![[自分だけのバイク選び&最新相場情報]ホンダCBR600RR(2020) サーキット試乗レビュー](https://young-machine.com/main/wp-content/themes/the-thor/img/dummy.gif)
中古車を選ぶ際、なかなか悩ましいのが何を持って完調の状態といえるかわからないこと。そこで役立つのが、劣化や不具合のない新車当時の試乗レビューだ。自分が中古車を試乗して、それぞれの個体の状態を確かめる際の参考にしてみて。※以下、2021年1月公開時の内容に基づく
●文:ヤングマシン編集部(丸山浩) ●写真:山内潤也 ●外部リンク:ホンダ
ホンダCBR600RR(2020) サーキット試乗レビュー
戦闘力と乗りやすさの最適バランスがここに
最後のモデルチェンジから7年ぶり! ホンダCBR600RRも控えめながらウイングレットを装備し、電子制御もガッツリ搭載。最高出力も119(欧州仕様)→121psに引き上げられた。大幅刷新された戦闘力はいかほどなのか。舞台は全長約3.6kmの国際コース・スポーツランドSUGOだ。朝からフルウエットだけれども…。
【’20 HONDA CBR600RR】主要諸元 ■全長2030 全幅685 全高1140 軸距1375 シート高820(各mm) 車重194kg ■水冷4スト並列4気筒DOHC4バルブ 599cc 121ps[89kW]/14000rpm 6.5kg-m[64Nm]/11500rpm 変速機6段リターン 燃料タンク容量18L ■ブレーキF=Wディスク R=ディスク ■タイヤF=120/70ZR17 R=180/55ZR17 ●色:赤 ●価格:160万6000円
ストリートも許容するライディグポジションだが、フロントフォークの突き出し量を見るに、レースユースでのリセッティングも視野に入れているのは明白。[身長168cm/体重61kg]
ところがどっこい、このコンディションが素性を知るに良い機会となった。走行1本目はウォーマーで温めたタイヤ(OEMのダンロップ ロードスポーツ2)でも滑るほどのハードウエット。
それでもコイツは乗りやすいのだ。すべての操作が安心できて、これなら箱根に行って雨に見舞われても大丈夫と思えるぐらい。中でも1万rpm以下の出力特性がまろやかで、穏やかに走らせられる。かたやストレートで1万rpm以上回せば、さすがに最高出力を上げた分のパンチも確認できる。
レースパフォーマンス一辺倒になりがちな600ccスーパースポーツカテゴリにおいて、ストリートユースもできる限り保持させようというのはCBR600RRかねてからのスタンス。
ポジションもステップこそ高い位置にあるものの、シートは身長168cmの私で両つま先の腹が付く高さ。ハンドルは多少遠さを感じるが、極端に低い位置ではなく絞りも効いているので、ツーリングでも手首への負担は少ないだろう。アシストスリッパークラッチでレバーも軽い。
何より、121psを1万4000rpmで発揮する高出力エンジンがウエットコンディションでも扱いやすい過渡特性を持つのには、電子制御の存在が欠かせない。3パターンある走行モードのうち、もっともアタック向きな”モード1”でもフルウエットで走れるぐらい、綿密な制御を行ってくれる。では純粋なレース戦闘力はどうなのだろうか。そう思う傍らでコースはどんどん乾いてきた。なんとできすぎた展開か!
1000ccのように中間トルクで立ち上がりをリカバーできないので、必然的にコーナーリングスピードを上げてプッシュしていく。最高出力回転付近からアクセルを開けていくと、モード1でもトラクションコントロールの介入は少々早い。そこでユーザーモードでトラクションコントロールだけを最弱に設定し直してさらにアタック。攻め込みすぎて逆にタイムロスになろうかという領域での介入が確認できた。
最後、試しにトラクションコントロールもウイリーコントロールも完全オフで攻め切ってみた。結果、タイム的にはトラクションコントロール最弱とさほど変わらないペース。
スライドさせすぎてタイムロスになるぐらいなら、CBR600RRはトラクションコントロールに任せた方がベストタイムを狙える、つまりはレース戦闘力があると言えよう。ちなみにウイリー制御は兄貴分のCBR1000RR-Rのように浮き上がるギリギリを保持するほどではないので(一定角以上でドスンと落ちちゃう)、腕に自信があれば切った方が気持ち良く全開で立ち上がれることを補足しておこう。
ハードに攻め込んでも乗りやすい印象は、1発目のウエット走行時と同じ。ライダー&シチュエーションに合わせて電子制御を切り替えてやれば、大きく乗り味を変えることなくマシンがサポートしてくれる。600ccのスーパースポーツがこの先どこまで作り続けられるかは未知数だけど、今回の電子制御満載アップデートはストリートユーザーにもサーキットユーザーにも嬉しい進化だね。
【すべての変更点は“勝利”に直結する】アジア選手権スーパースポーツ600ccクラスの勝利を目標に、開発はほぼレース仕様で進行。空力を改善した外観はCBR1000RR-R譲りのウイングレットや4灯ライトを採用。車体は従来型の基本を踏襲する。排ガス規制の関係で‘22年11月までしか生産できず、現状では最後の600スーパースポーツとなる可能性が高い。
【勝つためのパワーと最先端の電子制御】エンジンはクランクシャフトやバルブスプリングの材質を改め、レース用ECU装着時の許容回転数を1万6500rpm(STDは1万5000rpm)にアップ。電子制御は5軸IMUを核にCBR1000RR-R譲りの最新ソフトで制御する。
【安定旋回に効くウイングレット】コーナー進入時の安定性に寄与するというウイングレット。1000ccほどウイリー抑止効果は必要ないため、CBR1000RR-Rとは形状が異なる。有無を比較していないので明確には体感できないが…。
【現代流コクピットも獲得】国産600ccスーパースポーツ唯一のフル液晶メーターを採用。フロントフォークは設定変更のほか、20mm延長して車高調整幅を拡大し、アウターチューブ変更で剛性バランスを改良。燃料タンクは伏せやすいよう上面を10mm下げ、アゴも収めやすい形状に。
【とはいえストリートも忘れない】従来より3mm後方でスイングアームと接合、スプロケットの変更自由度を高めたエンドピースは、奥にある溝の上下幅を6mm拡幅し微妙に剛性を下げている。逆にチェーンブロック(四角い部品)は0.5mm肉厚化&面取りを減らし、わずかに剛性アップ。これらは公道でのしなやかさを意識した剛性チューニングで、トップブリッジとハンドルも締付ボルトの締結剛性を下げ(ボルトヘッドの二面幅を12→10mmに小型化)、フロントアクスルも固定ボルトのボルトヘッド二面幅を24→22mmへ小型化している。
ホンダCBR600RRの最新相場情報
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(CBR600RR)
2003年モデル概要:MotoGP直系の先進技術を取り入れたSSとして登場 発売は2003年7月4日。2003年当時、最先端のMotoGPマシンだった「RC211V」で培った先進技術とスタイリングを随[…]
2024年モデル概要:排ガス規制に適合し、実質的な値下げを敢行 2020年モデルでは平成28年排出ガス規制(≒ユーロ4)対応だったため、2022年11月以降は車両の生産自体が不可となっていたが、その後[…]
ホンダCBR600RR(2020) 試乗レビュー 排気量も気筒数も関係ない、コイツがいい! 仕事柄、しばしば「スーパースポーツが欲しいんですけど、リッタークラスとミドルクラスのどっちがいいと思います?[…]
スタンドの重量はわずか2.5kg! 「チタニウムリヤスタンド TYPE-T11」は、ひとつひとつ職人が手作業で仕上げています。湾曲する部分はチタンパイプを溶接してつなぎ合わせて制作。細部にクラフトマン[…]
低めの速度レンジでも満喫できるスポーツ性 私が参戦する全日本ロードレース選手権のJ-GP3クラスは、4月中旬に開催された「スーパーバイクレース in もてぎ」が今季の初戦。決勝の順位は6位でした。 掲[…]
最新の関連記事(自分だけのバイク選び)
ホンダ「モンキー125」(2024)試乗レビュー この記事ではかわいらしいフォルムと実用性が同居したファンバイク、モンキー125の2024年モデルについて紹介するぞ。初期のモンキー125に近い、シンプ[…]
ホンダ「モンキー125」(2021)比較試乗レビュー この記事ではかわいらしいフォルムと実用性が同居したファンバイク、モンキー125の2021年モデルについて紹介するぞ。ミッションが5速化されたうえに[…]
ホンダ「モンキー125」(2018) 試乗レビュー この記事ではかわいらしいフォルムと実用性が同居したファンバイク、モンキー125の2018年モデルについて紹介するぞ。50ccのモンキーがディスコンと[…]
カワサキ「Z900」(2018) 試乗レビュー この記事ではカワサキの大型ネイキッド、Z900の2018年モデルについて紹介するぞ。今や押しも押されぬ人気のZ900RSのベースとなった一台だ。 ※以下[…]
ホンダGB350S(2021)試乗レビュー この記事では、手頃な価格と心地よい鼓動感が魅力のホンダGB350のスポーティーバージョン、GB350Sの2021年モデルについて紹介するぞ。現役レーシングラ[…]
人気記事ランキング(全体)
エイトボール! 王道ネイキッド路線への参入予告か スズキがグローバルサイトでティーザーらしき予告画像を公開した。ビリヤードの8番玉の横には『SAVE THE DATE 4TH JULY』とあり、7月4[…]
新進気鋭のクルーザー専業ブランドから日本市場に刺客! 成長著しい中国ブランドから、またしても新顔が日本市場にお目見えしそうだ。輸入を手掛けることになるウイングフット(東京都足立区)が「導入ほぼ確定」と[…]
静かに全身冷却&最長10時間のひんやり感を実現 ライディングジャケットのインナーとしても使えそうな『PowerArQ Cooling Vest』。その特長は、ファンやブロワー、ペルチェ式ヒートシンクを[…]
なぜ「モンキーレンチ」って呼ぶのでしょうか? そういえば、筆者が幼いころに一番最初の覚えた工具の名前でもあります。最初は「なんでモンキーっていうの?」って親に聞いたけども「昔から決まっていることなんだ[…]
供給不足解消に向け、スズキもかなり「がんばってます」 ジムニーノマドは、2025年1月30日の発表からわずか4日間で約5万台もの受注を獲得し、注文受付が一時停止に追い込まれるなど、国産車としては異例と[…]
最新の投稿記事(全体)
この外見でツーリングもOK 本気系が多様な進化を果たし、レプリカ系のフルカウルに身を包みながら街乗りからツーリングまでこなすモデルが誕生した。本気系にレッドゾーンは一歩譲るものの、後にFZR250やG[…]
吸収合併したメグロの500ccバーチカルツインを海外向けスポーツの650へ! ダブワンの愛称でいまも濃いファンに愛用されているカワサキのW1。 このWシリーズをリリースする前、カワサキは2スト小排気量[…]
2025年モデル概要:渋系のダークカラーにメタリックの輝きも XSR125は、可変バルブシステム=VVAを採用した水冷単気筒エンジンをスチール製デルタボックスフレームに搭載し、倒立フロントフォークやア[…]
購入前に読みたい2025ヤマハMT-07関連記事3選 ヤマハの新型「MT-07」が、フレーム設計から見直され、大幅な進化を遂げて2025年モデルとして登場。その概要やスイングアームのこだわり、Y-AM[…]
カバーじゃない! 鉄製12Lタンクを搭載 おぉっ! モンキー125をベースにした「ゴリラ125」って多くのユーザーが欲しがってたヤツじゃん! タイの特派員より送られてきた画像には、まごうことなきゴリラ[…]
- 1
- 2