こだわりバイクライフSNSショッキングVol.10
「”好き”への共感が良縁をつなぐ」イラストレーターすらくすさんのバイクライフ

ライダーの数だけバイクに対する向き合い方も、バイクライフの楽しみ方も違うハズ。そんなひとりひとりのこだわりをリレー形式で語ってもらう連載企画。タイトルは某アワーのパク…リスペクト。第10回は、古めのバイクと女の子の組み合わせをメインに描いてる、旧車好きのイラストレーター、すらくすさんだ。
●文:[クリエイターチャンネル]すらくす ●編集:ヤングマシン編集部(石川)
読者のみなさん、どうも初めまして! ちょっと古めのバイクと女の子の組み合わせをメインに描いてる、イラストレーターのすらくすと申します。すごいクリエイターやバイク乗りの方々から回ってきたバトンということで、緊張しますが…よろしくお願いします。
乗り物描きのきっかけはクルマから
現在でも続いている、乗り物を描くという趣味に目覚めたのは、幼少期からです。もう暇さえあれば、乗り物図鑑や本を開いて気になるものを探し、絵に描いていたぐらいでした。でも、その頃の興味の中心は、もっぱらクルマ。「頭文字D」の影響もあり、小学生に上がった頃には、さまざまなクルマのマンガや映画を漁るぐらい、どっぷりハマっていました。
中でもインスピレーションを喚起されたのが、1960~1980年代の旧車です。粗削りだけどワクワクする佇まいや、どこか暖かみのある姿に惹かれて、これらのクルマの絵をたくさん描きました。
その手の雑誌を絵の資料に漁ってると、カワサキZ1やノートン コマンド等、バイクの旧車も一緒にクローズアップされていたので、次第に「バイクもかっこいいんじゃないかな」と少しずつ感じるようになってきました。なにせ、それまでは「バイクは暴走族の乗り物」という、ネガティブなイメージだったこともありまして…。
そんな中、決定的にバイクにハマるきっかけとなったのが、高校1年の夏。V8インターセプターの活躍目当てに、映画「マッドマックス」を観たら、劇中でグースが乗るカワサキ Z1000が目に止まったんです。派手にホイールスピンをかまして発進する様が、とにかくカッコよくて。一発でバイクに魅せられてしまった自分が、そこにはいました。
それ以来、ふだん過ごす日常の景色が変わってきて。街中を気持ちよさそうに走るバイクや、本屋に並ぶバイク雑誌など、それまであまり目に留めなかった、バイクの世界がブワーッとなだれ込むように、自分の視界に入るようになったのです。一端のバイク好きになるまでに、さほど時間はかかりませんでしたね。
ジブリ作品にハマり始めたのも、同じ時期でした。宮崎駿監督をはじめとしたスタジオジブリの面々が描き出す、躍動感と情緒を感じさせる人物描写に心動かされて。それまでまともに描いたことがなかった、キャラクター絵に手を出し始めるきっかけとなりました。2000年代当時全盛だった、ネットのお絵描き掲示板で悪戦苦闘しながら、デジタル絵のイラストを投稿した日々は、今やいい思い出です。SNS全盛になってからは、Xなどをメインに制作活動を続けています。
不器用の中の愛嬌
自分がバイクとキャラクターの組み合わせを描く上で、一番参考になったのは、2000年代後半のストリート系バイク雑誌でした。その紙面には、新旧さまざまな車種や個性的なカスタムだけでなく、そのオーナーたちの服装や小物などに言及したインタビューが満載で。十人十色のこだわりやエピソードを読んでいくうちに、会ったこともない、ライダーたちの生き方や心情に思いが巡っていき、グッと親近感を抱くようになっていったのです。
そのおかげで、自分が描くキャラクター造形にも変化が出てきて。ただ自分の考える可愛いを詰め込むだけでなく、「この子の性格なら、こんなバイクでこんなコーデで…」とバックストーリーや心情を想像するという、現在のスタイルを築き上げるきっかけとなりました。
古めのバイクばかり描くようになったことにも、きっかけがあります。それは以前、バイク屋さんで働いていたときのこと。国内外のいろいろなバイクに触れる機会があったものの、ビビッときたものの大半が、いわゆる旧車ばかりでした。現在よりも、試行錯誤の幅が広かった時代だからこそ、洗練されてなくても、作り手の主張やお国柄がストレートに伝わってくるということが、とにかく愉快に感じられたのです。
私の愛車遍歴も、ヤマハSRXに始まりジレラ サトゥルノや富士重工 ラビット ハイスーパー90と、とにかく旧車(笑)。とくに2014年以来、10年以上所有しているBMW R100RSは、自分のアイコンともいえるバイクで、イラストにも度々登場させています。
旧車を描いていると、さまざまな気づきがあります。パーツの一つひとつ、タンクの曲線やクランクケースの凹凸など、観察しながら線を引き、色づけていくと、時代遅れで不器用だけど、どこか抜けているひょうきんさが感じられて。しかも、それらがひとつのイラストになった途端、愛嬌に変化する…気がするのです。
キャラクター絵をいろいろ描く中で実感したのは、無骨なメカと可愛い女の子って組み合わせは、そのコントラストが互いの魅力を倍増させてくれますし、観る人も喜んでくれるし、描いてても満足感が高いということです。自分自身、「いっくらでも描いてられる!」と感じちゃうぐらいですね(笑)。
とはいえ、この連載企画に登場したカスタムショップRDDの傳田さんにヤマハ セロー250を最近譲っていただいたこともあり、「現行車や高年式車も楽しい!」となってきました。なにごともきっかけがあるものですね。まだまだ趣味の幅が広がっていきそうです(笑)。
ペンとバイクを走らせて広がる縁や出会い
こうした自分の”好き”を詰め込んだ絵を何度もSNSを通じて発信してると、いろいろな縁が増えてきました。違うジャンルから「バイクの事は分からないけれど、絵が素敵だから」とフォローしてくれた人もいましたし、愛車のカラーリングやカスタムを妄想した絵を見た人から、それを実現できる職人さんやバイク屋さんを紹介していただいたこともありました。
いろいろな人の協力を得てできた、カスタムバイクも縁を繋いでくれました。その愛車で走ってたら、同じ様な物作り好きのバイク乗りに、やたらと遭遇する回数が増えたのです。しかもXで相互フォロワーになったあとに、偶然ご近所さんだと判明したり、後に近所に引っ越してきたり…。お陰でウマの合う友人がたくさんできて、楽しく暮らせています。
世田谷のユナイテッドカフェさんもまた、得がたい縁のひとつです。2021年に「イラスト個展を開きませんか?」とお誘いをいただいて以降、一年に一回のペースで個展を開催させていただけるようになりました。リアルでいろんな方に作品を見てもらえて、感想をもらえて、創作活動の大きな励みになっています。
自分の”好き”に共感してくれる人がいるということが、なによりうれしいし、それが縁になっていく。自分の理想が形になった時の感動や、琴線に触れる作品ができた時の喜び、そこから広がる世界の面白さを、これからも発信していきたいと思っています。
次回の「こだわりライダーSNSショッキング」は…
マチルダさんが登場予定。どんなバイクライフやバイク愛を語ってくれるか、乞うご期待!!
※本記事の文責は当該執筆者(もしくはメディア)に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(SNSショッキング)
みなさま初めまして。北海道は江別市在住の道産子ライダー、ゆーまです! 元々は某バイクディーラーにて勤めておりました。バイクが生活の一部になっている私のバイクライフについて、綴らせていただきます。 バイ[…]
みなさん始めまして!北海道札幌市在住のふーまと申します。バイクや車とそのオーナーさんを被写体にした、映像制作や写真撮影をしているチーム「Garagefilm」で活動をしております。 動画作品は、You[…]
はじめまして! 北海道札幌市でバイク乗り&スチールカメラマンをしております、かわさきしゃけと申します! Garagefilmというクリエイティブチームで活動をしております。この記事では、私のバイクや物[…]
読者のみなさま、はじめまして! バイクや車とそのオーナーさんを被写体にした、映像制作や写真撮影をしているチーム「GarageFilm」のマチルダと申します。私の記事では、現在の活動をするきっかけになっ[…]
1分でわかる記事ダイジェスト バイク趣味のきっかけは、ノルタルジー溢れるYB-1 バイク趣味のきっかけは、ヤマハの原付「YB-1」が映る一枚の写真。1996年に発売されたレトロスポーツで、背景とマッチ[…]
最新の関連記事(ライフスタイル)
1万4000人が詰めかけたブルスカ2025 山下ふ頭の特設会場は横浜ベイブリッジを臨む広大なもので、世界限定 1990台限りのアイコン コレクション「ファットボーイ グレイゴースト」のお披露目をはじめ[…]
かつての人気モデル「キャンパー」のDNAと手巻きムーブメントの融合 「MK1ハンドワインド」のルーツは、1980年代に登場し、シンプルかつ実用的なデザインで人気を博したキャンパーモデルに遡る。そのデザ[…]
高まるペット移動ニーズに応える革新的モビリティ ガソリン価格の高騰と50ccクラス原付の製造終了という時代の転換期において、経済的かつ環境に優しい移動手段への需要が急速に高まっている。その一方で、近年[…]
みなさま初めまして。北海道は江別市在住の道産子ライダー、ゆーまです! 元々は某バイクディーラーにて勤めておりました。バイクが生活の一部になっている私のバイクライフについて、綴らせていただきます。 バイ[…]
一般人ほど相続に気をつけろ! “相続”は「金持ちの問題」と思っている人が多いようですが、それは大間違い! 少しでも物やお金を持っていれば、相続は誰にでも関係します。そして、一般人ほど面倒です。 お金持[…]
最新の関連記事(ニュース&トピックス)
フレンドリーさも持ち合わせていた名機’89 NSR250R 1986年に初登場した2ストロークレーサーレプリカの名車、NSR250R。登場から30年以上が経過した現在でも、型式を問わず根強い人気を誇っ[…]
機能性を損なうことなく利便性を高めた、期待の新製品 おたふく手袋は、長年、多くのプロフェッショナルから信頼され続けている老舗軍手メーカー。同社が展開する「BODY TOUGHNESS(ボディタフネス)[…]
「究極のエネルギー」太陽光のみで活動が可能 HelioX「AGAO(アガオ)」は、電源コンセントや充電コードに頼らず、太陽光のみで充電&走行が可能なマイクロモビリティ。 2023年7月1日施行の改正道[…]
1980年代、バイクに情熱を注ぐ若者たちを魅了し、今なお語り継がれる伝説のバイク漫画『バリバリ伝説』がグラフィックトートバッグとして蘇る。 主人公・巨摩 郡(こま ぐん)の熱い走りと仲間たちとの絆、そ[…]
2025年10月末をもって現行50ccバイクの継続生産ができなくなることを受け、各バイクメーカーは50cc原付から110~125ccを出力4kW以下に制御した新基準原付、いわゆる新原付の導入に向かうこ[…]
人気記事ランキング(全体)
Z1、GPz900R、Ninja ZX-9Rから連なる“マジックナイン”の最新進化系 カワサキは、948cc並列4気筒エンジンを搭載したスーパーネイキッド「Z900」および上級モデル「Z900 SE」[…]
涼しさの心臓部。それは「素材」と「構造」の魔法的組み合わせ うだるような暑さと、じっとりと肌にまとわりつく湿気。毎年繰り返されるこの季節に、多くの人が少しでも快適に過ごせる服を探し求めている。そんな中[…]
『Wheels and Wavesフェスティバル』にカスタムマシン×11車を展示 6年目を迎えたHondacustoms(ホンダカスタムズ)、過去にはCB1000Rやレブル、CL250/CL500、モ[…]
左右2本出しマフラーやベルトドライブ、6速ミッションも採用 ヒョースンモータージャパンは、水冷124.7cc・V型2気筒エンジンを搭載したクルーザーモデル「GV125Xロードスター」を発売する。 挟み[…]
アメリカは”英国車マニア”多し! この1956年製MGAはご覧の通り左ハンドルで、最初から北米仕様だったもの。そもそも、アメリカは英国車マニアが数多く存在しており、1950年代どころか1930/194[…]
最新の投稿記事(全体)
「パンヘッドのチョッパーに乗りたい」理想像を具現化 目の肥えたファンが集まるカスタムショーに大きなブースを構え、絶え間なくハイレベルな作品を発表し続ける遠藤自動車サービス。その確かな技術力/信頼性の高[…]
2023年モデル:400クラス唯一のクルーザーとして復活 発売は2023年4月25日。先代となるエリミネーター400から実に15年ぶりの登場で、エリミネーター/SEの2グレード展開だった。 ニンジャ4[…]
日本を代表するツーリングロードのティア表だっ! 「次のツーリングは、どこへ行こう?」 そんな嬉しい悩みを抱える全てのライダーに捧げる、究極のツーリングスポット・ティア表が完成した。 ……いや、そもそも[…]
フレンドリーさも持ち合わせていた名機’89 NSR250R 1986年に初登場した2ストロークレーサーレプリカの名車、NSR250R。登場から30年以上が経過した現在でも、型式を問わず根強い人気を誇っ[…]
幻のヤマハロータリー〈RZ201〉 1972年東京モーターショウの最大の話題は彗星のように登場したこのローターリー車だ。水冷・横置きツインローターを搭載、また前輪とともに後輪にもディスクブレーキを採用[…]
- 1
- 2