
「バイクオイル交換、どのくらいの頻度でやればいいの? 」「自分でエンジンオイル交換できるのかな? 」そんな疑問を持つライダーは多いはずです。本記事では、バイク エンジンオイル 交換の正しい頻度や目安をわかりやすく解説し、初心者でもできる手順や注意点まで詳しく紹介します。
●文:ヤングマシン編集部(カイ) ●写真:橘 祐一
バイクオイル交換とは? エンジンオイルの役割
バイクのオイル交換とは、エンジン内部の潤滑や冷却、清浄などを担うエンジンオイルを新しいものに入れ替える作業です。
エンジン(内燃機)内部は精密パーツが高速で擦り合い、そのうえ超高温に晒されているので、各部品を滑らかに動かすための潤滑や冷却は必須になります。人体で例えるなら血液にも等しく、適切なオイルの交換はエンジンの寿命や性能を大きく左右します。
この作業はエンジンの種類に関わらず、例えば単気筒や4気筒などのシリンダー数や、また2サイクルや4サイクルなどの吸気/圧縮/燃焼/排気行程にも関わらず、内燃機ならばすべてにおいて必須なメンテナンスメニューになるので、ライダーは正しく理解し対応することが肝心です。
バイクの性能や寿命に密接な関わりのあるエンジンオイル。潤滑や冷却、清浄など、まさにエンジンにとって血液のような働きをするオイルの交換は、バイクのメンテナンスメニューの中でも欠かせないもののひとつ。
バイク エンジンオイル 交換の頻度と目安
距離と期間の目安
エンジンは工作精度が日々進化しており、エンジンオイルの負担は一昔前よりは減って交換頻度は少なってきました。例えば自動車であれば車検ごとや数万kmごとでも問題ないモデルもあります。
しかしバイクの場合は得てしてエンジン回転数が自動車よりも高く、使用される量も少ないため、エンジンオイルが受ける負担は高くなり、相対的に自動車よりも交換頻度は多くなります。一般的な目安としては走行距離3000〜5000kmごと、または半年ごとの交換が推奨されます。
また、高性能車やサーキット走行が多い場合はより短い間隔での交換が推奨され、特に気温が高い時期にサーキット走行した際はレースごとの交換が無難でしょう。
症状から判断する交換サイン
エンジンオイルの劣化は、「エンジン音が大きくなる」「異音がする」といった耳からの情報はもちろん、「オイルの色が黒く濁っている」などの視覚情報、さらに「シフトチェンジが重くなる」「ギアの入りが悪い」といった操作時の違和感からも推測できます。
バイクのタイプ別の注意点
注意したいのは、スクーターとギア付きバイクで交換頻度が異なる場合があることです。空冷や水冷などオイルの冷却方法の違いでもオイルの劣化具合は変わりますし、エンジン回転の違いも大きく影響します。
バイク購入時の取扱説明書などでメーカー指定の交換目安も要確認です。
エンジンオイルはそれぞれ規定のグレードを入れる必要がある。例えば写真の10W40は粘度(≒硬さ)を表し、「W」の前が低温時、後ろが高温時の粘度を示す。また、JASO-T903規格のMA/MA1/MA2/MBという、摩擦係数を表す表記も交換時には確認したい。
自分でできるバイクオイル交換の手順
準備するもの
エンジンオイルは重要な消耗「パーツ」ですが、それだけに比較的容易に交換できるように設計されていると言えます。自分自身の手で交換する際に必要なものも多くはありません。
まずはエンジンオイル(適合品)。メーカー推奨がベストですが、粘度さえ合っていれば社外品でも問題ありません。上級者ではシーズンによって粘度を変える人もいます。
古いエンジンオイルはオイル受け容器に落とし、オイルパンからオイルを抜き出すドレンボルトを外す工具類(レンチ)、そして軍手やウエスなどもあればベター。
それからエンジンオイルの交換の際、毎回必須ではありませんが、オイルフィルターも交換すればなお安心です。バイク用品店でも取り扱いがあるので、自分のバイクに合ったオイルフィルターを見繕っておくのも良いでしょう。
自分のバイクに適合する粘度のエンジンオイルは、必要な量を確認して購入しよう。オイル受け容器はオイルを受け止められるなら専用でなくともOKで、オイルジョッキも必ずしも必要ではないが、やはり専用品があると作業効率は高まる。
交換手順
では実際にエンジンオイルの交換手順を説明しましょう。まずはオイルパンからスムーズにエンジンオイルが抜けるように、エンジンをかけて数分温めましょう。
ほどよくエンジンが温まったら、エンジン底部にあるドレンボルトを外して古いオイルを抜きます。ドレンボルトを一気に抜くと勢いよくオイルが排出されるので、少しづつ開けましょう。また、あまりにもエンジンが温まりすぎているとエンジンオイルも高温になっているので火傷に注意です。
必要ならオイルフィルターも交換し、ドレンボルトを締め直して新しいオイルを規定量入れ、エンジンをかけてオイル量を確認・調整すれば作業は終了です。
ちなみにドレンボルトを締め直す際、古いワッシャー(ドレンワッシャー)は毎回交換するのがベターです。安価なパーツですのでケチらずに。劣化しやすいドレンボルトを使い回すと、エンジンオイル漏れなどのトラブルに遭遇する確率も高まります。
エンジン底部のドレンボルトを外すとエンジンオイルが勢いよく排出される。一気に抜かず徐々にドレンボルトを外していくよう心がけたい。またエンジンオイルが想定以上に熱い場合もあるので、火傷に注意して作業しよう。
交換時の注意点
取扱説明書を読んで、規定量・適合オイルを必ず確認してから交換しましょう。エンジンオイルは規定量から多くても少なくてもNGです。
また、ドレンボルトは力任せに回さず、締め付けトルクに注意しましょう。ドレンボルトの頭をなめたりねじ切ったりすると後々多大な出費を強いられるケースもあります。
それから当然ですが、廃オイルは適切に処分するよう心がけましょう。家庭ごみとして処理できるボックスは、バイク用品店はもちろん自動車用品店でも販売されています。
ドレンボルトとオイルパンの間にはワッシャー(ドレンワッシャー)がかまされているが、本来使い捨てのパーツだからオイル交換ごとに新品へ交換したい。オイルフィルターは毎回交換する必要はないが、2〜3回ごとに新品にするのがベター。
廃オイルは専用のボックスで処理するのが楽ちん。バイク用品店や自動車用品店でも比較的簡単に手に入る。オイル受け容器のかわりに使えば手間も減るのでオススメだ。オイル量によってサイズもいくつか販売されている。
自分で交換する場合とショップ依頼の違い
エンジンオイル交換は前述のように比較的イージーな作業であり、手慣れてくれば1時間もかからず終えることができます。自分で交換するメリットは、時間に縛られず好きなときに作業できること、交換作業を通じて愛車を観察することで他のトラブルを未然に防げること、出費を抑えられることなどがあります。
ただし費用は抑えられますが正確な作業が求められるので、自身のない人はショップに依頼するのが安心・確実です。もちろん費用は自分で交換するよりかかります(相場:約2000〜5000円程度)ので、タイパ、コスパを秤にかけて選択しましょう。
バイクのメンテナンスでは比較的容易な作業と言われるエンジンオイル交換。必要な工具が少なく、場所もとらないのでチャレンジしてはいかがか? ただし安全・確実なのはプロショップにおまかせすることであるのは間違いない。
バイクオイル交換をサボるとどうなる?
前述したように、エンジンオイルの交換頻度は一昔前に比べれば大幅に減少したと言われています。しかしその一方で、エンジンオイルの性能にエンジンそのものの設計が依存している、とも囁かれています。
つまり良いオイルありきのエンジン性能ということで、高性能バイクでは特にその傾向が強いとか。エンジン内部の摩耗・焼き付きリスクを減らすなら、エンジンオイルの交換は疎かにしてはいけないと思います。
また、燃費悪化やパワーダウン、最悪の場合はエンジン故障の原因にダイレクトに繋がるのがエンジンオイルの劣化です。愛車を長く楽しむためには欠かせない、それがエンジンオイルの交換です。
エンジンオイルは消耗品。高回転で回すほど劣化と消耗は激しいので、常にエンジンオイルの状態は確認しておきたい。また、サイドスタンドを使用してオイル量チェックすると規定量に届いていないことがある。必ずバイクを立てた状態で規定量に達しているか確認したい。
エンジンオイル交換はバイクライフのキモ
エンジンオイル交換は、愛車のエンジンを長持ちさせるために欠かせないメンテナンスです。正しい頻度と目安を知り、自分で交換する場合も手順と注意点をしっかり押さえましょう。
自分で作業するメンテナンスとしてはけして敷居は高くありません。バイクの調子を維持し、安心・快適なライディングを楽しんでください。
日々高性能化して自分で触れるメンテナンスは少なくなりつつあるが、エンジンオイル交換は比較的イージーな作業のひとつ。愛車の状態を把握するためにも積極的に手掛けたいメンテナンスだ。
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