油冷GSX-Rからのヨシムラファンも大切にした製品展開をしていく【50年カンパニー Vol.5 ヨシムラジャパン後編】
創業以来、長きにわたってライダーをサポートし続けているメーカー/企業が、ここ日本には数多くある。中でも、50年を超える歴史を持つところは、バイク業界に訪れた大波・小波を乗り越えながら、常にライダーを見つめ、ライダーのために歩んできた。今年、創業70周年を迎えたヨシムラジャパン(以下ヨシムラ)は、今年3月に加藤陽平が新社長に就任し、ポップ吉村こと吉村秀雄の息子で、長年ヨシムラを率いてきた不二雄が相談役となる世代交代を果たした。レーシングチームの監督として、2024年もヨシムラチームをEWCのシーズンチャンピオンに導いた手腕の持ち主は、新たな時代のヨシムラをどう形作っていくのか。ヨシムラの3代目社長に聞いた。(文中敬称略)
●取材/文: Nom ●写真:長谷川徹、ヨシムラジャパン、YM Archives ●BRAND POST提供:ヨシムラジャパン
2024年は鈴鹿8耐3位そしてEWCで二度目の王座に
ポップが切り拓き、不二雄が繋いできたヨシムラのレース活動はいま、主戦場をFIM世界耐久選手権(EWC)へと移し、陽平がヨシムラSERT Motulをチームディレクターとして率いている。そして、今年、2024年は2021年に続き2度目のシリーズチャンピオンを獲得した。最終戦のボルドール24時間耐久ロードレースで、それまで首位だったYARTヤマハを逆転しての制覇だった。
「ボルドールは、我々のパッケージでいいパフォーマンスを見せられるサーキットなんです。ですから、我々のほうに分があるという意気込みと実績を持って臨みました。最終戦でのチャンピオン決定でしたから、喜びもひとしおでしたね」
チーム監督、ディレクターとしてヨシムラのレース活動を担ってきた陽平だが、代表となった今はレースに加え、パーツメーカーとしてのヨシムラの将来も率いていく立場になった。
「正直言って、役員になるまではレースばっかりで、ビジネスのことはあまり考えていませんでした。もちろん今は、レースと同じようにビジネスのこともとらえています」
代表に就任して取り組み始めたのが組織改革だ。
「おかげさまで、ヨシムラはリーマンショックのときを除いて、常に右肩上がりの業績を残してきたんです。財務状況もとても健全なんですが、それでも万が一、状況が悪化したときに備えておかなくてはいけませんから体質の強化を図っています」
タイ工場のマフラー生産も順調さらに、海外販売を強化する
新たなビジネスの展開も始動している。
「今後は海外販売も強化していくつもりです。現在は、タイのヨシムラアジアのマフラー生産体制も整ってきていて、半数は日本での販売分で、残りはアジアで流通させています。また、せっかくヨーロッパでレースをしているので、そちらの市場でも商売をしたい。11月のEICMAで現地のディストリビューターさんを招いて説明をする予定ですし、フランスに担当者を1名駐在させることにしています」
さらに、国内向けにも新たなビジネスの展開を考えているという。
「いまのヨシムラファンの方々は、スズキの油冷GSX-Rでレースをしているときにファンになってくださったんだと思います。なのに、その油冷のユーザーさん用のパーツラインナップがいまないんです。マフラーもなければキャブの設定もない、カムシャフトもない。やはりヨシムラを育ててくれた油冷を大切にしたいと思いますし、あれだけ人気があったバイクですからパーツのニーズも相応にあると思っています。今年の東京モーターサイクルショーに、ゼッケン604のGSX-R750のデモ車を展示しましたが、あのバイクをイメージリーダーにして、スズキさんにもご協力をいただいて手に入りにくくなった純正部品の互換部品を作ったり、ヨシムラのパーツで代替したりと、ユーザーが乗り続けるための手助けをしていきたいと思っています。いまあのデモ車にナンバーを付けて乗っているんですが、メチャクチャ気持ちいいんですよ。なので、中古の油冷を入手してコンプリート車を販売することも考えています」
さらに、ヨシムラが持つコンストラクターとしてのノウハウを生かした新車ベースのコンプリート車も視野に入れているという。
「ものすごく手を入れたものから、ライトチューニングのものまでやっていきたいと思っています。ヨシムライズムというか、ヨシムラ色を持ったバイクを提供したいですね」
世界的コンストラクターのヨシムラが作ったバイクを所有して、乗ることができる。ヨシムラファンならずとも心ときめく話である。
陽平新社長の指揮の下、いまヨシムラは新たな試みをスタートさせようとしているのだ。
※本記事はヨシムラジャパンが提供したもので、一部プロモーション要素を含みます。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。