伊藤由里絵さんとヤマハ ボルトが日本中を巡り、ハッピーを届ける!!

[元白バイ 伊藤由里絵の全国靴磨きバイク旅]ハプニング連続!? 大洗港→苫小牧港で初めての一人フェリー旅

  • 2024/02/03 6:30
  • [CREATOR POST]伊藤由里絵

●文:[クリエイターチャンネル] 伊藤由里絵

これまで白バイ警官時代の話や、モデルとしての活動、靴磨き職人になり旅立ちを決意した経緯など、前編後編の2回にわたって自己紹介をさせていただいきました。今回からは、いよいよ全国靴磨きのバイク旅本編をスタートします!! 旅の中で起きたハプニング、印象深い人との出会いや旅情なんかを伝えられたらなと思っています。

日本一周スタートまでの準備あれこれ

半年前くらいから準備を始めていた日本一周ですが、一人旅が初めてである私はいくら準備しても何か足りてないような気がして、出発の日にちが近づくにつれ段々と不安と緊張が募っていきました。

47都道府県すべてで靴磨きのイベントをするという目的があるので、行き当たりばったりというわけにはいかず、事前にイベント先の確保や告知、宿泊先を数ヶ月先まで決めたりと、慣れない準備の連続でした。

事前の準備で一番気をつけたのは荷物の量です。宿泊地で毎回積み下ろしをすることになるので、とにかく軽くしないとフットワークに影響しそうだなと。仕事で使う靴磨きの道具も、普段持ち歩く量の1/3くらいに選抜してボックスに詰め込みました。

一番かさばるのは衣類なので、洋服は上下3パターンずつくらいと靴は3足(ライディング用ブーツ、お気に入りの革靴、パンプス)に厳選。

旅用に厳選した3足。

考えてみれば当たり前なものの、旅に出てから気づいたのですが、服や日用品は必要に応じて日本全国どこでも買えるので、最小限の用意でも十分でした。季節が変われば着なくなった服は実家へ送ることもできます。

それにホテルや宿で洗濯機が回せるし、外にはコインランドリーがたくさんあるので、肌着やタオルも最小限で大丈夫。なので、日本一周といっても必須の荷物って多くないんですよね(キャンプ道具を積んだらもっとたくさんになるかも・・・)。

いざ出発の日!!

出発の日に選んだのは『2022年5月30日』、私の27歳の誕生日でした。誕生日という節目に日本一周に出るってなんか良いなぁと思って。これからやってくる夏に向けて、まずは雪国からと考え、日本一周のスタート地は『北海道』としました。日本の最北端ということもあり、スタートにふさわしい土地です。人生で初めての一人フェリー旅で出発となりました。

フェリーの出港は19時。一人暮らししていたアパートも旅に合わせて解約済みで、実家で出発までの時間を過ごしていました。このときは出発するワクワクや楽しみよりも不安のほうが圧倒的に勝っていました。一人旅なんて初めてだし、そもそもお客さんは来てくれるのか。靴磨きで旅しながらの生活はできるのか。考えたらキリが無いくらい不安でいっぱいでした。

出発のギリギリまで荷物の整理整頓や確認などをしたり、バイクの後ろに取り付ける看板に『靴磨き』の文字を描いたりと、気持ちとは裏腹にバタバタしていたと思います。娘の旅立ちが間近ということで、実家にいた父と母もどこか落ち着かない様子。

「何か他に持っていくものあるかな?」と実家のタンスを確認していると、ふとあるものが目に止まりました。『出生手帳 伊藤由里絵』、そうです。27年前、私が生まれた日の記録でした。思えば私は今まで自分が生まれた日のことを両親に聞いたことがありません。出発の誕生日に出生手帳を見つけるということにどこか運命を感じて、小さな手帳をそっと開いてみることに。

そこには、日付が変わってすぐに生まれたことがまず記されていました。偶然にも、そのときの母の年齢はその日の私と同じ27歳。これまで、私は思ったことを思ったままに何でもやってきました。白バイを目指して達成して、モデルに転職して、靴磨きを始めて、そして今度は日本一周に出ようとしている。

でもこうして好きなことをできているのは全部愛情込めて育ててくれた両親のおかげなんだと気づいて「産んでくれてありがとう」という気持ちがどんどん溢れてしまって、出生手帳の『母子ともに健康』の文字を見ながらぽろぽろと涙が止まりませんでした。

そうしてひとしきり涙を流した後、気づけばさっきまでの不安はもうなくなっていました。「家族のために、そして応援してくれているみんなのためにも何がなんでも無事に帰ってくる!」という決意が込み上げてきたのです。

16時頃、ようやく家を出発。荷物を積み込んでいるときから両親は色々声かけしてくれて、それはどこか寂しそうにも感じられました。大事なことは照れくさくて言えない私ですが、それは家族全員同じ。「じゃあ、行ってきます!! またね!」「行ってらっしゃい!」と当たり前の挨拶に色んな感情を詰め込んだ旅立ちでした。

バイクの後ろに取り付けた靴磨きの看板

北海道へのルートは、実家から茨城の大洗港までバイクで走り、そこからフェリー『さんふらわあ』に乗船。約18時間の船旅を経て苫小牧に到着という旅程でした。

「19時に出港だから余裕を持って到着しよう!」と思っていた私は予定どおり45分前に港に到着。でも、フェリーに乗られたことがある方はもうご存知かと思いますが・・・これ、出航時間は19時だけど1時間前には手続きを終えて乗船していないといけないんですよね(泣)

そのことをすっかり忘れていた私は余裕を持って着いたと思い、ド迫力のフェリーさんふらわあの前で呑気に記念撮影をしていました(笑)

見かねた係の方に「早く乗れーーー!!」と言われてしまい、猛ダッシュで乗船手続き(あと5分遅く着いてたらその便に乗れなかったらしい・・・係の方に申し訳ない・・・)。せっかくのバイクでフェリー初乗船なのに、慌てすぎてどんなだったか全然覚えていません。いつも何かハプニングがあるのが私なので、余裕持ったつもりなのにやっぱり今回もいつもどおりになってしまいました(泣)。

中に入ると船内はとても豪華で、ハプニングのことも忘れてテンションが上がり、デッキに出てみたり売店に入ってみたりと子供のように船内の探検を楽しみました。お部屋は事前予約で迷った末に二段ベッドのドミトリータイプに。カーテンを閉められるようになっているほか個室内に電気やコンセントなどもあって、実に快適です。

でも、想像以上だったのが船酔い!! その日が悪天候だったのもあって、慣れていない私にはキツくて酔い止めを飲んでも立っていられないほど気持ち悪くなってしまいました。

そんなタイミングにも関わらず、何故かテンション上がっていて、レストランバイキングの夕食券と朝食券をノリで購入…。揺れながらもとりあえず食べることに。もちろん食事に集中できるはずもなく、汁物しか食べずにレストランを後にしました。お隣で食事してたご夫婦は、あの揺れの中優雅にシャンパン飲んでたな・・・。さんふらわあのレストランの味が気になっていた方がいたらスミマセン、分かりません(笑)!!

さんふらわあには大浴場もあるようでしたが、上記のとおり船酔いしてしまっている私はとてもそれどころじゃないので、ささっと洗顔だけ済ませてベッドに横になることに。最初は船の中って電波も届かないし暇だろうなぁなんて思っていたけど、びっくりすることに12時間の大爆睡をしていました。

朝食券にしても、やはり起き上がれないので食べず終い・・・。着港のギリギリまでベッドにこもっていたので、初めての船旅は色んな意味で印象深い思い出となりました。後に何度もフェリーを利用することになりますが…それはまたの機会に。

やっと到着した苫小牧港、外は雨でした。6月だけど北海道はかなり寒くていきなり冬用カッパの出番です。「北海道はまっすぐの道が永遠に続く」とはよく聞きますが、これは本当にそのとおり! 目的地の札幌まで2時間かかりましたが、うち半分くらいは一本道をただただ真っ直ぐに進みました。

日本一周のスタート前に色んな人から「北海道はガソリンスタンドがなかなか無いから見つけたらすぐ入れた方がいいよ!」と聞いていました。そこで札幌までのルートを調べながらガソリンスタンドの位置もしっかりと確認。

「よし、途中に1か所だけガソリンスタンドがあるからそこで入れていこう!」 と決め、苫小牧港の目の前にあったガソリンスタンドはスルーして出発。1時間くらい走り、ガソリン残量が30%くらいになったあたりで予定通りガソリンスタンドが見えてきました。ところが…

「て、定休日だとーーーー!?!?!?」

唯一の頼みの綱が…。雨の中支笏湖沿いの道を走りながら絶望を感じました。とはいえ進むしかないのでなんとか札幌まで着いて、ほんっとうにギリギリ燃料補給が間に合い、ほっと胸を撫で下ろしたのはご愛嬌です(笑) 。「予定通りにはいかない、これが旅なのか・・・!!!」 旅の最初の洗礼を受けた瞬間でした。

前もって決めていた札幌の目的地

札幌の中でも、目的地はもう決まっていました。私のおばあちゃんのお家です。小さい頃に何回か遊びに行っていたけれど、会うのは10年ぶり。今回の旅のことを話して、一週間泊まらせてもらうことになっていたのです。

おばあちゃんの家に近づくに連れ、だんだんと小さい頃見た風景と今見ている現実が重なっていきました。そうして懐かしいおばあちゃんのお家に到着すると、中から出てきたのはなんと、おばあちゃんと想像もしていなかったまさかの人物だったのです・・・!!!(次回に続く!!)

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