動かないバイク…”接点復活スプレー”一吹きで直っちゃった!【DIY道楽式 壊れたバイクを直す思考法】
スクーターのセルモーターが回らなくなった!とても困りますよね。目の前が真っ暗。「バイクが壊れた~!」とパニックになってしまうところですが、ちょっと待った。動かなくなった原因を部品ごとに分けて順序立てて考えるとまるでパズルのように解きほぐすことができるのです。先日の実例をもとに、セルモーターが動かない犯人探しをやってみましょう!
●文/まとめ:ヤングマシン編集部(DIY道楽テツ)
セルスターターの沈黙は突然に。
スズキのZZ(ジーツー)のエンジンが調子悪くて修理をしているのですが、セルモーターも動かないことが判明しました。実はこれ、以前からずっと動かなかったのではなく、1週間ぶりに動かそうとしたらモーターが回らなくなったのです。前までは動いていたのに、ですよ?
えっ…なんで? どうして動かないの? 何回スイッチをしてもうんともすんとも言わなくて、軽く脳みそパニック。
最初に打ち明けちゃいますと、私は電気関係がとても苦手です。例えば、エンジンのギアだったら歯車が欠けていたり、シャフトが折れたりすれば目で見てわかるのですが、電気のトラブルって目に見えません。すぐに脳みそがギブアップしてしまうのですよ。
だけど、ちょっと待った!
このタイミングでセルモーターが動かなくなったのはチャンスかもしれない? 苦手な電気関係を克服せよという神様からの思し召し、かもしれない? ので、ここは一丁挑戦してみましょうか。
全体ではなく、パーツごとに考えれば、わりとシンプルなパズルゲーム。
暴力的にシンプルに考えると、バイクの電気系統の構造はバッテリー/電気ハーネス/モーターの3つに分けられます。
トラブルの原因究明は、できるだけ手間が少なく簡単でお金がかからなくて、特殊工具を必要としないものから順序立ててチェックしていく…と聞いたことがあるので、それにしたがってバッテリーから調子を確かめていきましょう。
まずは電源! バッテリーは元気かどうか?
セルモーターが動かない原因のほとんど9割がバッテリーではないでしょうか? バッテリー上がりでモーターが回らない、とてもよく聞く話です。
とはいえ、このバッテリーはしっかり充電してあるので、電圧は大丈夫なはず。テスターをつないでチェックしてみても、13.4V。うん。十分すぎます。これだけあればセルモーターは回せるよね?
ここでついでに、念のためにジャンプスターターを接続しての始動も試してみました。接続して、グリーンシグナルを確認して、スターターボタンをぽちっとな…うん、何も起こりません。やっぱり問題はバッテリーより先にあるようですね。
モーターは動くか? 電気は流れているのか?
次はセルモーター本体です。小排気量のスクーターでは、セルスターターのモーターそのものが壊れるという話もよく聞くので、エンジンの下にあるセルモーターを外してみました。
ここではいきなり分解しちゃいましたが、トラブルシューティングの手順に沿うならば、配線コネクターだけを外して、モーターまで電気が来てるかどうかをまずチェックするのが正しいです。
コネクターにテスターの配線をクリップで留めて、イグニッションをオンにしてスタートボタンをプッシュ。
…うん、電気が来てませんでした。
そうなると、原因はモーターではなく、電気を伝えてくるハーネスの方にトラブルがあると思われるのですが、念のため引き続きモーターの動作チェックをやってみます。
【注意】ここから危険なテストになります。モーター単体動作チェック
ここからちょっと危険なテスト。モーター単体の動作チェックです。バッテリーから直結するコードを作って、直接バッテリーに接続(!)するのです。
いや~、実はこれをやりたかったのですよ(笑)。
12Vとはいえ、電気は電気。ビクビクしながら端子を当てると、「ぴゅゃッ!!!」とか悲鳴とも鳴き声ともつかぬとても表現しにくい音を立てて、モーターがぶっ飛んでいきました!!
わははっ! すごーい!!!(←これを見たかっただけ)
今度はしっかりモーターを固定して、電気を流すと、「みーーーーーーーん!」と小気味よい振動とともに高速回転してくれました。セルモーターは健在。こうして回る姿を見れるととても安心できますよね~~。
残るはスイッチ、もしくはスターターリレー。かなり犯人を追い込んできました。
バッテリーは生きているし、モーターも元気だとすると、残る可能性は3つ。つまり、電気ハーネスの断絶/スイッチの接触不良/スターターリレーの不良のどれかでしょう。
確率で言えば、スターターボタン(スイッチ)が一番怪しい気がするのですが、とりあえず簡単に手に取れるスターターリレーからチェックしてみます。
スターターリレーを調査したい! けど…?
といっても、このスターターリレー。やはり外観だけではいいのが悪いのか全く分かりません。4本出ている端子から、これらの間の抵抗値を測って故障診断をする必要があります。…が、あいにく手元にサービスマニュアルがないので正確な数値が分かりません。
まさかの? 納得できない結末! やっぱり電気関係は苦手だ…。
とりあえず接点復活剤を吹いてみたら…?
とりあえず何もできませんでしたが、スターターリレーをそのまま戻すのも芸がないので、ここで接点復活剤を使っておきます。
この「接点復活剤」は、端子やコネクターなどの電気抵抗を減らして、電気を流れやすくするというもの。これを吹き付けるだけでウインカーとかが直ったりするので効果はあります。
コネクターの中にプシューと吹き付けて、スターターリレーを何回か抜き差しして取り付けました。これでセルモーターが回ったらウケますよね??
一応、トライしてみますか?
全く期待しないで、スターターボタンを押したら、
キュルルルルルッ!!
えっ? 動いちゃった?
いや、もうびっくりしました。
本当に驚いた。
いきなりセルスターターが動いちゃうんですもん。
何かの間違いかもしれないので、エンジンを止めてはセルボタンを押して、と3回も5回も繰り返してみたのですが、何事もなかったかのようにセルが動きました。
なんかなぁ~…。
電気といえば、流れるか流れないかの「ゼロか1か」だけだと思ってましたが、今回のようなケースもあるんですね。どこかしらの接点に抵抗が発生していて、リレーが動くか動かないかギリギリの、それこそ赤点ギリギリの点数だったようです。
筆者の筋書き(?)としては、最後にスイッチを掃除してセルスターターが回る! ってのを予想していただけに、なんとも腰砕けで肩透かしな結果になってしまったのですが…だけど、電気系統のトラブルってのはこういうものなのでしょうね。
今回の記録は紛れもない実録です。後日談になりますが、その後もこのZZ(ジーツー)君は元気に走ってます。セルスターターのトラブルもないようです。
バイクのトラブルを全体で捉えると何がなんだかわからなくなってしまいますが、今回のように部品単体で考えて原因を分解していくと、原因追求も一つのゲームになって楽しくなってきちゃいます。
よかったら皆さんも、トラブルが起きたら勉強のチャンスと思ってトライしてみてください。
この記事が、何処かの誰か様の参考になれば幸いです。
今回もご視聴ありがとうございました~!
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