大実験”最も水に強いグリス”はどれだ!? シリコン/ラバーほか6種比較【グリス選びに悩む人必見!】
【実験2】グリスをイジメ抜く浸水実験!
今度はグリスを透明の容器に入れました。
こうして並べてみると一言に「グリス」と言ってもみんな表情が違うのがよくわかります。 触った感触 も全然違うのでやっぱりそれぞれ特徴あるんだろうな~と思うのですが…。 今回は グリスの耐水性について知りたいので、それぞれ違う結果が出てくれないと困るのです。
そんじゃ、さっそく水を入れて、耐水性テスト、浸水実験開始!!
ちなみに配置は左上からウレア/ラバー/シリコン、左下に写ってベルハンマー/モリブデン/リチウムという順番です。
〈3分経過〉ラバーグリスに変化あり!!
水を入れて3分後、ラバーグリスに動きがありました!
水の表面に斑点が浮いていうのが見て取れます。これってアレだ、まさにアブラですよね? ラーメンスープの表面に浮かぶラードそのもの。 ラバーグリスが水に融けているようです。
よっしゃよっしゃ、このテストには期待できそうです♪
〈7分経過〉シリコン以外にも動きが!確実に融けている??
水を入れて7分経過しました。
うっすらとアブラが浮いてきてるのが見て取れます。
シリコングリスだけは澄ました顔で変化がないものの、それ以外グリスは水の表面が若干濁ってきました。確実に変化、きてますきてます!
シリコングリスだけはすまし顔。まったく変化ナシ
〈30分経過〉いよいよ融けてきたか? 全体的に変化アリ
微妙な違いですが、確実に変化が見られます。まず、ラバーグリスの水面の斑点が大きくなりました。油分が融けだしている証拠です。そして、リチウム&モリブデンの水面の濁りがやや強くなりました。
ただ、ウレア&ベルハンマーの水面濁りは7分以降変化はなく、シリコングリスに至っては全くといっていいほど変化がありません。
〈120分経過〉何故だ?あれから変化なし!!
水を入れてから2時間が経過しました。
…30分以降、あれから変化がありません。状況、まったく一緒!
何故だ!? あれだけネットで語られている「水に強いグリス/弱いグリス」情報って丸ごと嘘だったのか?
少し水を濁らせただけで、肝心のグリス事体はまったく融ける気配ナシ。なんてこった。こりゃ、企画倒れの危機が迫ってきましたよ?
〈6時間経過〉変化がないので、強制的に混ぜてみた!
6時間経過しても 状況に変化がないので、 ここで強制的に変化を作ってみましょう。
ヘラを突っ込んでグジグジかき混ぜてみます!
もし、水によって軟化していたら水を濁らせながら融けるのでは? と期待したのですが、いくら荒っぽく掻き混ぜても、水の中で千切れはするものの、水と慣れあうつもりは毛頭ないようで。むなしく水の中で舞い踊るばかり。
期待していたような実験結果を見ることはできないのか…? そう落胆しかけた時に、ある事実に気づきました。
どのグリスも 水には融けないのですが、「容器の底」「かき混ぜるヘラ」「水の中での浮遊状態」に違いがあることに気づきました。
並べてみると以下の通り。
左:LSベルハンマー
状態に変化はなし。容器の底にもヘラにもくっついて、浮遊せず。
中:二硫化モリブデン
べっとりと容器の底にくっついたまま。水に濡れたヘラにはあまりくっつかない。分離もせずに浮遊もしない。
右:リチウム
容器の底に付かない。逆にヘラにべっとりくっついてなかなか離れない。一塊になって千切れる様子はない。
左:ウレア
容器にもヘラにも馴染みが悪い。千切れるものの、水にぽっかり浮かび上がる。
中:ラバー
やや軟化してる印象。容器にもヘラにもくっつくものの、すぐ千切れながら浮遊する。ぐちゃぐちゃになった。
右:シリコン
透明感そのままで、水の中でも変化なし。容器の底にくっついたまま、ヘラでかき混ぜてもひと塊のままで伸びるだけ。
【実験2 結果】水に強い/弱いは特性の変化にあった?
実験の結果として、水に影響されにくいのは シリコン|LSベルハンマー|モリブデン で、水を弾きまくってるのは リチウム|ウレア、 最も影響受けたのはラバーグリスという結果になりました。
水に弱いというと、乳化してグチャグチャになると思っていましたが、潤滑するべき金属から剥がれて千切れたり飛び散ったりする状態を「水に弱い」と表現するのかもしれません。
その中でもとても興味深かったのは、容器の底にくっつくパターンと、ヘラにくっつくパターンに分かれたことです。これは個人的にも なかなか面白い実験結果となりました。
ご存知の通り それぞれのグリスに適した潤滑対象があって、素材との相性も得手不得手がありますが、水分を含む環境だった場合、金属との食いつき具合に大きな違いが出ることが予想されます。
…あっ、そういえば今回は「耐水性」のテストでしたが、「耐熱性」の要素もありましたね!
やっぱりグリス選びって難しい、ですね~!!
個人的には、水があってもほとんど状態変化しなかった「LSベルハンマー」、意地でも食いつこうとする「モリブデン」、そして水の存在すら無視してたような「シリコン」が気になりました(笑)。
そんなわけで、筆者的には沼にハマっていたのが更なる底なし沼に突き進んでいる気分でございますが、これを読んでいる読者の皆様におかれましては今回の実験結果が少しでも参考になれば幸いです。
今回もご視聴ありがとうございました~!
私のYouTubeチャンネルのほうでは、「バイクを元気にしたい!」というコンセプトのもと、3日に1本ペースでバイクいじりの動画を投稿しております。よかったら遊びにきてくださいね~!★メインチャンネルはコチラ→「DIY道楽」 ☆サブチャンネルもよろしく→「のまてつ父ちゃんの日常」
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(DIY道楽テツ)
バイクの電装部品のひとつ、レギュレターってご存じですか? こういうの部品です。 車種によって場所はマチマチですが、だいたいがシルバーで、アルミ素材で空冷フィンがついていて、比較的バッテリーに近いところ[…]
アクセルの握り方って意識してますか? バイクのアクセル(スロットル)の握り方や回し方を意識しているライダーの皆様って、どれぐらい居らっしゃるでしょうか? 「そんなの当たり前!」という人は、かなり意識高[…]
軍手は洗車道具たりえるのか みなさんバイクってどうやって洗ってますか? スポンジ? ブラシ? それとも高圧洗浄でしょうか。実は筆者は最近「軍手で洗車」に目覚めたのです。 きっかけは使ってたスポンジがボ[…]
自家塗装には難関が待ち受ける 今回は、自己流でありますが自家塗装のお話です バイクのメンテナンスやカスタムしていると、近隣に迷惑を及ぼす可能性のある作業がいくつかあります。エンジン始動による騒音もその[…]
初心者向けの溶接機は? 「初心者ですが、溶接機は何を買えばいいでしょうか?」そんな質問をいただくことが、最近増えています。折れたステーの修理から始まり、フレーム補強やスイングアーム自作、極めつけがフレ[…]
人気記事ランキング(全体)
夏場は100℃超えも珍しくないけれど… いまやバイクのエンジンは“水冷”が主流。安定した冷却性能によってエンジンパワーを確実に引き出すだけでなく、排出ガス/燃費/静粛性の面でも水冷の方が空冷より有利な[…]
皮脂や汗に含まれる尿素が生地を痛めてしまう ──一般の方が汗でびちょびちょのヘルメットをリフレッシュさせたい場合、どのように行えばよいでしょうか? 「どこが外せるのか、どういうふうに洗えばいいのかは、[…]
RH1250S スポーツスターS:ダウンドラフト吸気の水冷Vツインを黒で統一 121HPを発揮するレボリューションマックス1250Tエンジンをオールブラックにし、精悍さを強調するデザインとなった202[…]
シグナスシリーズ、20年の歴史を背負うニューフェイス 以前は空冷エンジン搭載のコンパクトな原付二種スポーツスクーターとして人気を博した「シグナスX」だが、水冷の新世代「シグナス グリファス」に交代した[…]
作って、触って、攻略する。新感覚のサーキット模型 スマホケースなどの地図柄グッズを手がけるクロスフィールドデザインが、モビリティライフスタイルブランド「レシプロ」の新商品として「レイヤード ランドスケ[…]
最新の投稿記事(全体)
一線から退くことすらファンが許さなかった「革新モデル」 世界最速を目指したZ1発売から10年余り、ついにカワサキは水冷4気筒エンジンを搭載するGPz900Rを1984年に発売。北米モデルはNinja([…]
イタリア魂が込められたフルサイズ125ccネイキッド イタリアンブランドとしての誇りを胸に、資本も製造もすべてイタリアで行うファンティックは、コストダウンのために安易なアジア生産に走らず、職人の手で丁[…]
厳格な基準をクリアした車両のみが“認定中古車”を名乗れる 国内外のほとんどの2輪/4輪メーカーが設けているのが“認定中古車制度”だ。これは自社のブランド価値を保ち、中古車市場においても顧客に安心して車[…]
なぜハイエンドの性能が「半額水準」なのか ASMAX F1 Proは、次世代バイク用インカムブランド「ASMAX」のフラッグシップモデルで、2025年9月上旬から販売開始される。F1 Proがライダー[…]
バイクとの親和性はスマホを圧倒的に上回る AKEEYOが販売する「AIO-6LTE」は、太陽光の下でもはっきり見える視認性の高い大型6インチのIpsモニター、Wi-FiとBluetoothによるスマホ[…]