれば・・・
ちょっと形状は違うけど、ステップゴムの出来上がり! そして、保存した3Dデータをスライサーソフトとかいうもので自動的に処理してもらって、3Dプリンターに転送します。
スライサーソフトとかいうヤツらしいです
するってぇと3Dプリンターが動き始めて・・・
最初はこんな感じの平たいものが印刷されて
徐々に積層が進んでいくと次第に姿を現してきますよ~。じつは、地味に時間がかかるのです(ざっくり待つこと3時間)・・・。
はいっ! 出来上ががりました~!!
3D印刷されたステップゴムがコチラです
出来上がったのがこれです。
ほわっ! ちょっとテカテカしてるけど、ちゃんとステップゴムになってる!
これってすごくないですか!? さっきまで自分の頭の中にしかなかったものがこうして実際に部品として出現するわけですからね~。出来上がったものを手にした時には、ゾクゾクっとしました。これは興奮しますよ、マジで。
3Dプリンターなので、もちろん積層した痕が見えます。もっと荒くなるかと思ってたのですが、意外にも目が細かいですね~。
そして肝心の弾力性は・・・こんな感じ。力を入れるとつぶれる感じですね。うん、これなら必要十分。当然ですが、踏んづけたところではがれたり断裂なんかしません。マジでステップとして使えそうな強度です!!
※ちなみに、これでも密度が15%の設定なので、もっと密度を上げればその分強度も上がります
バイク部品の新時代到来を感じちゃうよ?
純正と並べてみましょう。あ、デザインが違ってたり角ばっているのは、設計段階の手抜きというか未熟さです。
こうして見ると、当然ですが正規品にはクオリティも及ばないし、積み重なっているので表面もギザギザしちゃってるし、耐久性も及ばないでしょう。だけど・・・
3Dプリンターの印刷性能も、フィラメントの素材もこれからどんどん進化していくと思うので、見た目もよくなるでしょうし、部品としての性能も日進月歩で進化するはず。私自身明るい未来しか見えないのです。
すでに手に入らなくなった廃盤パーツを再生するのもいいし、自分オリジナルの形を作っちゃうのもいい。ただ、そのためには3DCADをもっともっと勉強しなくちゃいけないので、おじさんは頑張りますよ~!
廃番になって手に入らなくなった部品を、ひたすら探し続けるディフェンスのカスタムとは異なる、自分で作り出していくオフェンスのカスタム。興味ある方は、いまからでも遅くはない!ワタシもまだ勉強を始めたばかりなので、ご一緒にいかがでしょう?
この記事が皆様の参考になれば幸いです。今回も最後まで読んでいただきありがとうございました~!
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