
2025年6月に発売された、ホンダのパーソナルユース向け原付二種・電動スクーター「CUV e:(シーユーヴィー イー)」のメディア向け試乗会が開催されたので、力強い加速と、スクーターとして“普通に使える”利便性を体感してきた。
●文:ヤングマシン編集部 ●写真:ホンダ
125ccスクーターよりも力強い発進加速、街中で光る静けさ
ホンダがパーソナルユース向けに国内リリースした電動スクーターの第2弾「CUV e:」は、第1段の「EM1 e:」が50cc相当の原付一種だったのに対し、125cc相当の原付二種。このほか「ベンリィ e:」などのビジネス向けモデルもかつてのリース販売から一般販売へと移行しているが、純粋な個人使用向けはこれら2車ということになる。
そんなCUV e:だが、ホンダモバイルパワーパックe:(以下MPP)を2個搭載することで満充電での走行距離は57kmを確保している……のだが、これは加速も減速もしない60km/hでの定地走行でのものであり、実際の走行条件に近いWMTCモードでは70km以上(欧州届出値)になるという。
ガソリン車では定地燃費よりもWMTCモード燃費のほうが好ましい数字になるが、減速時に回生ブレーキが働く電動バイクでは逆転するのが面白いところだ。
走ってみると、乗り味はいい意味でとても普通。一般的なガソリン原付二種と比べても違和感はなく、電動だからと構える必要は全くない。車重はリード125の116kgよりもわずかに重い120kgでありPCXの133kgよりは軽量で、特に大柄とも重いとも感じなかった。パワーユニットのドライバビリティやブレーキ操作も違和感なしだ。
充電に関すること以外ではガソリン車と比べても違和感なし。
出力モードをSTANDARDあるいはSPORTに切り替えると、発進加速はガソリン車以上。50km/h前後でガソリン車とそん色ない程度になり、それ以上ではガソリン車のほうがパワフルに感じるようになる。このほかモーター搭載ゆえのリバースモード(押し歩きで後退を補助)も備えている。
STANDARD/SPORTモードとECONモードでは明らかに出力が違う。STANDARD/SPORTモードでは125ccスクーター並みで40~50km/hあたりからの伸びが変わるが、ECONモードは50ccスクーター並みの出力特性になる。電費の違いだけでなく、走行環境やライダーのキャリアによって使い分けるとよさそうだ。
電動ゆえの特性としては、エンジン音とパワーユニット由来の振動がないことで、周囲の環境音やクルマの音に気付きやすくなることが挙げられる。また、同様の理由でタイヤノイズや路面からの振動を感じ取りやすくなるのも電動ならでは。車体はPCXほどコストをかけている感じではないものの、原付二種として普通に満足できるレベルだと思う。
CUV e:が初採用という「Honda Roadsync Duo(ホンダロードシンクデュオ)」は、スマートフォンと連携することでフルマップのナビゲーションを7インチTFTディスプレイに表示することができる。これまでのターンバイターンナビゲーションでも十分に役立ってくれたが、フルマップならではのわかりやすさ、大画面ならではの見やすさは嬉しい。
これを採用したのは、Gachacoのバッテリー交換ステーションを探しやすくし、長距離でバッテリー残量が不安なときにもルートにバッテリー交換ステーションを組み込むなどして不便を感じさせないように、という狙いがあるという。
実際に試乗コースの途中にあるステーションで交換してみたが、システム自体は簡単で使いやすい。ICチップ入りの認証キーで所定のセンサーにタッチし、あとは案内通りに操作することで交換可能に。まず使用済みのMPPをステーションの空きスロットに差し込むと、充電済みのMPPを受け取ることができるというシステムだ。
このバッテリー交換ステーションが生活圏の近くにあるなら、通勤通学やちょっとした買い物などの近距離使用にはなんの不便もなさそう。ガソリン車でガソリンスタンドに行く頻度に比べれば頻繁にバッテリー交換する必要はあるが、これはまあ慣れの範疇と言えるだろう。
ただ気になったのは、やはり1個あたり10.2kgというMPPの重量だ。特に交換ステーションの空きスロットが上段にあった場合、身長183cmでも胸の高さ近くまで持ち上げなくてはならず、小柄な方や華奢な方には負担が大きそう。筆者としても、もう少し歳を取ったら億劫になりそうだな……と思ってしまった。
これについてはホンダとしても認識しており、将来的なバッテリー技術のアップデートによって少しずつ改善していくものと思われる。
購入の目安は居住環境と想定使用年数
どんなユーザーにおすすめかというのは、充電あるいはバッテリー交換のしやすさによるところが大きいだろう。バッテリーを持ち歩くことを考えれば、駐輪場所から充電場所(自宅等)が近いに越したことはない。または生活圏にバッテリー交換ステーションがあるといい。ただ、最近は閉店するガソリンスタンドが多く、居住地域によっては自宅からガソリンスタンドまで数十kmというケースも。そんな場合には自宅で充電するだけでいい電動スクーターのメリットが生きてくるはずだ。
購入方法は2通りあって、ひとつは車体+バッテリー2個+充電器の3点セットで52万8000円という一括購入、そしてもうひとつは車両本体のみ20万200円で購入してバッテリーをサブスク利用する方法だ。
一括購入の場合、国からのCEV補助金で▲3.5万円、東京都にお住まいの場合は車体+バッテリー+充電器の補助金でさらに▲15.7万円となり、購入価格は33万6000円に。車両のみ購入の場合はCEV補助金▲3.5万円+東京都補助金▲6.7万円で計▲10.2万円となり、9万8200円で購入可能になる。さらにサブスク料金には5万円分(1400円×36か月)の助成が付くのもポイント。
初期費用の差額は32万7800円(東京都在住の場合は23万7800円)になる。
初期費用はサブスク利用が安く、走行距離や使用年数によって一括購入が逆転していくことになる。目安は4年程度ということなので、長く乗るなら一括購入、とりあえず新しいものに触れてみたいというならサブスク利用がおすすめと言えそうだ。
ライディングポジション
大柄な筆者でも窮屈さはない。跨ぎやすいステップボードと適切な位置にあるハンドルが好ましい。(身長183cm)
HONDA CUV e:[2025 model]
車体色は左からプレミアムシルバーメタリック、パールジュビリーホワイト、マットガンパウダーブラックメタリックの3色。一番右は純正アクセサリー装着車だ。
| 通称名 | CUV e: |
| 車名・型式 | ホンダ・ZAD-EF18 |
| 全長×全幅×全高 | 1970×675×1100mm |
| 軸距 | 1310mm |
| 最低地上高 | 145mm |
| シート高 | 766mm |
| 装備重量 | 120kg |
| 原動機形式・種類 | EF18M・交流同期電動機 |
| 定格出力 | 0.98kW |
| 最高出力 | 8.2ps/3500rpm |
| 最大トルク | 2.2kg-m/2300rpm |
| 変速機 | なし |
| 一充電走行距離 | 57(60km/h定地走行テスト値)<1名乗車時> |
| タイヤサイズ前 | 110/90-12 |
| タイヤサイズ後 | 110/90-12 |
| ブレーキ前 | 油圧式ディスク |
| ブレーキ後 | 機械式リーディング・トレーリング |
| 価格 | 52万8000円 |
| 車体色 | 白、艶消し黒、銀 |
| 発売日 | 2025年6月20日 |
開発者の面々。「ホンダは今後、『電動化ありき』ではなく、ユーザーが便利で楽しく、安全に二輪車を楽しめるようなモデルを、バッテリーの進化に合わせてタイムリーに市場に投入していくことを目指していく」と語ってくれた。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(新型EV/電動バイク)
ホンダのバッテリーシステムを使った電動二輪車・ヤマハ「JOG E」 電動二輪車はもちろん、ポータブル電源や農業ロボット、投光器、小型建機などの使用実績がある着脱可搬バッテリー「Honda Mobile[…]
モーターは独自開発のホイールサイドタイプを採用 ホンダは、タイおよびベトナム向けにICE(内燃機関)の110ccクラスに相当する動力を備えた電動二輪パーソナルコミューター「Honda UC3」を発売す[…]
機敏なスポーツモードと安定感のある旋回性能 ʼ25年の全日本ロードレース選手権では、J-GP3クラスで自己最高のシリーズランキング3位を獲得。応援ありがとうございました!! このシーズンオフは、「奥の[…]
電化政策は失敗したが、静かに浸透するEV二輪車 かつてEICMAをあげて後押ししていた電動バイクたちは、いま会場にはない。代わりに中国ブランドやインドブランドが台頭し、かつて電動バイクブランドやそれを[…]
日本発のトランスフォーマブル・バイク「タタメルバイク」 タタメルバイクは、日本のものづくりの精神と、自由な発想が融合して生まれた「持ち運べるパーソナルモビリティ」だ。最大の特徴は、その名の通りの折り畳[…]
最新の関連記事(ホンダ [HONDA] | 新型スクーター)
2月14日発売:カワサキ Z1100 / Z1100 SE 自然吸気Zシリーズの最大排気量モデルとなる新型「Z1100」および「Z1100 SE」がいよいよ2月14日に発売される。排気量を1099cc[…]
前年のマイナーチェンジでデザインも装備も最新世代 ホンダが2026年型「X-ADV」を発表、カラーリング変更とともにモノトーンとトリコロールそれぞれ1万6500円プラスの価格改定した。フラットダートく[…]
モーターは独自開発のホイールサイドタイプを採用 ホンダは、タイおよびベトナム向けにICE(内燃機関)の110ccクラスに相当する動力を備えた電動二輪パーソナルコミューター「Honda UC3」を発売す[…]
125ccスクーター『LEAD125(リード125)』が華やかになりました! Hondaがラインアップする原付二種スクーターの中でも実用面においてはトップクラスの実力派が『LEAD125』だということ[…]
機敏なスポーツモードと安定感のある旋回性能 ʼ25年の全日本ロードレース選手権では、J-GP3クラスで自己最高のシリーズランキング3位を獲得。応援ありがとうございました!! このシーズンオフは、「奥の[…]
人気記事ランキング(全体)
高いコスパと「旅」をテーマにした日常着としてのデザイン 『葬送のフリーレン』は、魔王を倒した勇者一行の後日譚を描くファンタジー作品だ。主人公のエルフ・フリーレンが、かつての仲間との約束を果たすため、あ[…]
伝説の暗殺拳が拓く、愛と宿命の世紀末 1980年代、原作・武論尊、作画・原哲夫により展開され、少年たちの胸を熱く焦がした『北斗の拳』。その魅力について振り返っておこう。 物語の舞台は、199X年の核戦[…]
アクティブなシーンで大活躍! 防水性の高いコンパクトバッグ 自分に合ったバッグ選びはなかなか難しいもので、しっくりくるものに出会えないとお悩みの方も多いはず。今回紹介するQUICK PACK Tras[…]
2025/9/16:衝撃のシルエットティザー公開 中国のSNS『微博』で「新しい命を創造する」というメッセージとともに、丸目ネイキッドのシルエットが公開された。画像の解析からは、丸型ヘッドライトやダブ[…]
「遊べるカブ」の完成形、JA60型の熟成 まずはベース車両であるクロスカブ110の実力をおさらいしておこう。2013年の初代登場以来、ビジネスバイクの代名詞だったスーパーカブに「遊び心」を注入し、独自[…]
最新の投稿記事(全体)
PC+セミハードが生む、安心感のあるセミハード構造 シェルシートバッグSはPC(ポリカーボネイト)シェルとEVAを組み合わせたセミハード仕様。形状をしっかり保つPC素材により、走行中でもバッグが潰れに[…]
ハーレーとインディアンの混成チームで、ほうとうと大型バイクイベントを巡る河口湖ツーリング ツーリング当日から遡ること1週間前。週間天気予報は雨マーク。降水確率も高く中止になるに違いない、と編集部はたか[…]
バイク用インカム界の“通信のプロ”、MIDLAND(ミッドランド)が動いた! 日本総代理店の株式会社LINKSは、ブランド創業65周年を機に「MIDLAND Re-BORN」プロジェクトの始動を発表し[…]
アンチレプリカを貫きアルミフレームをスチールでも軽量化! 1985年にリリースしたGPZ400Rは、エンジンが水冷化したDOHC16バルブ4気筒で何と他ではヒットしないフルカバードボディ。 ライバルた[…]
『EXCEED-2』は、2モデルがラインアップされるKabutoのオープンフェイスシリーズの上位モデルで、空力特性を高めた帽体とシールド形状などを特徴とし、快適性を向上させている。 このたび追加される[…]
- 1
- 2















































