こだわりバイクライフSNSショッキングVol.7

「中型免許を取っても色褪せなかったホンダ ドリーム50への憧れ」’60sレーサー好き えすごさんのバイクライフ

  • [CREATOR POST]SNSショッキング

はじめまして。サンマスワークスの益田さんからのバトンで回ってきました。連載初の自営でもなんでもない、ただバイクを趣味としているだけの一般人です。

バイクへの見方を変えた、ロードレーサーのカッコよさ

じつは益田さんの記事に出てきた、ホンダ ドリーム50の友人とは自分のことです。この車両こそ、バイクに乗り始めたきっかけだったりします。原付免許を取ったのは16歳も後半のころで、それまではバイクより自転車と車が好きでした。「車の免許さえあれば、付帯してくる原付免許なんて取らなくてもいいや」なんて思っていたぐらいで、積極的にバイクに乗ろうとは思っていませんでした。

でもバイク通学がオッケーな高校だったこともあり、周囲にはバイク乗りが多かったんです。そんな彼らに「バイクはいいぞ!」と強く押され、4輪からの延長で興味を持っていたホンダのバイクについて調べてみることにしました。

知れば知るほど、ホンダの巡ったバイクレースの歴史が面白くて。敗戦後間もない中での本田宗一郎のマン島TT出場宣言やその有言実行、世界GP全クラス制覇等、“世界のホンダ”となっていく輝かしい軌跡に魅了されました。

そうした背景も含めて、この世でもっともカッコいいと思えるバイクを見つけました。それが1966年に世界ロードレースGP250ccクラスにおいて、10戦10勝を収めた、250cc並列6気筒エンジンを積んだホンダRC166です。

その写真をやたらバイクを推してくる、走り屋の友人に見せ「こんなスタイルのバイクが売ってるなら免許取るよ」と言ってみたところ、なんと「遅くてダサいけど、あるよ」という回答が返ってきました。それが冒頭でも述べた、ドリーム50だったんです。

「まさか、あの世界一カッコいいスタイルのバイクが市販されているなんて…」と当時の自分には衝撃的でした。よくよく調べてみると、偶然形が似ていたわけではなく、そもそも黎明期の世界ロードレースグランプリで数々の勝利をもたらしたRCレーサーや、市販レーサーのCR110をオマージュして作られたバイクとのこと。それを知ると、ますます欲しくなりました。

捨てきれなかったドリーム50への憧れ

そのあと原付免許を取得。ドリーム50も同時に購入としたかったのですが、金銭的な問題もあり、とりあえず実家にあったホンダ リトルカブをもらうことにしました。元々の機械好きを存分に発揮して、いかにもガキっぽい改造を楽しみながらどっぷりとバイクの魅力につかっていきましたね。

意外と原付ってスピードでますからね、しっかりと交通違反取り締まりの洗礼を受けて、初心運転者違反になってしまったりもしましたが…。それならきちんと法令を守れる免許を取ろうと、17歳で普通二輪免許を取得しました。

すぐにリトルカブをボアアップして、市役所で原付二種登録。はじめて自分でバラして組んだエンジンが始動したときの感動は今でもしっかりと覚えています。

その後、せっかく400ccまで乗れるようになったこともあり、周囲の友人から「そろそろ普通に中型バイク乗りなよ」と言われ、中型で一番欲しかったヤマハR1-Zと同じエンジンを搭載する上に、当時3万円と破格の値段で買えたTZR250(1KT)を購入しました。

それでも、やっぱりどこか物足りなくて。バイクに興味を持つきっかけとなった、ドリーム50への憧れは薄れるどころか増すばかり。悶々とした日々を送るようになりました。10年前の当時でもドリーム50はレアなバイク。30万円が相場で、高校生の自分にはおいそれと出せる金額ではありませんでした。

「それでも欲しい!」とTZRを手放し、夏休みを潰して必死でバイトしてお金をかき集めたところ、なんとかオークションでボロボロのドリーム50を購入することができました。“落札”の2文字が出たときはガッツポーズしてしまったぐらいうれしかったことを覚えています。

今振り返ると、ここが良くも悪くも、自分にとっては人生の分岐点だったといえます。人生でやるべき他の事をすべて放棄して、ドリーム50での京都千葉のフル自走往復ロングツーリングに行ったり、改造を施して峠道での走行を楽しんだりと、本格的にバイク趣味にハマっていきました。

本当にいろいろなことをしましたが、最終的に事故でこのドリーム50は廃車。自分も大怪我で入院し、もうバイクは辞めようかと思ったこともありました。ところが、退院も目前に迫ってきたころには、我慢できずに病院のベッドの上で次なるマシンを落札している自分がいました。それが今、ふだん使っているスポーツカブCS50です。

ドリーム50は乗れば乗るほど魅力のあるバイクだったのですが、一度は本物の旧車にも乗りたいと思ったのが購入のきっかけでした。当然これももったいないとは思いながらも大幅に改造し、当時の空気感を追い求めつつ、近代化改修をしてふだん使いに耐えられる仕様にしています。

ニッチなジャンルでも同好の士ができた

自分のカスタムに貫いているコンセプトは、1960年代の雰囲気を尊重した、原付二種乙型(90cc黄板)までのストリートレーサー的カスタムといえます。あまりにもニッチすぎて流行るわけのないジャンルだと思っていたのですが、最近は趣味趣向を理解してくれる人達がちらほらと現れてくれるようになってきました。

オフ会でずらっと同じ雰囲気をまとった車両を並べることができたときなんて、もう感慨深くて。ずっと同じジャンルで活動してきてよかったと思えましたね。

最近はスポーツカブCS50のカスタムも満足するところまできたので、長年構想だけは練っていたホンダRCレーサーのレプリカに取りかかりました。

ドリーム50の車体をベースに、DOHC125cc 6速乾式クラッチ化したエイプ100系のエンジンを搭載したもので、制作には部品集めも含めて7年かかりました。このバイクをツインリンクもてぎのパレードランで走らせたときの満足感は、今思い出しても言葉にしきれません。

思えば自分の人生は最初から今現在まで乗り物漬けで、コレからもきっとそうだろうと思いますし、いろんな意味でもう引き返せないとこにきてしまいました。カスタムの幅を広げようと溶接に手を出し始めたことがきっかけで、今の職場に就職しましたし。乗り物弄りに終わりはありません。これからもセンスと腕を磨いていきたいと思っています。

次回の「こだわりライダーSNSショッキング」は…

ブリジストンのレアな実用車を駆る缶コーヒーさんが登場予定。どんなバイクライフやバイク愛を語ってくれるか、乞うご期待!!

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