よく目にする、道路のリング状のくぼみ… コレっていったい何?
●文:[クリエイターチャンネル] Peacock Blue K.K.
何気なくバイクを走らせていると、道路にドーナツのようなリング状のくぼみが舗装されているのを目にすることがあります。このリング状のくぼみは“O(オー)リング模様”と呼ばれており、主に急な勾配や地下駐車場といったコンクリート状の傾斜に舗装されています。
Oリング模様があると、走行時にタイヤが凹みに引っかかるため、舗装されていないコンクリート道路よりも滑りにくくなります。つまり、滑り止めの役割として舗装されているというわけです。
Oリング模様がコンクリートに舗装されるのは、一般的な道路で用いられるアスファルトだと舗装が難しい場所であるためです。アスファルトは、敷設した後に冷え固まるスピードが速く、工事後すぐに通行可能となるメリットがありますが、勾配がある斜面ではアスファルトを用いて作業を行うことが難しいことから、コンクリートを採用しています。
ただしコンクリートは浸透性が悪く、坂道では車両がスリップしてしまう可能性があります。そこでOリング模様を舗装すれば、くぼみにタイヤが引っかかることでスリップする危険性が減るのです。
また、Oリング模様の舗装は路面が乾く前にゴムでできた輪っかを並べるだけのため、大きなコストがかからずに舗装できます。加えて、コンクリートはアスファルトよりも劣化しにくく、完成後に長期間にわたり補修工事を行う必要がありません。
大きなコストをかけずに安全性を高めることができるOリング模様は、メリットに溢れた道路舗装と言えそうです。
まだまだある!道路に施された滑り止めの数々
Oリング模様以外にも、滑り止めとして道路に舗装されるものがあります。
代表的な舗装方法である“グルービング工法”は、雨で濡れた場合でも、舗装されていない路面より速乾性が高く、雨水によるスリップを防ぐ役割があります。
例えば、雨天時に時速50キロで舗装された道路に侵入した場合、制動距離を30%から40%に短縮する効果が期待できるようです。
また、路面に付着した溶けたタイヤや油でのスリップを防ぎ、急ブレーキを踏んだ際に接地力が高くなるだけでなく、凍結した路面の氷膜の分断を助け、路面上の氷雪を排除できる効果もあるといいます。
グルービング工法が施された道路は、走行時の振動や音により、運転者の居眠り運転や速度超過、交差点や料金所などの危険なエリアに侵入した場合に知らせられる点も大きなメリットです。
また、グルービング工法には縦型/横型に加え、そのふたつを掛け合わせたグレードアップという、3つの舗装タイプがあります。
まず縦型グルービングは、なだらかな勾配や横風を受ける道路、さらには緩やかなカーブの場合に有効な舗装法です。一方、横型グルービングは急な勾配や交差点の手前や急カーブなどに有効です。
また、グレードアップグルービングは商店街などに舗装される場合が多く、見た目もおしゃれに仕上がっています。
いずれのパターンも、タイヤと路面の間の水膜の除去を行い、ハイドロプレーニング現象を防止する効果があります。
また、前述のようにタイヤの食い込みによって操縦性の確保を行うことで、横風による影響を受けにくくしたり、路面の速乾性を高めたり、急ブレーキ時の直進性を向上させる役割も持っているのです。
このように、道路に施された舗装の多くは、主に滑り止めの役割を持っています。普段あまり気にかけたことがなかった人は、道路の舗装に注目しながら走行してみるのも面白いかもしれません。
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