暑い夏、バイクのエンジンに暖機運転は必要or不要? を徹底解説!

「暑い夏にバイクエンジンの暖機運転はいらないのでは?」という疑問について掘り下げてみたいと思います。暖機運転とは、その名の通りエンジンを温める行為です。しかし、夏の暑い気温なら暖機運転は必要ないんじゃないか、という意見もあります。たしかに、一見理にかなっているように思えますが、実際にはそうではないのです。筆者の経験談を交えて「熱く」語ってみたいと思います~!
●文:[クリエイターチャンネル] DIY道楽テツ
1分でわかる記事ダイジェスト
筆者の経験談や失敗談も含めて、バイクエンジンの暖機運転の必要性を解説。
暖機談義その①クリアランスについて
クリアランスについてエンジンは熱を発し、ガソリンが爆発するエンジンの熱さには及ばない。金属は熱くなると熱膨張を起こす。それを考慮して、エンジン部品のクリアランスは設計されている。そのため、設計上の温度に達してからの走り出しが理想的なのは間違いない。
暖機談義その②金属表面へのオイル油膜の密着
金属の表面にオイルが付着して「油膜」を形成することで、エンジン内部ははじめて潤滑される。シリンダー内壁や金属部品が適温に達すると、部品の表面に均一な油膜が形成される。レーサーマシンともなれば、厳密な管理のもと、時間をかけて暖機運転している。
暖機談義その③オイルの循環について
油膜が不十分な状態だと、金属部品が高速回転した場合、必要以上に擦れあったりする。エンジン始動してから一定の時間は、オイルが行き渡っていない状態でエンジンが動いている。しばらく乗ってなかったバイクのエンジンともなれば、油膜が限りなくゼロに近い状態で動くハメになる。
オイルの油膜がある状態でも過酷な環境だというのに、油膜なしで動かすのは、たとえ短時間であったとしても致命的だ。
油膜不足が引き起こす惨劇
十分なオイルが供給されてない状態では摩擦熱が発生。筆者も削れるどころか金属表面が焼けて、溶けて、ズタズタになってしまったエンジンを見たことがある。オイルがエンジン全体に行き渡ってはじめて、スタート可能な状態になれる。暖機運転を徹底している我が家のハイエースは20万km以上走っているが、いまだにエンジンの異音は皆無で、整備工場の整備士の方がびっくりするほど快調だ。
まとめ:夏場も暖機運転推奨!
とはいえ、技術が進歩した現代のエンジンはメッキ技術やコーティング技術によって、以前のような暖機運転は必要なくなっているのも事実。また、無駄なアイドリングはガソリンの無駄遣いになるだけではなく、シリンダー内部に不要なカーボンを発生させる可能性がある。エンジンにあった暖機運転のやり方を探してみよう。適切に行うことで、明らかにエンジンの寿命は変わってくるのは確かだ。
※本記事の文責は当該執筆者(もしくはメディア)に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。
最新の関連記事(メンテナンス&レストア)
販売終了が続く絶版車用純正部品を信頼のMADE IN JAPANで復刻 長期間不動状態だったバイクを再始動する際、キャブレターやガソリンタンクの状態もさることながら、クラッチの張り付きも懸念事項のひと[…]
フレキシブルプラグソケット:スリムな外径で汎用性をアップした、ユニバーサルジョイント一体ソケット 最初は指でねじ込んで、ネジ山が噛み合ってからプラグソケットを使うのが理想だが、雌ネジがプラグ穴のはるか[…]
皮脂や汗に含まれる尿素が生地を痛めてしまう ──一般の方が汗でびちょびちょのヘルメットをリフレッシュさせたい場合、どのように行えばよいでしょうか? 「どこが外せるのか、どういうふうに洗えばいいのかは、[…]
バイクの電装部品のひとつ、レギュレターってご存じですか? こういうの部品です。 車種によって場所はマチマチですが、だいたいがシルバーで、アルミ素材で空冷フィンがついていて、比較的バッテリーに近いところ[…]
メーカー自体が存在しない絶版車のメンテやレストアは難しい 日本のバイクメーカーは今でこそ4社に集約されていますが、1950年代には大小含めて数十社のメーカーが林立していました。第二次世界大戦で疲弊した[…]
最新の関連記事(Q&A)
オートバイって何語? バイクは二輪車全般を指す? 日本で自動二輪を指す言葉として使われるのは、「オートバイ」「バイク」「モーターサイクル」といったものがあり、少し堅い言い方なら「二輪車」もあるだろうか[…]
バイク エンジン かからない原因を症状別に解説 さあ、ツーリングに出かけよう! 荷物をシートにくくりつけ、ヘルメットとグローブを装着してキーをシリンダーに差し、セルスイッチをプッシュ……え、エンジンが[…]
バイクのパンク修理を自分でやるときに知っておきたい基本知識 どんなに注意して走っていても、路面の釘やネジなどを拾ってパンクすることは少なくありません。とくにバイクは路肩を走行する場合も多く、路肩には車[…]
バイクオイル交換とは? エンジンオイルの役割 バイクのオイル交換とは、エンジン内部の潤滑や冷却、清浄などを担うエンジンオイルを新しいものに入れ替える作業です。 エンジン(内燃機)内部は精密パーツが高速[…]
A:どちらも不具合。後ろはアフター、バックは戻ると覚えるべし 未燃焼ガスがシリンダー外で燃えるという意味では、どちらも同じ”不調”を表している。アフターファイアーはマフラー側に流れた未燃焼ガスが引火す[…]
人気記事ランキング(全体)
9月上旬~中旬発売:アライ「RAPIDE-NEO HAVE A BIKE DAY」 旧車やネオクラシックバイクにマッチするアライのラパイドネオに、新たなグラフィックモデルが登場した。グラフィックデザイ[…]
個性を求めて生まれた新しいスタイルとメカニズム ライバル他社に対して欧米市場での競争力強化を迫られていた1970年代後期のホンダは、CB400フォアよりも低コストで低価格にできる2気筒モデルに舵をとり[…]
夏場は100℃超えも珍しくないけれど… いまやバイクのエンジンは“水冷”が主流。安定した冷却性能によってエンジンパワーを確実に引き出すだけでなく、排出ガス/燃費/静粛性の面でも水冷の方が空冷より有利な[…]
フレームまで変わるモデルチェンジ、かつリヤキャリアを新装備してたったの+6600円 スズキは、グローバルで先行発表されていた新型「アドレス125」の国内導入を正式発表。基本スタイリングは継承しながら、[…]
作って、触って、攻略する。新感覚のサーキット模型 スマホケースなどの地図柄グッズを手がけるクロスフィールドデザインが、モビリティライフスタイルブランド「レシプロ」の新商品として「レイヤード ランドスケ[…]
最新の投稿記事(全体)
一線から退くことすらファンが許さなかった「革新モデル」 世界最速を目指したZ1発売から10年余り、ついにカワサキは水冷4気筒エンジンを搭載するGPz900Rを1984年に発売。北米モデルはNinja([…]
イタリア魂が込められたフルサイズ125ccネイキッド イタリアンブランドとしての誇りを胸に、資本も製造もすべてイタリアで行うファンティックは、コストダウンのために安易なアジア生産に走らず、職人の手で丁[…]
厳格な基準をクリアした車両のみが“認定中古車”を名乗れる 国内外のほとんどの2輪/4輪メーカーが設けているのが“認定中古車制度”だ。これは自社のブランド価値を保ち、中古車市場においても顧客に安心して車[…]
なぜハイエンドの性能が「半額水準」なのか ASMAX F1 Proは、次世代バイク用インカムブランド「ASMAX」のフラッグシップモデルで、2025年9月上旬から販売開始される。F1 Proがライダー[…]
バイクとの親和性はスマホを圧倒的に上回る AKEEYOが販売する「AIO-6LTE」は、太陽光の下でもはっきり見える視認性の高い大型6インチのIpsモニター、Wi-FiとBluetoothによるスマホ[…]