バイクローンの正しい使い方「楽しみは“前借り”すべし!」【FPが解説】
●文:[クリエイターチャンネル] 石川英彦
ローンを組んで何がワルイ!
「ローンを組む」「ローンで買う」というと、罪悪感を感じたり家族の表情が濁ったりしそう…と、あまりよいイメージがないですよね。世間一般にも、そんな風潮があります。筆者が活動するファイナンシャル・プランナーという業界でも、ローンやキャッシング、リボ払いなどは”悪”のような扱いをする方もいます。
じゃあ、住宅ローンはどうなのでしょうか? 私にいわせれば、平気でハイリスクな借金をしているようにしか思えません。銀行の住宅ローンの審査基準は、年収や完済時の年齢、年収に対する返済の率などをチェックします。
でも、借りる人の家計をみて「いくらなら返していけるか」を、チェックしているわけではありません。そこは、あくまで借りる人の自己責任になっています。住宅は大きな買い物なので、どうしても気持ちが大きくなりがち。返済能力以上の借入れをしてしまうケースも、多々見られます。
筆者が経営する零細企業なんかは、銀行から借りられても、せいぜい売上金額程度です。それにも関わらず、会社員の場合は、自分の年収の5~6倍の住宅ローンを借りられる時代です。なんて、恐ろしい…。
それに比べたら、バイクを購入するため、もしくはカスタムやレースをするため等のローンとして、100万円を借りるなんて可愛いものです。100万円貯まるまで待っている間に、バイクに乗れない身体になってしまうかもしれないし、バイクに乗られる環境ではなくなるかもしれない。なにより、今楽しみたいことは今すぐ実行したいですよね。
筆者としては、どうしても今バイクに乗りたいという方なら、ローンで資金を前借りしてでも乗って欲しいと思っています。教育費や住宅資金のときだけ、ローンが正当化されるなんておかしいですから。
楽しみを前借りするコストは?
ではローンを借りて、楽しみを前借りするのに必要なコストはどれくらいか。気になりますよね。このコストに相当するのが、「利息」です。ローンによっては、手数料とも呼ばれたりします。銀行が取り扱っている、マイカーローンで試算してみましょう。
条件
- 金利:3.1%(固定と仮定)
- 借入金額:100万円
- 返済期間5年(60回)
計算結果
- 毎月の返済額:約1万8000円
- 5年間の利息合計:約8万円
つまり、楽しみを5年先取りするためのコストは、8万円に過ぎないということ。100万円を5年で貯めようとすると、毎月1万6666円必要なので、ローンを組んでも毎月プラス1300円くらい。たったこれだけで、5年も早く楽しみを前借りできるならアリじゃないでしょうか?
無計画や無理な返済計画では本末転倒ですが、やりくりできる範囲であれば、楽しみを前借りすることで人生が豊かになると思います。ちなみに、筆者もローンを使って愛車GPZ900Rのカスタマイズをしました。ローンを支払い終わったとき、「楽しみを前借りしてよかったー」と感じたことは、今でも鮮明に覚えています。
バイクローンの豆知識
バイクをローンで買う場合は、車のローンと同じく「マイカーローン」や「ディーラーローン」と呼ばれているものを使います。もっとも、仕組みについて詳しく知らなくても、ローン選びはできますので、ここでは触れません。選ぶために大切なポイントだけ、お伝えします。
ポイント1:種類と特徴
銀行で取り扱いのマイカーローンと、バイク販売店取り扱いのディーラーローンの違いを理解しておきましょう。優先的に利用を考えたいのは、マイカーローンです。ディーラーローンに比べ、金利が低いので支払う利息が少なくすみます。
また、バイク用品や部品などにも使えるので、バイク購入に限らず便利です。バイクの所有権も自分になるので、売りたいと思ったときには、すぐに手放せます。
審査の時間が短く、来店不要といった、ディーラーローンに迫る手軽さのローンもあります。”楽しみの前借りコスト”を少しでも抑えるなら、マイカーローンを優先して検討し、審査が通らなかったり、手間がかかってしまいそうであれば、ディーラーローンを使うとよいでしょう。
ポイント2:金利について
ローンの種類によっては、利息の計算方法が異なったりします。そこで、利用者が誤認しないよう、どんな種類のローンでも計算方法が同じになるよう、調整された”実質年率”を表示するようにしています。
また、金利タイプには返済している間、金利が一定の「固定金利」と、世の中の金利が変わるとローンの金利も変わる「変動金利」があります。どちらかといえば、変動金利タイプのローンが主流ですが、現在のように金利が上昇傾向の中では、固定金利タイプの選択を検討すると、よいかもしれません(2024年10月執筆時点)。
ポイント3:保証料
借入先によっては、別途、保証料という手数料が必要になってきます。借り入れ金額の借入額の1%から2%が一般的となっていますが、どれくらいか事前に確認しておきましょう。総返済額は、保証料も含めて計算しないと、正確な数字が出せないからです。
以上のポイントをきちんとチェックしておけば、ローン選びで後悔することはないでしょう。ローンは無理なく上手に使えば、人生を楽しむことができる最強の”ツール”になりますよ。楽しみは“前借り”すべし!
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(石川英彦)
バイク保険の主役は賠償責任保険だ バイク保険って種類がいろいろあって、なんだか難しいですよね。でも、超キホンをおさえておけば初心者でも安心。意外とわかりやすいんです。ちょっと解説してみますね。 まずラ[…]
目標やゴールは決める? 決めない? 何かをしようと思ったとき、あなたは”目標”や”ゴール”を決めていますか? ファイナンシャルプランナーの私はというと、じつは”決めない”タイプです。時間が限られていて[…]
株式投資の本当って何? 株式投資とは、簡単に言ってしまえば「株を売り買いしてお金をふやすこと」です。この売り買いには2つのパターンがあって、短期(1日とか1週間とか)で売買する方法と、企業の成長に寄り[…]
新NISA(ニーサ)やってる? 「新NISAやってる?」なんて会話を、耳にしたことはありませんか? これは、2024年から始まった、投資がおトクにできる制度です。ニュースでも取り上げられるようになって[…]
将来やりたいことありますか? はじめまして、カワサキGPZ900R乗りのファイナンシャル・プランナー、石川です。生粋のバイク好きとしては、老舗のバイクメディアへ寄稿できることになり、ウキウキしています[…]
最新の関連記事(ライフスタイル)
バイク保険の主役は賠償責任保険だ バイク保険って種類がいろいろあって、なんだか難しいですよね。でも、超キホンをおさえておけば初心者でも安心。意外とわかりやすいんです。ちょっと解説してみますね。 まずラ[…]
目標やゴールは決める? 決めない? 何かをしようと思ったとき、あなたは”目標”や”ゴール”を決めていますか? ファイナンシャルプランナーの私はというと、じつは”決めない”タイプです。時間が限られていて[…]
読者のみなさま、はじめまして! バイクや車とそのオーナーさんを被写体にした、映像制作や写真撮影をしているチーム「GarageFilm」のマチルダと申します。私の記事では、現在の活動をするきっかけになっ[…]
ハーレー女子に聞きました Q1.これまでのバイク歴/ハーレー歴など教えてくださいQ2.いま乗っている愛車を選んだ理由は?Q3.お気に入りのポイント?Q4.高年式モデルにない魅力とは?Q5.同じ趣味を持[…]
幻想的な風景から仲間たちとの思い出まで 第67回は「秋は夕暮れマシン」がテーマ。あたりを橙色に染める夕日、街や山のシルエットなど、夜の直前に訪れる特別なひとときと、バイクを収めた写真を募集したぞ! ※[…]
最新の関連記事(ニュース&トピックス)
保険料500円でヨシムラ車、乗り放題ッ!! ヨシムラファンにとって秋の定例イベントとなっている「ヨシムラミーティング」。ヨシムラが那須モータースポーツランドでイベントを行ったのは2014年の60周年記[…]
30ヶ国427日間/走行距離約6万キロ/バイクにタンデムで世界一周 編集部:見る前は、きれいな景色や観光案内的な旅内容ばかりだったら、正直、2時間はキツいかな…と思っていたのですが、いやー一気に見入っ[…]
あの頃の憧れが、目の前に 展示の目玉は、1975年に登場した初代GL1000。当時としては革新的な、水平対向6気筒エンジンを搭載し、大型ツアラーの新時代を切り開いた伝説のマシンだ。若かりし日に、ショー[…]
バイク保険の主役は賠償責任保険だ バイク保険って種類がいろいろあって、なんだか難しいですよね。でも、超キホンをおさえておけば初心者でも安心。意外とわかりやすいんです。ちょっと解説してみますね。 まずラ[…]
ホンダ X-ADVが二期連続で首位獲得! 「再び売却した際に高値の付くバイク」=「”リセール・プライス”の高いバイク」ということで、バイク未来総研では定期的にそのリセール・プライスの高いバイクを発表し[…]
人気記事ランキング(全体)
4気筒CBRシリーズの末弟として登場か EICMA 2024が盛況のうちに終了し、各メーカーの2025年モデルが出そろったのち、ホンダが「CBR500R FOUR」なる商標を出願していたことがわかった[…]
125ccスクーターは16歳から取得可能な“AT小型限定普通二輪免許”で運転できる バイクの免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大型二輪(排気量無制限[…]
電熱インナートップス ジャージタイプで使いやすいインナージャケット EK-106 ポリエステルのジャージ生地を採用した、ふだん使いをしても違和感のないインナージャケット。38度/44度/54度と、3段[…]
第1位:X-Fifteen[SHOEI] 2024年10月時点での1位は、SHOEIのスポーツモデル「X-Fifteen」。東雲店ではスポーツモデルが人気とのことで「とにかく一番いいモデルが欲しい」と[…]
コンパクトな車体に味わいのエンジンを搭載 カワサキの新型モデル「W230」と「メグロS1」がついに正式発表! ジャパンモビリティショー2023に参考出品されてから約1年、W230は白と青の2色、メグロ[…]
最新の投稿記事(全体)
126~250ccスクーターは16歳から取得可能な“AT限定普通二輪免許”で運転できる 250ccクラス(軽二輪)のスクーターを運転できるのは「AT限定普通二輪免許」もしくは「普通二輪免許」以上だ。 […]
一般人でも許される現行犯逮捕とは? 「逮捕」とは、犯罪の容疑がある人の身柄を強制的に拘束する手続きです。 原則として、事前に裁判官の審査を受けて許可を取り、令状の発付を得てからでなければ、たとえ警察で[…]
バイクのスピード感をイメージさせる象徴的なグラフィックモデル登場 ネオテック3のグラフィックモデル第3弾となるアンセムは、バイクを走らせているときに感じる風を思わせる、スピード感ある模様が特徴だ。ブラ[…]
バイクのパーツと“夜行”をポップアートに描いたホットでクールなグラフィックモデル Z-8 ヤギョウは、ネオンカラーなどの極彩色で彩られた現代ポップアートなグラフィックが特徴だ。グラフィックにはタイヤと[…]
グローバル展開では『500cc』のほうが有利になる地域も ホンダ「GB350」シリーズといえば、直近ではクラシカル要素を強化したGB350Cも新登場し、走りのフィーリングまで変えてくるこだわりっぷりが[…]
- 1
- 2