レーシングスピリッツが注がれた珠玉の5機種

〈ヨシムラ・コンプリート車烈伝〉ハヤブサX-1からトルネードⅢ 零-50まで「2000年代初頭の意欲作たち」

〈ヨシムラ・コンプリート車烈伝〉ハヤブサX-1からトルネードⅢ 零-50まで「2000年代初頭の意欲作たち」

1987年に初のコンプリート車となるトルネード1200ボンネビルを発表したヨシムラ。その後、しばらくの沈黙の後、2000年に登場したハヤブサX-1を皮切りに、毎年のようにコンプリート車をリリースしていく。その歴史を追ってみよう。


●文:伊藤康司(ヤングマシン編集部) ●写真:ヨシムラジャパン

HAYABUSA X-1[2000]:世界最速マシンをレーサーレプリカ化

全日本ロードレース選手権で1999年に設立されたS-NK(Xフォーミュラ)に、ヨシムラは発売されたばかりのスズキGSX1300Rハヤブサで参戦し、同年のチャンピオンと2000年鈴鹿8耐での決勝6位を獲得。これを記念し、レーサーとほぼ同形状の外装パーツ(アルミタンク含む)を纏った「HAYABUSA X-1」を発売。エンジンはハイコンプ鍛造ピストン/ST-1カムシャフト/バルブ研磨/ポーティング等のチューニングが施され、Tri-Ovalチタンサイクロンを装備。256万円で100台限定生産。

【YOSHIMURA HAYABUSA X-1】■193ps 14.5kg-m 198kg(乾)

【[BASE MODEL]2000 SUZUKI GSX1300R HAYABUSA】1990年代に勃発した最高出力/最高速度競争に最後発で登場。空力を追求した涙滴型のカウリングや340km/hまで刻まれた速度計も注目を浴びた。■水冷4スト並列4気筒 1298cc 175ps 14.1kg-m 215kg(乾)

KATANA 1135R[2001]:スーパースポーツ並みの動力性能を持つ究極のカタナ

AMAスーパーバイクや鈴鹿NK-1に参戦したカタナのノウハウを投入したコンプリート車。φ74ピストンで排気量を1135ccまで拡大し、ST-1カムやポーティングを施し、ヘッドカバー類はマグネシウム製。キャブはTMR-MJNのφ40で、手曲げのチタンサイクロンは専用の非売品。フレームは多数補強が入り、足まわりはすべて換装される。358万円で5台生産。

【YOSHIMURA KATANA 1135R】■150psOVER 197.8kg(乾)

【[BASE MODEL]2000 SUZUKI GSX1100S KATANA FINAL EDITION】1980年のケルンショーで登場し、世界を驚かせた1台。ヨシムラは1135Rをコンプリート製作するため、2000年に登場した最終仕様・ファイナルエディションを5台確保している。■空冷4スト並列4気筒 1075cc 95ps 8.6kg-m 232kg(乾)

TORNADO S-1[2001]:最強スーパースポーツをベースにトルネードが復活

2001年の全日本ロードS-NKクラスにGSX-R1000ベースの“トルネードII S-1”で参戦し、そのノウハウを注ぎ込んだマシン。ST-1カムはじめヨシムラチューンを施したエンジンは独自の3マップ切り替えも装備。オーリンズと共同開発した前後サスペンション/専用スイングアーム/BBSアルミ鍛造ホイールなど、足まわりも別格。378万円で50台限定。

【YOSHIMURA TORNADO S-1】■170ps 11.0kg-m 170kg(乾)

【[BASE MODEL]2000 SUZUKI GSX-R1000(K1)水冷GSX-R750をベースに排気量を拡大したリッタースーパースポーツ。ライバル車にパワーで勝り、世界各国のプロダクションレースでも大活躍! ■水冷4スト並列4気筒 988cc 160ps 11.2kg-m 170kg(乾)

M450R[2003]:当時の最速オフ車をスーパーモタード化

ワインディングを楽しむために開発した異色のヨシムラコンプリートで、チューニングの度合いが異なる3バージョンを設定、Spec-1はTMR-MJNキャブとマフラー、前後17インチの足まわりや専用外装のベーシックモデル(119.8 万円)で、Spec-2は450cc化やST-Rカムなどでパワーアップ(149.8万円)。Spec-3はさらに前後のオーリンズサスなどが加わる(198.8万円)。受注生産で計13台製作。

【YOSHIMURA M450R】■50psOVER 4.5kg-m OVER(Spec-2)

【[BASE MODEL]2003 SUZUKI DR-Z400S市販レーサーDR-Z400と同時開発。鍛造ピストンやマグネシウムカバーのエンジン、クロモリ鋼管のフレームなど本格的な作りが人気を博す。■水冷4スト単気筒 398cc 40ps 4.0kg-m 129kg(乾) ※写真は2000年式

TORNADO III 零-50[2004]:ヨシムラ創立50周年を記念した究極形

2003年から参戦するJSB1000の技術をフルに投入。ST-Rカム/ハイコンプピストン/H断面コンロッドなどレーサーとほぼ同じチューニングが施され、マフラーはトライコーンサイクロン。前後サスペンション/スイングアーム/ホイール/ブレーキなど足まわりもレーサーに準じる仕様で、カウル類はすべてドライカーボン製。800万円で5台生産。

【YOSHIMURA TORNADO III 零-50】■175ps

【[BASE MODEL]2004 SUZUKI GSX-R1000(K4)】2003年にフルチェンジした2代目R1000。32ビットECUやインジェクションの強化、ラジアルマウントキャリパーなど多岐にわたって進化。■水冷4スト並列4気筒 988cc 164ps 11.3kg-m 168kg(乾)

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